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月までは案外近い
いつか行き来できる日もくるかも、と
あなたはいうけれど
それが明日ではないことくらい
知っている
人は間に合わない時間が在ることを知っていて
間に合う時間だけを生きてゆく ....
{引用=夜明けのこない夜はないさ
あなたがぽつりいう}

懐かしい歌が
あの頃の私を連れてきた
そして今の私が唄うのを
遠い窓枠にもたれて
聞くともなく聞いている
夜のはてない深さと距 ....
気休めな水に放てば金魚らはひと夏きりの命を泳ぐ

六月に不似合いなほど晴れていて昨日の雨がわたしを映す

透明な花瓶の中で紫陽花の茎の模様が屈折してる

雨か汗滴り落ちて黒く染み黒いTシャ ....
真夏の鳥取砂丘には
ただ一本の樹さえなく
にぎわう人と数頭のらくだの黒い影を
その茶色の肌にゆらしていた

運動靴を履いてきたけれど
砂に足をとられて歩きにくい
切れる息
額から滴る汗 ....
あなたが水草だった頃
わたしは産まれた
あなたは水草の味がした

ここにつどうすべてのいのちは
いのちをきょうゆうしている
だから
それをざんこくなどとおもわないでおくれ

あなたは ....
海辺の街で育ったので、食卓にはよく魚があった。
その中でもいわしは定番で、母は何十匹も小さないわしをさばき、わたしたち姉弟三人は刺身が大好きで、先を争うようにそれを食べた。
その際に出るいわしの骨 ....
人は忙しい
食べなければならないし
時々泣かなければならない

すべてなげうって
頁のなかほどでずっと
うずくまっていられたら
どんなにいいかとも
思うけれど

ごめんね
もう行 ....
夢の尾はいつだって手からすべりはなれてゆく
そして明けて
朝、
つかみそこねた少し乾いたその手触りを思い出している
どんなにこごえても
血液は凍らないやさしい不思議だとか
たとえ凍ったとし ....
軽トラックの
荷台から
あふれんばかりの、かや
山盛りということはこういうことだ
現役で農作業をされている人が
こんなにも近くにいるということが
無性に嬉しい
今朝スーパーで見かけた車の ....
わたしにふれてと誘う水銀のふれればおかされてゆく毒

水の系譜もとをたどってゆく指先で、彗星ながれる

熱の朝水銀のメモリゆっくりと伸びてゆく儀式、生殖

だれとも手をつながないでどこへゆ ....
夜の粒が
とけだしてゆく
空の底は
うすむらさき色にゆるみ

未来が滴らした
おれんぢが
静かに攪拌されてゆく

ここは
宇宙の果てなのだ
あるいは
巨大なグラスに注がれた
 ....
じゃりじゃりになっている
蜜のあわれを
さじで救い取る

瓶の中で
結晶になった
白い彼女はきれぎれになり

焼かれたパンの熱でそれは
ふたたび脆弱に溶かされてゆく
朝の甘い官能
 ....
古い本を開いたら
あったはずの文字が
ところどころ喰われていた
くいしんぼうの羊のやつめ
紙より文字が好きときている

古いインクは美味らしい
いい具合に熟成していて
ひと噛みすれば口 ....
それまで
水の中を泳いでいたものが
産院のベッドの上で
あし。になる
それはまだ
自分を支えることも
出来ないけれど
あし。と呼ばれる

こんなに
ちいさく
まだせかいを歩いてさ ....
かけひきを手放したあと一本の綱は誰とも手をつながない

おそらくは終わりのない作業と思うどこまで磨くか靴磨くように

憂鬱にふりかけられた粉砂糖かけられたまえこうべを垂れて

つまらないこ ....
待つということは
ときに苦痛をともなう
その時間を
固いベンチで過ごすのならば
背中は痛むし
柔らかなベッドの上だとて
安らかともいかない
点滴につながれた腕は夢の中でも痛むからだ

 ....
人は
なんどころんだら
上手に歩けるようになるのだろう
人は
なんどないたら
上手に笑えるようになるのだろう

だいじょうぶだよ
まるでごむまりのように
やわらかいきみをだきしめる
 ....
ひきちぎられたこころたちが
あきのてんじょうを
およいでいる

うめつくされて
ひしめいている
ちいさないきもののように
おびえながら
むれている

ねてもさめても
どこへにげて ....
人渡る綿毛が渡る交差点

秋には秋のバラが咲く

かたらいは満ちることなく月満ちて

人しれず録画の灯火浮かぶ夜

闇の闇の中にも闇のある

イキヅカイ犬の腹午後の怠惰のせ

 ....
たったひとしずくの水が
いったいどこからうまれてきたのか
だれもしらない
じぶんというほんしつに
たどりつけないように
しっているのは
ただここに
あるということだけ
それはじゅうぶん ....
窓硝子の向こうに
しがみついている一匹の虫
短い発車ベル
いくぶん傾いた駅を電車が出てからも
飛び立つことをせずに
じっとしている

終点を知らされていない線路はゆるやかなカーヴを描き
 ....
創作をやっている人ならば、公募に応募して自分の作品の評価というものを
知りたいと思う人は少なからずいるかもしれない。
そんな方に、なにかの参考になればと、まあ、ならないかもしれないが、記しておきた ....
この風を知っている
そんな気がするのは
夏を生き延びた生き物たちすべてが
その手をつないでいるからかもしれない

地球のどこかで生まれて
地球を何億回も旅をして
悲しみの涙を流す人のほほ ....
虫の音は過去から届くメッセージ紐解きながら浅い夢みる

つかめばするりと逃げてゆくとかげのしっぽに似た夜だ

まだら雲見ている猫の背中にもまだら雲がひとつぽっかり

朝起きて歯医者の予約を ....
おそらくもう夏は行ってしまったのに
夕刻になると
埋葬されない蝉がうたう
取り残されるということは
ひとつぶの砂のような心地
苦いさみしさだろう
――さいごの一匹になりたくないのです
生 ....
雨の夜
国道には死があった

帰り道を急ぐ車の
その一台一台に生があるその対極に
或いは
その隣りに

ぴくりとも動かない人間の脚はまるで
精巧なマネキン人形の部品のよう
アスファ ....
 左手にヘアアイロン、右手にスマホ。高校生の娘は朝の忙しい時にも、そんな習慣を欠かさない。前髪がそんなに重要なのか、ラインでどんな大切なメッセージがあるのか、聞きたいところだが、朝から言い合いたくない .... 夏のあいだ僕らは
危うさと確かさの波間で
無数のクリックを繰り返し
細胞分裂にいそしみ
新学期をむかえるころ
あたらしい僕らになった
けれど
ちっぽけなこの教室の
ひなたと本の匂いとザ ....
かつて まつげに
マッチ三本載せてみせた
少女は
そこへ
小さな蒲萄を
たわわに実らせたという

おとぎ話は
完結してからのほうが
むしろ真実だったりする

まばたきのたびに
 ....
かなしみのほうに
かたむいていく白い朝は
つかみそこなった
ひなたちが
さかみちを
ころがりおちてゆく

いきさきは
とおい御国か

秋という字の
右耳に
火がともっている
 ....
泡沫恋歌さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(705)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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水草と魚- そらの珊 ...自由詩18+15-11-15
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栞紐- そらの珊 ...自由詩1515-11-6
ノースバウンド- そらの珊 ...自由詩2015-10-31
かや刈り- そらの珊 ...自由詩1215-10-26
第12族元素より- そらの珊 ...短歌12*15-10-22
リキュールな朝- そらの珊 ...自由詩16*15-10-22
冬のはちみつ- そらの珊 ...自由詩20*15-10-15
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死を待ちながら- そらの珊 ...自由詩15*15-10-5
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まつげに盛られたファンタジー(或いはモナリザの微笑み)- そらの珊 ...自由詩15*15-8-31
おとづれ- そらの珊 ...自由詩16*15-8-28

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