崩れ落ちて来る鉄骨の群れ、
朱の血飛沫散らし
無機の呼吸し始め
振り絞られる意識の視界、
否定の十字の楔打ち込まれ
打ち震える貴様の両手両脚
野草ヒメジョオンの群れ
とっくの昔に埋葬 ....
異国の船は沖の無人島の側で沈んだってノイズだらけのラジオが言ってた、本来はアウトドア用のロングチェアーにもたれながら、海水をたらふく飲んで死ぬのはどんな気分だろうと俺は考えた、大量に飲むと気がふれ ....
ハンカチをほどくと、
(ル・クレジオ『モンド』豊崎光一・佐藤領時訳)
そのたびに
(パヴェーゼ『ヌーディズム』河島英昭訳)
生まれかわる。
(ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』 ....
ああ、海が見たい。
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
きみは海を見たことがある?
(パヴェーゼ『丘の上の悪魔』10、河島英昭訳)
ぼくは
(サルトル『アルトナの幽閉者 ....
コンクリート壁が壊されたいま
砂埃舞う荒れた道幅の右端には鉄門が建ち
中腹には小高い丘が盛られ
数えきれない肢体が埋められているから
幼 ....
ルーペをこらせば針は意外とでこぼこしている
ざらつく空洞を液で充たした
ニミリ
十ミリ
百ミリ もっと 震わせながら伸ばす
ずる休み
保健室の時計はゆっくり回る ....
シャリシャリと雪の降る、とてもカラフルで甘い、果実のシロップのかけられた、とてもささやかな氷河期をとても暑い夏の日に食べる。
色づいた
赤とんぼ
鮮やかな
命
命が首をかしげる
今日もおばあちゃんと折り紙で鶴を折る
最初に三角に折るところから
おばあちゃんは折り方を忘れてつまづいてしまう
だからまた折り方を教える
だめだねえ
弱々しく笑うおばあちゃん
毎日 ....
(短歌八首)
この腕を
走る青めの血の線が
あたしを冷たい女と告げる
最近は
みずから命を絶とうとは
どんな夜でも想わないのに
その刃 ....
何回目かの朝がすぎて
何回目かの夏がきた
朝から犬が吠えていて
朝から蝉が鳴いていた
犬は吠え終わったけど
蝉は決して鳴き止まなかった
メロウさんは屋根の上
柔らかく微笑んでいる
生ぬ ....
この朝に起き
ベランダに
真紅に色付き
咲き誇りゆく
ガーベラ見入り
そうしてしばらく
静かな喜びの感情
胸奥から心臓から
内底から満ち溢れ
とくんとくんと脈打ち
身体に隈なく浸透 ....
空の道を
持っている
鬼やんまは
幸いかな
幸いに気付く私も
・
夏は
短い
命
「秋風吹いて来たなあ」
八十数歳が言う
ポットから熱い湯を注ぎ、インスタントコーヒーを啜る。ここ数日カルキ臭がする。とくに体がコーヒーの苦みを欲しているわけでもなく、便通を促すためだけに口にする処方薬のような感覚だ。疲れた時、インスタント ....
あせらずに慌てずめくれ青春に書き記された1ページ1ページ
八月の
草加健康センター
高温のサウナで
汗を流していると
空襲の火の海で逃げ惑う人々を
想像する
熱い 熱いと
泣きながら 親や子を亡くして
祈りながら川に飛び込んだひとが
....
夏の
最終回の後に
秋が始まる
あいまいな最終回に
さびしみと歌う
・
さびしさの
突端に
幸せの家を建てる
歌は
すこし手をふる
・
月の鏡に
思いを
映 ....
すこしもやいでいる朝
木々から蝉たちのこえがふってくる
絵にかいたらこんなふうかな
まる
ひとさしゆびでそらにたくさんのまるをえがけば
きみもちいさなそのゆびで
せいいっぱいのまるをえがく ....
新鮮なみのりを睨む
可憐な枝の先っぽで水や 蜜をたっぷりたくわえ光と風にゆれ
何かに咥えられるのを待つ 豊かさを睨む
窓をのぞいたら 朝
朝は苦手、って 言ったらすこしは好きになってくれる ....
青空に
白く映える
雲は風に乗る。
夏の終りに
風に吹かれている
・
こころからあふれ出る
思いを
言葉に出来なくて
苦しむ人の
大切な悲しみもあるだろう
・
....
「古く止まった時をいま動かしたい」
そんなことを云って
破天荒な人生を
とてもかっこよく生きたひとは
そろそろ
「落陽」なんてうたを
歌いはじめても
よいかもしれないね
....
苔むす石塔が並び
そこだけしんと静まり返っていた
心の中で奏でる
誰ともわからぬ人への鎮魂歌
ふと黒い花びらのようなものが舞う
黒揚羽が私の周りを何周も
まるで魂みたいに飛ぶ
....
午前2時に起き
アイス珈琲を飲みながら
ゆっくりと釣り支度をした
午前3時
自宅から車を飛ばして約2時間で渓に着く
あぁ… なんということか
茶色い濁流がぼくを迎えた
こんなこと ....
元気だよ 琥珀のみほし 歌うたう
もういいよ たくさんもらい 生きてゆく
隠された きみへの想い かきいだく
想いでは あまくせつなく さわやかに
わかれ花 胸にいちりん 刺し ....
街の通り花壇周りの草むしりするおばさん達、
ぽつぽつと明かり橙に灯る小さな美容室、
青いバット握り締め素振り繰り返す少年、
サイレース貰いに早朝のバスに乗り込む私、
この街の営みの傍らに殺 ....
うっすら
光跡となり
響く声の貴女 、
あゝ 遠い記憶の
滑り台から滑り降り来て
またきっとあえるから
そう言葉ふるわせ
私を見上げ いった人 。
この白い画面から
各々の人たちが夏の思い出に何色が入ってるかを見ている
あたりまえに過ごすこと 羨望で願望しかなかったこと
夏の思い出はすきじゃない
病棟へ出入りするぶ厚い自動ドアが、こど ....
今日は天気の良い日曜日
渓を訪れる釣り人は多く
ボウズが続出し
挨拶をすると
水量も少なく
入渓者が多くて駄目ですな
異口同音のこたえが返ってくる
釣れないので{ルビ納竿=のうかん}する ....
休日の昼下りの
煙草には新鮮なコーヒーが必要だ
コーヒーには甘ったるいチョコレート
チョコレートにはソリチュード
私は私だけの為に
深煎りのマンデリンをハンドドリップで淹れて
....
あまりに広いお空だと
願いが消えてしまうから
あなたで少し隠れた空が
私にとってはちょうどいい
こんなに星のきれいな夜だから
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