Interlude。
田中宏輔

ハンカチをほどくと、
(ル・クレジオ『モンド』豊崎光一・佐藤領時訳)

そのたびに
(パヴェーゼ『ヌーディズム』河島英昭訳)

生まれかわる。
(ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』第Ⅱ部、高本研一訳)

ほどいてもらいたいかね?
(クローデル『クリストファー・コロンブスの書物』第二部・三、鈴木力衛・山本 功訳)

また苦しむためにかい?
(ゴーリキイ『どん底』第四幕、中村白葉訳)

もちろん。
(トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』第一部・第八章、望月市恵訳)

と、誰かの足音が聞えてきた。
(ホーフマンスタール『アンドレアス』大山定一訳)

半開きになっていた扉のほうへ振りかえった。
(アンリ・バルビュス『地獄』V、田辺貞之助訳)

父はそこにはいなかった。
(ウィリアム・ブレイク『迷った男の子』土居光知訳)

そのさきは、またしても海だ。
(ソレルス『公園』岩崎 力訳、読点加筆)

かぎりなく、もつれたりほどけたりしている
(ボルヘス『伝奇集』第Ⅱ部・工匠集・結末、篠田一士訳)

海だった。
(ナボコフ『キング、クィーンそしてジャック』出淵 博訳)


自由詩 Interlude。 Copyright 田中宏輔 2024-08-19 00:59:01
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