冬の凍空
水晶の塊となり
浮かんでいる
難破した砕氷船が沈んで
空のクレヴァスに紡がれる
大きな心の屈曲を抱え
帰港すべき場所を探す

空のクレヴァス突き抜け
漆黒の宇宙を見出すとき ....
たとえば洋服を買いに行って
最初に目がいく色ってあるでしょ?
私の場合は緑色ね


逆に まったく目がいかないどころか
手に取ることすらない色もあるでしょ?


時々、ふっと思うの
 ....
 
ひとりで飲み屋に入る今日の幸せが
奴さんだったりトマトさんだったり
糠漬け様だったり
 
  
 
ラビのパンの話を覚えている
僕もポケットに
ときどきにぎっている気持ちがある ....
うっすら片手から放った蝶の
宙に舞う
軽やかな息を継ぎ銀箔の輝き

陽光浴び

ささやか咲き誇る路傍の草花
から草花へ
蝶の軌跡 柔ら鋭く速やかに

 〈ありがとう〉

言ノ葉 ....
のっしのっし
あくまで青い
世界を歩く
大気に拡散し
冷気に凝集し

接吻する
あなた

なんにもない
なんでもない
もはやただ
のっしのっし
あくまであおい
せかいをある ....
慣れし故郷を放たれて夢に楽土求めたり
一度低く
故郷を放たれて楽土求めたり
一度低く
を、放たれ、土たり
いちど
を、土求めて
オクターブ
故郷求めたり

胸の奥底深く湧き水の波紋 ....
微分したキャンディーは溶けて
積分した気持ちは夕焼けに
またひとりの友が溶けてなくなった夜に
 
 
 
泣き屋はパンを返してくれた
そのパンは固くなってしまって
食べるには自分の ....
私を洪水に追いやった姉がいて
いつも酷い頭痛に悩まされる
スプーンや菜箸をやおらと持ち上げる習慣のせいで
編纂した辞書は全部私の産声で埋め尽くされた
おかげで生きることは大変な仕事になった
 ....
 
そんなことありえないって言いながら
しゃがんで花火をするローライズの腰から
見えちゃってる果汁100%
 
 
 
東京にもこんなに静かな夜の場所があったの
という思いが油っぽい湯 ....
一切の耳鳴り幻聴
停止し消えた束の間に
静かさに包まれ
遠き遠かさ
夜闇の底、

 懐かしき声の言ノ葉ヒビキ

未知未来から木霊する。
鍵をなくして
座礁した無人島の浜辺から少しせりだした夕日の淵で
釣りをするたびに地球を釣ってしまい
きれた糸の先に針をつけて
昨夜捕まえた痩せた月を餌に
じっと
新月を待っているような
 ....
 三分咲の桜が好き
 と云う私に
 葉桜が一番好き
 と 笑った彼女

 「なんで?」
 ほのぼの香る色にも
 一閃の青をみる
 硬質感ただよう清らかさ

 結婚前の彼女は答える
 ....
とおく
らいめい
また
いのちにもどる
そうきめた

+

よりそう
じしょたち
きょうは
ことばの
おそうしきのひ

+

しずかな
かみのね
おわらない ....
鯖の切り身に湯をかけて 
霜降り ぱちゃり 血合い取り
砂糖と酒と水と鯖 生姜もいれて くつくつと

落とし蓋 煮汁が飛ぶのをおさえつつ

甘い蒸気よ 換気扇 
外に抜ければ 冬の街
 ....
雲のネックレスが引きちぎれて
空から雨の粒が落ちてくる
地面にぶち当たり
次から次へはじけていく

鼻を空へ伸ばすゾウが
必死で鼻息を吹き出すけれど
ラッパのような高音は出ない
なし崩 ....
また
寒い朝が来た
外は霜で真っ白だ
この間まで
暑い!暑い!といっていたのに
また
寒い朝が来た
今年もあと一月
また新しい年が来る
めでたいのかめでたくないのか
わからない年が ....
今自分が
ここに在る
奇跡を思えば
つまらんことなんて
気にすんな
大切な悲しみは
零れる光であり
いのちの傷です
静かさに「悲しい」
とつぶやくのです
   
   「心」

 生命の底にあるのが
 わたし
 野を吹く風にさからって
 歩いていると
 影絵のようにみえてくる
 



   「大衆食堂」

 店の母さん 常 ....
このメニュウ
先生の部屋の座卓に置いてあった原稿用紙に
書いてあったこととそっくりだ

 
 
わたしにはぉろしあ人の血が混ざってるのよ
と言って出してくれるぼるしちは
いつもぬるい
 ....
仄かに明るいこの冬日
雪は遠くで降っていて
陶然と一陽に木霊する

数千数億の銀河の渦が
降ってくるよなこの今に、

 艶めく若芽の燃え出づる

未知なる時を紡ぎ出し
感覚を越えて ....
細々と、若い店員さんが
説明をしているうちに
柔らかな駅前には
ほんの少しの
路線バスが集まっていて
その人たちにも何か
美味しいと言ってもらえるような
ご飯を食べさせてあげたかった ....
黒でも
白でもない
灰色の
生き方で在る
私の濃淡
煌めき音響
コバルトブルー
響の色彩うねり
艶めき貫流する
冷える肉に
熱、熱を感じ
柔ら鮮やか
意識の開く

ひたすらな静かさのうち
雪降る世の あり
ゆるりとした鼓動のうち
 ....
 

イカのものすごいとこというのが
君にとってどこまですごいことなのか
よくよく聞けばイカの耳も使うとか
 
 
 
ビールと合うのかなと言ってるそばから
くさい くさいといいなが ....
貴女の瞳の
奥底から湧く光、
わたしを私たらしめる
この世界の根源なす言ノ葉

やわらいで此処を生きる日々、
貴女に近づきゆく行為なりと

 宙空に伸びる細い板橋渡り進む
 眼下には ....
  「独白」


 霜の立つ
 音のきこえそうな 
 夜に一人で居る時は
 吐息など捨てようと
 幾度 思った事か


  「街の鴨」


 商業施設の脇を流れる
 堂の川 ....
無限に向かって
矢を放つ

はらはら
落ち葉の舞い散る最中、

すっとずんと魂の力込め

  *

水である
ただ水で在り
溢れ出る水流
源の力、
泉という無限

   ....
宙空の水の色、
無限のひろがり

それぞれの人生を抱え
街行く人、人、人

無限のひろがり
その微妙に震え降る

誰一人気付く者無く

  *

殺し合い続く、
この世界に ....

私の滴が落ちる
テーブルの上
水たまり
ほら、私がいる


私の
私の滴が落ちる
テーブルから床へ
水たまり
ほら、私がいる


揺れすぎて歪んで
まるで涙みたい
 ....
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