なつのたまてばこ
そらの珊瑚

すこしもやいでいる朝
木々から蝉たちのこえがふってくる
絵にかいたらこんなふうかな
まる
ひとさしゆびでそらにたくさんのまるをえがけば
きみもちいさなそのゆびで
せいいっぱいのまるをえがく
せかいが
そんな丸でつながったらいいね
ひとのこころはなんどいびつになったとしても
まるからうまれ
いつかまるがとじられておわる
としても
このなつ、一緒に生きている
汗ばんだきみの手の
やわらかさを
体温を
わすれないようにぎゅっとにぎる
にぎりかえして
にぎりかえす

やがて
きみはてをはなし
あかるいほうへかけていった

ことしも蝉たちのこえが
こころのふたをあける


自由詩 なつのたまてばこ Copyright そらの珊瑚 2024-08-10 08:51:06
notebook Home 戻る