木漏れ日よりも冷たいから
慣れるのも早い都会の暮らしで
瞼の重さに振り回されて
夜の長さが一人で歩いた
さよならは何故
終わってしまうのか
もしもこの雨が痛みを
強くするもの ....
もう寒くないのに
この冬は寒くなかったのに、
雪を待ってるなんて、バカばかり
あの日は、待っていたけれど
ただの風邪のように鼻水を
すすりながら、心も
カビないのは寒い ....
今この場所から離れていく
飛行機や新幹線のように
全てを持っていけないから
思い出に変えて胸にしまうんだ
時が経てばあの日の涙も
私を飾ったリボンみたいに
滑り台を作り未来へと進む
....
明るい銃弾の色をした
めざまし時計が横たわっている
埃を布のように被って
孤独を基調として
さみしさに囚われ人は揺れる
時計の叫びにさみしさはない
小さな物のはっきりとした孤独は
....
ふっと森の脇道に
消える女の
コートの裾が引き摺られ
土煙上がり
瞬間の
狂騒に黒い幹がそそり立つ
森はやがて雨に濡れ
ひっそり静まり返っている
海面を渡る光の長さで
私はスカートを履いた
浮き輪が欲しくなるくらい
慣れなくてうまく泳げずに
恋が満ちて来たから浮かぶ心
めくられて分かる薄い血管に
あなたが流れて来るまで
....
千鳥足で夜は歩き濡れた草の間に風と横たわる。夜は朝に焼かれていく。私は夜の肋を撫でて、その灰を撒きながら昼を千鳥足で歩いていく。また夜が芽吹き、我々は酒を酌み交わす。何度死に何度産まれ何度生きたのか、 ....
変わらず
愛娘と手を繋いで歩いた
川沿いの遊歩道はあり
(愛娘だけ不在となり)
果てなく伸び行く
この年の瀬、
変わらず
私は独り生きて 居て
白い部屋で
晦日を迎える
変わらず
....
歩道橋に置き忘れたコーヒー
読みかけの本にこぼしたまま
君が吹き出しに入れた言葉は
走りながら抱ける愛みたいだ
街が汚れてるから見て来いよ
幸せを濡らす景色に気づいて
歩道橋へ ....
かなしみがわからない
あなたのかなしみがわからない
わたしにはどうしても
わかることができない
あなたにもわからない
このかなしみはわからない
こんなに近くに居るというのに
二つ ....
僕の経営するさみしがり屋は年中無休だよ。
店先にちょこんと座り、君が来るのを待ってるよ。
切り分けた林檎が赤く錆びていく
季語は冬午前の雨にやぶれ傘
転んだよ雨の泥濘寒い空
転んでも直ぐ立ち上がる道師走
新年が来ても無口はかわれない
餅喰って喉に詰まらすお年頃 ....
小説のラストに書かれている
夢はまだ本当を知らないまま
ぶつかることや慰め合うこと
抱えたものが不安だとしても
落とさなくて良かったと思う
いつも挟んでいる栞みたいに
数ページ先の ....
私という人間が日夜老化の一途をたどっている
本体も部品も劣化している
すでに
見えてるところや見えない場所が壊れたり役目を終えたりしているような気がしてならない
時間に喰われて
その内完 ....
電気スタンドの明かりに
積まれた本やらは
箪笥の戸にくっきりと影をつくる
曖昧さのない
算数のような稜線を滑っていく
ジャンパーが着地したのは
真っ白な雪の上でした
ぬくい炉の夢でした
樹間から
覗く冬晴れの青、
ふるふる震え
落ち葉舞い散るこの夕べ、
時はすっかり透き通り
遠い記憶を辿りいく
)何があったか
)細かいことは忘れちまったが
)ただ喜びと懐かしさだけ ....
スリープ状態の
パソコンの黒い画面が
この部屋にあっては
異世界への入り口のようで
なんだか夢がある
画面に触れてみようとするが
折角の夢が壊れると思い
触れかけた手の
指を鳴らして骨 ....
ひこうき雲の真っ直ぐな心に
傾けた頬が日焼けをする
重さのない林檎を乗せたまま
走ることができるまで
ジグザグに進んだこの道に
打ち水が飛んで来る
ひこうき雲の尻尾を掴まえて
....
自由という字には7つの部屋があります。
どれを選ぶも、どれも選ばないも、君の自由です。
最近 鳥の鳴き声を聴きましたか
最近 波の打ち寄せる音を聴きましたか
最近 雑踏の喧騒を聴きましたか
最近 話し掛けてくれる人の声を聴きましたか
ぼくはどの音も聴いていません
聴いたのは ....
今頃、どこら辺に居るのだろう?
君が旅立ってまだ一日と経っていないよ
けれど、わたしは君がどこへ行ったかを気にしている
何も手がつかなくて日常が荒れ果てていったとしても
わたしは君の居場所を探 ....
夜の入口にて
誰かと誰かが話している
太陽が無限に没した後
地球という宝石箱はぶちまけられ
夜の入口にて
誰かと誰かが話している
蠢く闇に包まれて
密やかに、密やかに
....
歯ブラシの先が割れて開くまで
僕等は何を磨いて来たんだ
青春が落ちてまた繰り返した
砂時計の窓かも知れない
心臓に咲いた花のように
誰かを包める優しさはもう
屋根がなくても登っ ....
月夜の庭の物陰で土と溶け合い
消失していく段ボールの記憶よ
何が盛られていたのか
空洞となって久しく
思い返すことはないだろう
お前は満たされた器でなかったか
ある時は瑞々しい ....
パチンパチンと音がする
シュンシュン シュンシュン、音 響く
半端な冬の夜半過ぎ
黒ずみ弾ける二股鞘と
剥き出される真っ赤な種子
街灯に照らされアトランダムに
蒼い地面に撒き散らされ
....
雨は小康状態で
放課後の気配に似た
澄んだ空気が鼻を通り抜ける
走馬灯の影が揺れる
それは微かだったから
嫌な思い出も浅瀬で泳いでいる
本当に深いところで
思い出すものさえ虚像だとして
....
荒波白波 眼底痛
堪え堪えて書いて書く
笑っておくれよ、地蔵虫
少しの集中で火を噴く目ん玉
だから書けるうちに刻み込む
生きているから痛いのさ?
そんな生半可な答えでは納得せぬ
....
小さな大阪で生まれ育ち、小さな大学を出て、小さな大人になった。
小さな大病を経て、小さな大切に気が付き、小さな大福を手に入れた。
木々は枯れて葉は落ちて
遠く鳥の群れが過るとき
裸木の梢に半月が
白銀の色を散らしながら
真冬の空を愛撫して
ぽっかりうっとり浮かんでいる
)あゝやっぱり今日もまた
)永劫宇宙の営み ....
君の言葉が
僕を貫いて
揺さぶって
世界を変える
そう思っていた
期待だけが膨らんで
君が見えなくなって
僕の世界は窮屈になっただけだった
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