美しい寝顔に何を置こうか
鼻の高さに届く影を
閉じ込めるまで近くに行き
寝息を感じるだけで
輪郭の間を泳ぐ空気を拾う
この世界の限界ほど
目の前にある青い瞼が散り
....
御存命でしょうか
なんて言われたらあなたはどうします
餌が鳩を縛るまま
衰退は止められなかった、と
御存命でしょうねたぶん
ただ、絵筆に描く人が見あたらない
それが哀しいのです
....
その墓はアフリカ大陸が視える小高い丘にある
だけど墓地ではない あるのはその墓だけ
その墓には埋葬された彼の名前も
1894.5.27に生まれたことも
1961.7.1に亡くなったことも彫 ....
どてらカボチャが降って来る
滝のように降って来る
頭をぶるんぶるん振り回しても
俺の脳は考えない、感じない
どてらカボチャはオンオン鳴く
夜陰を軋ませ鳴き続ける
俺は独り、立ち尽くす
....
冬に映える黒髪の獣の口から、あなたとの四季のため息が風に巻かれていくよ。あのシャボン玉がすべて包んで弾けたからぼくやきみの悲しみさんはもうないんだ。同じように喜びも弾けて消えるからまた悲しみさんはとな ....
君の小さな手は僕にとっては偉大なのです。
その手は僕に対して偉業を成し遂げているのです。
透明に見える水が本当は青色だって知ってた?
真実を見抜くその瞳も
本当は透明なんかじゃないんだよね
わたしがその事に気付いた時
君は動揺を必死に隠そうとしていた
その瞳に色を宿して
....
雨がアパートの一室の屋根を叩く
時刻は午前零時を回っても
眠れなかった
天井からぶら下がってる電球は裸
彼女の想いは天井を突き抜けて空を飛んでいる
飛んでいると言うよりは
雨のなか ....
北風が吹いている
冷ややかな晴天に包まれて
真冬の気配が漂っている
僕は相変わらず臥せっていて
君の姿は遠くある
遠く響く君の声
僕は抱きしめ此処に居る
)君、ぼくたちはどこから ....
空はダークグレーのイマジネーション
見上げるビルの谷間に昇る赤い月
乱立する電柱の影が貼りつく街並み
斬新なアートの生産の情熱は
冷めたのが多数派
愛はない
星が流れたり生まれたり ....
砂時計の青い砂を風に飛ばそうよ。
180秒の砂を遥かな青空へ返そうよ。
胸のロケットが燃料を探し
手が届かないまま
延長コードの先に明日がある
ような気がしてた
ミルクを入れたばかりの
コーヒーみたいに
白い道で誘う夢がひとつ
寝返りを打つと消え ....
毎朝、小さなお守りを一つ握って家を出る。
それは例えば、食パンの留め具だったりとか。
右へ直角に折れると行き止まりで
/引き返してまた右へ折れたら
これは売り物ではないのです。と、
店員さんに断られたよ。
やっぱりお安くなってない、バカはいつも戦車を欲しがるんだ。
トイレ ....
死ぬまでに全てを抹消してしまおうと
無駄に生きていても天球は確実に回転して
とても言葉が軽い時に
やっぱり訃報と交換なのだが
Resetすることを恐れてはならないと想う
リセットで救 ....
冬の野のポケットにいま入ります
たまにガムが地べたにこびりついとる。あれは、俺はガムなんか紙に捨てないんだぜ、地面に、ペッなんだぜ、じゃなしに噛みながら歩きよったら、なにかの加減で口からポロンて、出たんかもわからん。
サーカスとは
ライフル銃の回転もなく
ただ無防備に
悲しみの心が
ただこのサーカスに舞うころ
流されている
こころぼそさが
ふたりの身体をひとつに溶かすけれど
そのと ....
無私の愛が
人の魂の病を癒し
肉の病すら和らげる
冷える夜陰の静謐に
天使たちは降りて来るのだろうか
自愛に充ち病んで倒れる己の許に
あの遠い日の海の夜明け
靄と波の戯れに 無音 ....
とうめいな折り紙で
紙飛行機を
折ろうかと
おもった
夜あけまぢかの
ひがしの空へ
飛ばそうかと
おもった
けれどあまりにも
なにもかも乗せているので
てばなすことがこわい ....
いつまでも、眠っていたい
冬の朝のことです
じぶんから逃げ出した
ふりつもる悲しみから、
追いつめられた仔犬でさえ
それでも牙を剥き
過去と戦おうとしますが、
....
彼女とは幼馴染みで
産院のベッドまで隣り合っていた
あなたが産まれて その一秒後にわたし
、そんな感じの 二人はとても仲良しで
家庭の諸々もが似通っていたし
それがいまでは点の上にあなた ....
居酒屋やカラオケ屋
ラーメン屋に無料案内所
ゲームセンターもある
賑やかな商店街を
たくさんの人が歩いている
欲望の遊園地
大量のゴキブリが潜んでいそうな
そんな淀んだ眩しさがある
大 ....
自転車置き場に届く光が
まだ短くて生まれたばかりで
跳ねた髪の毛を撫でる時だけ
僕の顔を見つめるように
寝返りを打ったその体は
宙に浮くほど細かい指先で
カゴの中を編んでいるけ ....
彼はアナログの世界に産まれた
自我に目覚めて初めて眠りから冷めた朝のこと
家のなかはがらんとして静まりかえっていた
人は誰もいなくて 気配さえ感じられなかった
まだ幼い彼は泣き出した
....
寒ければ
プラネタリウムがある
星座が喧しい
水鳥が鳴いているのか
かきむしられる尖った声が聴こえる
寒ければ
空を飛ばなくていい
見下ろすと小さな橙の灯り
死の象徴 ....
四国の方へ行って来ると
昔の君は言いました
僕は不安で尋ねました
いつまで行って来るのと尋ねました
すると君は言いました
ずっと行って来ると言いました
僕は淋しくなりました
....
やけどと化膿が同時に起こったような
波打つ赤い雲が道のようになって
遠くあの山まで伸びている
少しの風では
雲の流れを追うことは難しいが
ピントを合わせば
ゆっくりと流れているのが分かる
....
フレームだけを残してフロンティアが
朽ちている、錆びたフレームを隠すように
蔦が這い、忘れられた、いろかたち
老人が指差す、そこが境目だと
フロンティアがあったと、かつての
開拓地を指し ....
胸に重しする神経の蓋が
外気を変換したエチレンの炎によって
じじじと燃やされて孔を開けられる
胸に溜まっていた喜びは孔から噴き出し
(喜びが在ったことにまず驚いた)
雷のように鋭く光って私を ....
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