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知らない国の見果てぬ路線図
ここで乗り換えると海へつながる
春を見たければ各駅停車で

こうしているうちにも
砂時計のすなはおちつづけ
耳をかたむけると
さらさらさらさら、とささやき
 ....
ミモザの木は枯れてしまい、可憐な黄色の花はもう記憶のなかだけの花になった
枯れた原因は、ミモザの木に肥料を与えたせいだったようだ
あとでわかったのだが、ミモザにとっては不必要なものだったらしかった ....
朝からユトリロの絵画のような
白い空が満ち満ちていました

夕刻になってようやく
この惑星に落ちてきた雨は
みぞれに変わり
ぬかるんでいくわだち
いつとはなしに雪になり
夜になってはさ ....
 虹の国

ヒバリは高く飛び
庭で虹を作って
笑いあったひかりの季節は過ぎた
あの虹は
偽物だったのかもしれないし
本物だったのかもしれない
空に虹が架かるたび
そこへ行ける気がして ....
いつか森のいちぶだったもの
小鳥をすまわせ
そのうたに耳をかたむけていたもの
みどりの葉をめぶかせ
ゆびさきは空へとむかう
よるになれば流れる星のゆくえを占ったもの
むささびの発射台になっ ....
そろそろと人間が影絵になる頃
通い路の柳がそのうでを
わたしのほうへ
やさしくのばす
はらっても
はらっても
しなやかなそのうでは
あきらめることがない
からめとられたら
わたしも
 ....
草々は刈られ
広々とした川辺に
一本足のたんぽぽだけが刈られずに
ぽつんと取り残されていた

小春日和はきまぐれに
命の鍵をもゆるませる
死ぬのだったらこんな日がいいなと
薄い皮膚のま ....
もとより文鳥は風切羽を切っているので
高くは飛べないけれども
不便はない、という
狭いこの診察室で暮らしていくには
ここには空がない
文鳥は空を知らない

ねえ
鳥の脚を見て
そこだ ....
爪を切ろうと思い立ち
爪切りを探す
スフレを焼こうと思い立って
泡立て器を探すように

引き出しの二番目
わたしを待っていたかのように
すぐに見つかった
それは切った爪を受け止める装置 ....
ぼんぼりが灯る参道すれ違う人のひとりがあなたのようで

いつだって食べきることができないでもて余すのに追憶を買う

はかなさとうつくしきこと金魚釣り尾ひれ胸びれ赤い焔よ

人波をぬければ路 ....
お寺の境内の一角、緑の葉が繁り、そのところどころで小さな可憐な花が咲いている。
その紫色を見ているとなぜか懐かしさでこころのうちがあたたかくなる。
「萩の花だわ」
すれ違っていく観光客の会話でそ ....
小さく咲いたバラは
小さく散っていく
はなびらは
真新しいももいろの紙石鹸みたいに
つややかなのに
一度も泡になることもかなわず
埋葬されないいのちだったもの
うつし世に迷い込んだ
黒 ....
すこしもやいでいる朝
木々から蝉たちのこえがふってくる
絵にかいたらこんなふうかな
まる
ひとさしゆびでそらにたくさんのまるをえがけば
きみもちいさなそのゆびで
せいいっぱいのまるをえがく ....
朝、のどの違和感で目覚める
よるじゅう、26度に設定した冷房のせいだろうか
そうだとしてもそれを選んだ自分の失敗だ
イソジンでうがいする
その赤褐色の液体の色はどこか禍々しくて
さらに薬品特 ....
空に舞う麦わら帽子目で追った時のはざまで行方は知れず

海からの帰り道はいつだってしぼんでるのにからだは重い

アスファルトに立つ陽炎は死んだら負けといってるみたい

蝉たちがぴたりなきや ....
寄せては返し合う
はてがないことのふしぎ
ここから命がうまれたというふしぎ
だとしたら
この水はなにからうまれてきたのだろう
半島の先でぼんやり待っている三ッ石
今はまだ歩いてはいけないけ ....
図書館へ続く石の階段
日陰には
きのうの命がただよっている
雨ののち
ひごとに深くする手鞠花の青
カタツムリは絶滅したんだろうか
遠い子守唄
世界に向けて閉じられた手提げの中はやすらかに ....
食べたもので人の身体は出来ています。
そんなことはいちいち考えずに
その日の風まかせで
献立を決めてきた

心は何で出来ているんだろう

手元が狂うのは永遠の一瞬
包丁の刃で切り落とし ....
ぎゅっとにぎった手のひらに伝わる金属の鎖の冷たさ
そっけない硬い木の座面
離してはだめだよ と降ってくる、声
靴底で蹴るとざらっとして土埃
膝で漕ぐたびに
行ったり来たり
ふりこはゆっくり ....
テーブルの上で
蜜柑が燃えている
そのふところにたたえた水を少しずつ手放しながら
冷たく燃えている
つやつやとした
ともしび

坊やが食べこぼした
アルファベットびすけっとのかけらたち ....
手をふるときは
まっすぐになってさよならに添えられ
指切りをするときは
その関節はやわらかく曲がる
一番ちいさな指

小指が
だれかの小指と出会うとき
非力な小指ゆえに抱き合うことがで ....
「きのうのよる、ミイちゃんがかえってきたみたい。ほら、からっぽになってる」
わたしは妹に話しかけた、からっぽのミイちゃん用の銀色のお皿を持って。
「ほんとだ、ミイちゃん、かえってきてごはんたべたん ....
長い通院生活も今日で終わる
とある春だった
通い慣れた道、河川工事はまだまだ続くらしい
詳しくは知らないけれど新しい駅が出来るという
パン屋、スーパー、マンションや公園、行き交う人々
駅を支 ....
三月に降る小雪をつかまえようと
手のひらを天にむかって
差し出せば
どの子もふわり、
風にひるがえりながら
上手にわたしをよけて
アスファルトへと着地するから
こんにちはも
さようなら ....
身体のなかを季節が流れていくように
庭に春がおとずれようとしている
赤い花は生きたまま供物として捧げられ
緑の血液は地に滴り落ちている
土の中にも季節が流れている
人には見えないだけで
歓 ....
朝、いつものようにキッチンに向かう
痛っ、イタタ
キッチンの入り口にぶら下がっているのれんに頭をぶつけた
昨日まで柔らかい麻布だったはずだったのれんが
硬い板状の物体と化していた

一体こ ....
小さな庭の忘れ柚子
採ってみれば中がブカブカしています
ちょっと前まであんなに固かったのにどうしたことでしょう
果汁を絞ってみたところで焼き魚の足しにはならないでしょうね
この数ヵ月ですっかり ....
亡くなった犬が鏡の中から
わたしを見ている
わたしの手のひらに隠している
おいしいものを知っているのだろうか

名前を呼ぶと返事のように尻尾を揺らす
黒い鼻はしっとりと濡れ
いかにも健康 ....
朝は曇っていたけれど
天気予報を信じて洗濯した
どうせ一日では乾かない
束の間の外干し

冬生まれの子はよくミルクを吐いて
深夜に洗濯機を回したものだった
洗濯物はいつでもエアコンで部屋 ....
寒さと賑やかさが混然とした師走だった
子どもたちは家の手伝いを請け負う
障子に貼られた紙をビリビリに破ることほど
心躍るものはなかった
 平素子どもたちは無自覚に平凡で暇だったから
洗われて ....
大町綾音さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(49)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
あなたがすこしさみしいときにも- そらの珊 ...自由詩11*25-4-22
花のあとさき- そらの珊 ...自由詩10*25-4-8
ミトン- そらの珊 ...自由詩19+*25-2-2
めざめるすこしまえの本当- そらの珊 ...自由詩16*25-1-4
すなはまで骨をひろう- そらの珊 ...自由詩16*24-12-27
かよいじ- そらの珊 ...自由詩15*24-12-1
川辺の物語- そらの珊 ...自由詩13*24-11-22
ものぐるほし- そらの珊 ...自由詩14*24-11-5
爪切り- そらの珊 ...自由詩9*24-10-16
夜市- そらの珊 ...短歌5*24-10-6
慈雨- そらの珊 ...自由詩14*24-10-4
お彼岸- そらの珊 ...自由詩12*24-9-17
なつのたまてばこ- そらの珊 ...自由詩13*24-8-10
このかどをまがったら- そらの珊 ...自由詩13*24-7-30
サマーノート- そらの珊 ...短歌7*24-7-23
なぎさ- そらの珊 ...自由詩12*24-7-2
素足にサンダルをはいて- そらの珊 ...自由詩17*24-6-25
虹は出そうにないけど- そらの珊 ...自由詩16*24-6-6
小さな冒険者- そらの珊 ...自由詩15*24-5-26
夜のテーブル- そらの珊 ...自由詩8*24-4-13
指切り- そらの珊 ...自由詩12*24-3-29
ミイちゃん- そらの珊 ...自由詩9*24-3-20
紅白もくれん- そらの珊 ...自由詩12*24-3-19
人は何処へいくのだろう、命ひとつ抱えて- そらの珊 ...自由詩15*24-3-2
うた- そらの珊 ...自由詩10*24-2-11
のれん- そらの珊 ...自由詩8*24-1-18
柚子湯- そらの珊 ...自由詩5*24-1-16
鏡よ、鏡- そらの珊 ...自由詩13*24-1-2
冬日のこころ- そらの珊 ...自由詩8*23-12-20
師走雑感- そらの珊 ...自由詩10*23-12-16

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