冬の始まり秋の忘れ物

真っ赤な紅葉が
地面に寝そべり
手袋と間違われて
拾われる

掌に乗せる小さな芸術

手を温めるには
物足りないけど
目を休めるには
十分すぎる

 ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている

大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
ぼくの庭の死者たちがつぶやいている
《今年は雨が少ない……不作かも》
祖父かそれとも伯父か、まだ顔がある

死者たちはざわめく葉影のささやき
裸足で庭を歩けば確かに土は乾いていて
限られた ....
もうすぐ寒くなる
誓おうとして言いかけた
言葉を持ったまま
迷っている君が
好きだよ
いつまでも
言い終えないで
それがわたしの
永遠
傾けた心に
足りない言葉

底が抜けてる
ガラスのコップで
何をすくっても
こぼれしまう

ゼロに戻って
喉が渇いたな

きっと欲しいものが
あったはずだ

縁をなぞるだけ ....
いつかは枯れる花に

今日も水をあげる

いつかは枯れちゃうけど

今日は いまは

・・・生きているから
私たちは夜道を歩いてる
月明かりを頼りに

遠い世界から雷雨がやってきて
私の両耳をあなたが両手で塞いでくれる

夜中に目が覚める
部屋の中で風が吹いてる

私の髪はまだ濡れていて
 ....
幽霊、前世来世、

なんかはともかくとして

熱水鉱床に巣くう化学栄養細菌塊
ハオリムシ
共喰いし合うミズウオ
アンデス頂上に置き去りの少女のミイラ
一万メートル上空を漂う胞子雲
人 ....
明日のお陽さまが全くあてにならないように

明日のラッキーもあてにはならない

明日の不運の方がとても身近で

明日の雨降りの方がずっとずっと身近な秋

せめて傘だけでもあったらな
 ....
雪平鍋に鍛金職人の金づちの跡、沢山。
雪平鍋という雪原に彼らの足跡、沢山。
忘れるという草を踏みながら
掻き分けていく貧しかった頃へ

新聞配達のアルバイトで
何日目か分からないセーターを
夜空の色と比べて笑った

同じ青だからまだ大丈夫

空に抱いた憧れや ....
 娘は通院、治療、入院、手術を繰り返して
いたが、だんだん通常に近い生活ができるよ
うになってきた。歩けるようになり、カタコ
トの言葉が話せるようになると、娘とよく遊
んだ。

 一番楽し ....
もし
地球が半分腐っていたとしても
残り半分まともなら
それはそれなりに
バランスは保たれて
朝はやってくるし
日は暮れるだろう

何の根拠もなしに
そう思ってしまう私は
心が千 ....
生きてれば、きっと毎日が誕生日

雨の日に何故かあなたは晴れやかだ

少しずつ冬の私に変わってく
煌めく石ころを右のポッケに

大切にしまいこんで

輝くお星さまの残像を左のポッケに

もっと大切にしまいこんで

両の手は空けたまま

どこまでも追いかけていく

それは未知 ....
――雀をね 嫌ったカナリヤがいました

何故ってね 君に値段は無いだろう

僕には 値段があるからね

僕には お金を払ってくれるし

僕には 暖かな部屋もあるし



――雀 ....
秋の山中に巨大なプレーンオムレツあらわる。
黄金のイチョウの木々、楓はケチャップソースなり。
リボンを結べる
相手がいなくて
透き通るだけの
水は混ざらない

遠くに見えてる
夜景の真ん中は
光をくれたのに
返すものがなく

ホットミルクの
柔らかい湯気で
あなたを丸ご ....
鹿
という字に
お湯をかけるとあらわれる鹿に
みつめられながらカップヌードルをすすっている

いつまでこうしていられるだろう
これからの時代は
もっとたくさん間違ってしまうことも
ある ....
僕は、君が喜ぶような冗談をずっと考えている。
冗談を君と言いあう時間が、冗談みたいに楽しいから。
笑いながら楽しそうに話をする君が冗談みたいに大好きで、
その気持ちは、冗談にしたくないなと思う。
休み増えても給料歩合 酒は増えても出かけない


端からなにも無かったくせに 失くしたものと想いたい


よどむ曇天どんより映す 病める瞳になにを読む


下手なエレキと下手な詩吟と ....
こころの本当を覗いている
そこに何が存在しているのか

ただ飽和している
そんな感覚
それも定かではない

大切なものは命であり
これからどこまで生きるのか
わからない

何故だ ....
重ね重ねも雨に濡れ
あらゆる色彩、
交わり合い
響く響く樹幹に響く

)回転し続ける万華鏡

未定形な熱の力の流出から
記憶の底を割り空無に至り
鏡となって貴女を映し出す

透明 ....
朝の頭痛が
深海を泳ぐ
今日生まれてきたこと
精一杯謳歌したいのに
重い荷物ばかり背負って
へこたれている

涙の代りの汗が光っても
ちっとも綺麗に見えなかった

私はいつからこの ....
思いでの切れはし集めて並べたよ
ボロボロになった古い写真みたいに

今朝は青い空に白い雲が散らばっていて
実に清々しい気分なんだ

仕事中なんだけどさ
爽やかすぎて
仕事に身が入らない ....
《中央》を
突破する恋、選んだの
絶対未練が残らないように


ああ、それで
目の前の世界が音立てて
《冷たく》崩れる未来も知ってる


夜明けには
《たったひとつの》願望が
 ....
もこもこセーター
包まれて
見上げた空は
透明と青
伸ばした手のひらの中
走り回る赤色は
わたしのあかし
断崖絶壁に追いつめられて
片方の足を踏み外した

寝床の中で右側の足を蹴ってしまった
それで夢だったと気が付いた

それはきっと誰でも見るに違いない
断崖絶壁から落ちる夢

フロイト ....
アルペジオの
階段を探して
一本のギターが
僕を立たせる

ざわめくノイズが
傷口を開けて
剥き出しの肌に
残響を乗せた

空気が割れて
破片を集める

この世界で
光を放 ....
お陽さまに手をかざしてみたい

生きているってわかるから

お月さまに挨拶したい

今日は充実していましたって

瞬く星々 ひとつひとつに

流れてもらって 願い事したい

明 ....
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