インインと{ルビ頻=しき}り啼く蝉の声、
夏の樹が蝉の声を啼かせている。

頁の端から覗く一枚の古い写真、
少年の頬笑みに指が触れる。

本は閉じられたまま読まれていった……
 ....
悪意が溢れ出る
果実を丸ごと搾るよう
奥底から表層へ
広がる原野、聳える岩峰
足元は見えず
失われた痕跡
粉々に散らばる
声の断片

不機嫌な朝が夢見る夕べ
終わりから逆算される日 ....
蛙の大合唱が
消えて久しい

子供のころは
水田から一晩中
蛙の大合唱が聞こえていたのに

満月の深夜
小便に起きると
月の光にこうこうと照らされた水田から
蛙の大合唱がオーケスト ....
話をすればそれらは
すべて白紙になる、例えば
真冬の薄暗い水面を航行してきた
一艘の空気自転車が
小さな港に着岸する
凍てつく畑を耕す幼いままの父や
瓶の底に落ちていく身体
擦り ....
 靴音が恋を追いかける
 パダムパダム と
 絶え間なく追いかける

 その 切なさ 
 激しさから
 逃げようとするのだが
 もはや息が切れてしまった

 恋はほのぼのと燃 ....
   


土の中の箱の中に
しまい込められた
あの頃の未来の絵は
もうとっくに
古くさい世界で
  
そう
あなたはとっくに
幸せになってるはずだ

 

風の知らせで ....
いまは夏休みということだ
同じアパートの一年生がアサガオを持ち帰り
朝晩水をやっている
ここ数日の暑さも少しやわらいで
きょう風はさかんに木漏れ日をゆらしている
濃い影から飛び立った 一羽の ....
 未だ 秋は
 何処に居るかも解らない季節なのに
 あなたが別れよう という

 緑と
 白と
 二色に色分けた水が流れる

 橋に立てば
 上流にまわる水車
 そして
 長く流 ....
緑の灯り
セブンイレブン
一緒におでん食べた
さらに夜更けに

あなた飛び降り
わたし観ていて
あなた叫び
わたし聴き

ただただひたすら

静まり静かさに
均衡と調和
包 ....
 ゆれる ぬけがらの重さ
 ひとつひとつ 声に彫られた
 ふるい幹のこまかな傷と

 蝉と烏 青を奪いあう
 にぎやかな今日

 不意につまづく
 日傘をさした子づれの伝道師が
 扉 ....
夏の水の力を借りて
包丁を研ぐ
冷たい石の周りで
世界は沸騰し騒騒しい
蝉は
悲しみを
果てまで
追い詰めて鳴く

時折
人差し指で
刃に触れて確かめる
すり減りながら
鈍色 ....
貴女は歩み入り遠去かる
貴女は遠去かり歩み入る

あたたかなほのかな熱おびる私に
夜陰に響く遥かな声 大切なんだ

(闇に暮れゆく空、眺めては
既に別離しあなたを想い)

綴られて行 ....
空飛ぶフライパン
殺人者の群れ追い立て炒め
上方を眼差し浮かんだ黄色い三角
天の青み肯定し在るものと確信し観入り
地上の自らの鏡像粉砕し丸焦げになった殺人者の群れ
天の青み在るものの無関心な ....
 田舎のビルでみた 踊り場 シネマ
 月光 スクリーン 古びた壁に
 主人公、現わる とある風
 恋は またたく間に想いを伝え
 うかれ気分を流れに運び去られても
 次の季節に 誘われ飽きな ....
 又 戻って来た
 物憂い瞳で 上手く口説き
 心をさらいに来る悪魔

 親しげに抱きしめてくる腕
 あたしがいつも
 浮き草の様に揺れ動いているのを
 充分に知っている男

 取り ....
月の猫の尾を追い掛けて
形而上の色を弄る
ご機嫌な足取り軽やかな
夢に顕れる可愛いghoul と繋ぐ掌
(片手には鋭利な……)
喪服の似合う
少女の唇は黝く
列なる扉の奥に棲む静謐な安息 ....
雨が降っている
雨だと思う
すべてが細くなる
無い言葉
はずれた草花
消えていく庭は
町工場のところで
途切れてしまった
ノートの中にある
わたしの罫線
罫線に隠している
 ....
錆び色に暮れかけた綻びた路上に抱かれて、お前は静かに雨を待っていたんだ、記憶や宿命、そんなものに纏わるすべてを穴だらけにして排水溝に飲み込んでもらうために…一日はうだるような暑さだった、世界中が陽 .... 青い空が水晶の塊となり浮かんでいる
難破した砕氷船が沈んで
水晶のクレヴァスに紡がれる物語
深い意識のどよめきを抱え
帰港すべき場所を探す
クレヴァスを突き抜け
漆黒の宇宙を見い出すとき
 ....
太陽の下に立ち
自らの影を踏む
踏んでは離れ
太陽の下に立ち
また自らの影を踏み、

無数無限の直線 伸び交わり錯綜し
僕は蠢く蟻塚の中に堕ち昇り
燃える円 形創りながら眺めて

 ....
光と共に
踊る子どもたち
雨のなか
霧のなか
晴れ間の瞬間、
貴女のふっと微笑み

希望の欠片を見つけたよ
絶望の欠片を見つけたよ
ほら、ね
なんとも脆く儚い
在る永遠は
光と ....
水の 
なか
に、
泳ぐ


記憶のなかを
 明滅する光
濾過されて
 蒸留する

西へ、
それから再び東へ
ゆく鳥は
籠を抜けて
飛び去った

 八月の日 ....
 暗いバーで
 黒い服がよく似合った女が
 しわがれた声で私の名をきいた
 煙草とウイスキーの琥珀によどんだ目で
 笑いもせず何故
 私を 見つめるのか

 フロアから這い上がっ ....
刻も戯れも心音も手招いて誘う
こころ あちらへ こちらへ
揺るがして手放す
なみだの群れは押し寄せて 弾き 引っ張る
しなだれる砂 きぬずれの脚
よるの はまゆう



 ....
   ついにわたしの頭から木こりは離れなかった
   そこでわたしは木にいった
   「切ってしまうぞ」と
   しかしそれはわたしのもっともお気に入りの四季であり
   秋だった
     ....
  
ちいきをまもる
ぐりりとぐらら
りんせんたいせい
すいかのもよう

ちゅうかんかんりの
ぐりりとぐらら
りそうのゆめは
すぐそこなのに

ゆめのような
うつつのような
 ....
その
無名の深み

見つめ聴き入る、

歴史的平面的に辿らず
個体的立体的に観入り

巨大な細やかなもの 突然頭もたげる
歌詞カードは要らない ただ響かせて

脳髄から濃密に魂に ....
 遠イ遠イ雪ノ山
 降リル事ナゾ思ハズニ
 タッタひとりデ ノボルノデス ト

 誰モ ダーレモ
 女ガひとりノボッテイルコトナゾ
 知ラナイノデス ト

 止ンデイタ雪ガマタ
 サ ....
粗くささくれだった
無数の粒子躍る感触、
ざらつきむさぼり荒れ狂う
快の感情どうしようもなく
俺はいつからか狼に育てられた

しずかな夜の闇中に
明かりはふと灯るもの、
あらゆる策略弄 ....
目も悪くはないのに、
しじみ汁をすすった。
みんなきれいに殻を開いていた。
身をすばぶっては、
殻を空の小皿に捨てる。
最後に残った貝は殻が閉じていた。
そうか、お前は先様だったの ....
朧月夜さんのおすすめリスト(3474)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
陽の埋葬- 田中宏輔自由詩15*23-8-7
不機嫌な朝- ひだかた ...自由詩623-8-6
蛙の大合唱- ホカチャ ...自由詩2*23-8-6
空気自転車- たもつ自由詩12*23-8-6
落椿- リリー自由詩2*23-8-5
入道雲- AB(な ...自由詩723-8-5
百鬼百景- ただのみ ...自由詩5*23-8-5
- リリー自由詩5*23-8-5
夜想71〇一つに一つの- ひだかた ...自由詩5*23-8-4
青い影- soft_machine自由詩523-8-4
- そらの珊 ...自由詩13+*23-8-4
夜想71〇BLACKOUT- ひだかた ...自由詩5*23-8-3
Heaven_And_Earth_- ひだかた ...自由詩423-8-3
風のシネマ- soft_machine自由詩4*23-8-3
小悪魔- リリー自由詩8*23-8-3
殺人者- 医ヰ嶋蠱 ...自由詩423-8-3
落書き- たもつ自由詩15*23-8-3
ハード・レインを待ってる- ホロウ・ ...自由詩2*23-8-2
水晶の空(改訂)- ひだかた ...自由詩423-8-2
THRAK_3- ひだかた ...自由詩623-8-1
Fog(改訂)- ひだかた ...自由詩623-8-1
八月の幻影- ryinx自由詩11*23-8-1
黒い波- リリー自由詩9*23-8-1
潮夜- 唐草フウ自由詩7*23-8-1
きこりとスゥイーパー- 菊西 夕 ...自由詩3*23-7-29
虫送り(チグリス_チグリス_ユーフラテス)- AB(な ...自由詩1023-7-29
夜想70〇ドミナンテ- ひだかた ...自由詩423-7-28
雪女- リリー自由詩9*23-7-27
- ひだかた ...自由詩523-7-26
しじみ汁- ナンモナ ...自由詩5*23-7-26

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116