この冬に
するすると
ほどけてゆくことばを
つむぎ合わせることを
わたしが
わたしとして母に伝えるのは
愛が
愛のふりをして
また愛のようなかたちをして
そして
愛としてのことばを ....
信ちゃんはね。本当は信子と言ったんだ。
でもね、お世辞にも可愛くなかったし、美人でもなかったな。
ただ庶民的で気どらない親しみやすい女子だった。
信ちゃんはね、俺みたいな男にも気軽に話しかけてく ....
凍りながらかけてゆく
つま先の音が
まぶたの裏でひかっている
薄むらさきの血液が花を
さかせていた
降ってはかえる雪の
野は
斑にはるをくちずさみ
ついになった色から透けてゆく
した ....
{引用=暖冬}
緩んだ根雪から枯草が
冬の裳裾を刺し留める
立ち姿も変わらずに
乾いた虚ろが季節を計る
雪を被って種子は眠る
殻を破って溢れ出て
日差しに青く繁る頃
穿つような骸も ....
足首に線を引いて帰る
波の重さは鎖だと思う
その音を繋いだままで歩く
大切な約束のような錆に
起こされてやっと体に染みた
波は目覚まし時計に似ている
少しずつ流れを止めてしまい
幸せな時 ....
性格の明るい人と
性格の暗い人が何で存在するのか理解出来ません
それがもし生まれつきの個性だったら
それを
不公平の極みとしか判断できない私は
もしかしたら心の浅い人間かもしれません
....
裸木の梢が揺れている
春の匂いが漂う大気に
カラスの子らが群れをなし
春の肉感をついばんで
新たな季節の到来を
心底喜び身を震わせる
春を孕んだ大気のうねり、
若芽はもう膨らんで
....
夜には
僕の肉体は
さらさらさらと、
カーペットの上へ落ちていきます
はだのいろがあおく
こころのいろもあおく
人と一緒にいることに
適さない生物になっているのです
僕は
....
暖かなもの全てが鉛色の死に沈み
永遠は半旗のように項垂れ
希望が蒼い地図のなか迷子になる
顔を背けた神々と姿を現す悪魔たち
剥き出しの恐怖が白い小部屋に充ちるとき、
残されたことは全 ....
僕はマリオネットである
ただ、本当にマリオネットという訳ではない
まるで、マリオネットの様に動くからである
人にこれを買って来いと言われたら
すぐにでも買いに行く
人にこの仕事をお願いし ....
なにぶん英語が苦手なのでスペル間違えてるかも
人間生まれて息を引き取る迄に果たして何回呼吸を繰り返すんだろうな?
そんなの考えるに値しないの
かな
考えるに値しない事を
生活に何 ....
追いかけては払い 戻され
血の渦が逆流する
沼地に咲く菫 六月の花瓶
雑草をなめる一匹の小羊よ
睡る白い乳房の傍らに
ときに割れた皿で心臓をえぐり
手相が ....
人生はなんて豊かなんだろう。
昨日は、あんなにもいい日だった。
記憶を引きずることなく過去を全てしる者。
君が笑えば、私も笑う。
大いなる全体となった私は、
宝石を花の上 ....
末っ子で、鍵っ子で、角っ子で、隅っ子の僕です。
これだけヒントをあげたんだから、早く迎えに来てね。
とても贅沢な我儘かもしれない
叶うなら
叶えてくれるなら
失った分の若さを取り返したい
だけどそれは
けして過去を取り戻したい訳じゃない
私は私の記憶のいたるところを
黒く塗り潰 ....
机を挟んであなたと二人
向かい合ってからどれくらいの時間が経ったでしょう?
お互いに言葉を紡ぐことは無く
視線が交わることも無い
いつから二人はこうなってしまったのでしょう?
時計を見つめる ....
蟻みたいに地道に生きてきた筈なのに
キリギリスみたいに何も蓄えられなかった
冬が訪れてきて
寒さがしみじみと身にも心にもこたえる
冬の先に春は待ち構えてない
季節は断崖に続いているだ ....
{引用=朝}
朝を見た
眼球は冷え切り網膜は焼かれ
白銀が太陽光を押し広げている
湛え切れず溢れ返り飛沫を上げている
微かな凹凸にも蒼い陰影が添えられて
美しいという言葉は不釣り合い
目 ....
描くのは額縁があるからではないのだ
に切り取るもの
詩をなめる
同じく 虫眼鏡
色の点点 あ、あ
あたまの中では白い ....
バラの妖精に恋した
赤鬼の女の子
刺を角にして
ほらバラになったよ
妖精のような笑顔
今も残る鬼の俎に腰掛けて
思い出すのは
今はいない友達のこと
鬼の俎でお昼寝すれば
....
よる
あふれる
かなしい
ゆめだけ
あさ
こぼれる
かわいそう
ことばだけ
ひる
みちる
うれしい
ひかりだけ
十年も前
オレら
爆笑しながら
ドライバー一本 ....
まるでネズミ花火と歩くように
足がもつれて引っかかるけれど
動き始めた季節を予約する
心臓の位置が高く上がるほど
景色よりも先に進めるから
あらゆるものへ届く気がしていた
頬が染まる前のき ....
引き出しの中にも眠る
掬われないまりうすの舵
印影の消えた朱肉をいつまでもはなさない
無駄に広がる玄関の扉開けば山河原の礎石が
角松と放置されたここには誰も居ないという証なのだ
盥いっぱ ....
うさぎが会いたくて
白い 白い
自分とおなじような
白い雪を降らせました
馬鹿なこどもは
白いうさぎに合うことが
できず泣きました
うさぎも泣きました
白い白い 雪と
赤い ....
白雲の流れ
蒼穹の遥か
気圏を抜けて
光の銀河が渦巻くところ、
君の在り処がきっとある
僕の在り処がきっとある
今宵、河童や亡霊が
西の川から遊びに来る
水滴らせ遊びに来る
それ ....
石と薔薇、石と薔薇
逃れ去る永遠は
石に薔薇を刻み込み
無数の棘で肉を打つ
失われた日々よ、〃無限の〃想い出よ
過去さえ突き抜けて行く痕跡よ
)異国の人が通り過ぎ
)記憶が一 ....
i わ
たし は 書かなくてはならない
と
i わ たし は
b le ee di ngggg
机に滲みていきました
ある 日 わたしは
あたま に ラジオ ....
悠々と 悠々と
川面に浮かぶ
ひとつのボールが流れてくる
何も惑わず {ルビ煩=わずら}わず
橋を潜り
今日から明日の方角へ流れゆく
あのように
川の流れのなかを
ゆきたいな ....
{引用=
どうすればいいのか
わからない
貝の中で
泣いていた
日
それから
いちど海がかれて
空がおちて
ながくもないとしつきを
二億年と少しへだてて
....
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