その
無名の深み

見つめ聴き入る、

歴史的平面的に辿らず
個体的立体的に観入り

巨大な細やかなもの 突然頭もたげる
歌詞カードは要らない ただ響かせて

脳髄から濃密に魂に ....
 遠イ遠イ雪ノ山
 降リル事ナゾ思ハズニ
 タッタひとりデ ノボルノデス ト

 誰モ ダーレモ
 女ガひとりノボッテイルコトナゾ
 知ラナイノデス ト

 止ンデイタ雪ガマタ
 サ ....
粗くささくれだった
無数の粒子躍る感触、
ざらつきむさぼり荒れ狂う
快の感情どうしようもなく
俺はいつからか狼に育てられた

しずかな夜の闇中に
明かりはふと灯るもの、
あらゆる策略弄 ....
目も悪くはないのに、
しじみ汁をすすった。
みんなきれいに殻を開いていた。
身をすばぶっては、
殻を空の小皿に捨てる。
最後に残った貝は殻が閉じていた。
そうか、お前は先様だったの ....
あの日から
降り止まない雨が
心の奥底から言葉を溢れさせ
顕れる魂の穿つ隙間に
零れ落ちるような光滴たち
無数に煌めき散逸する
終わらない旅路の最中
訪れるもの一つさえ
未だ想い描けな ....
微妙に丸く円形保ち
輝く白銀、月か陽か

熱のもんわり夜に流れ溢れ、

私は窓辺に響きの感触 聴き取り
眠る未来の意志に霊性 納める
白蝋病の脳下垂体が午睡の最中に揺蕩う夢は、可視光線の乱舞の中の血の華、難消化性デキストリンが渇いた腸を掻き回す、グリアジンの気紛れな呪詛、五臓六腑で踊り出す、偽造通貨が廃棄物処理場で網膜に焼き付け .... 駄々をこねて
手に入れたものは
すべて行方知れず

罪の数と罰の数が
同じでないと知ったのは
ずいぶん後になってから

誰かのために摘んだ
花の毒に侵されて
薬指を枯らした
 ....
玉名市の「麗紅」という名の蜜柑皮は薄くて甘味が強い

老朽化の市営住宅壊される良い噂なく不人気だった

環境の整った場所大人気デザイン重視の市営住宅

春キャベツ甘く美味しく子に好評野菜嫌 ....
無音の
白い小部屋に
太陽の昇り、

どす黒く萎びた
紫陽花と
みんみん蝉の
執拗な鳴き声と

燃える夏の熱気に
憂鬱な梅雨蒸発し

無音の
白い小部屋
白いまま

昇 ....
潮騒の浜辺に無数の小蟹の赤々と横走り

懐かしい原初の磯の香に包まれ、

聖なるもの 降って来る
異様なもの 降って来る

独りの人 思い出の予感に打ち震え

記憶の奥から取り出され ....
 その影は
 駐輪場で談笑しているオバチャンを
 横目で捉え
 建設中のマンションの傍を行き
 細道抜けて 
 一軒の 美容院へ向かいます

 二時間後
 チリリン!
 ガラス扉が開 ....
白月、輝く果て
何が在るのか
混沌に呑み込まれ

現 仮の住まい、
間借り人
私は此処に佇み
静か激しながら
激しながら静か
一時に滞在する、

この世界の一位相

壊しなが ....
沈黙に
横たわる

熱帯びる肉体、

沈黙が
横たわる

内なる遠い地平を凝視し
空と大地の光彩とうねり

この小部屋の白壁が震え揺れ動き、

沈黙 重層し
静かさの内に
 ....
風が入り込み
這いまわり
出てゆくたび
ひとりになる


夜の地に立つ夜の洞
夜を二重に夜にする音
雨は洞を抜け別の夜へゆき
音だけがこちらに残される
 ....
夜をのぞき込む夜が
少しだけ喉を痛くする
壁の虫はどこへゆくのか
おまえはおまえの夜をゆくのか


朝に張り付いた昨日の雨が
陽に刺されては落ちてくる
ひとつの ....
空を海へ引く光の紐
雨と機械の音が重なり
遠い話し声となり
さらにさらに遠去かる


音のはざまに見える陽
すべては明るく
白いものの前に浮かんで見える
だが暗が ....
水をワインに変え
白い人、
時という河 滑りゆく

時は切り裂かれ
一瞬の永遠
その光景は開かれ

銀輪の夏、
梅雨を吹き飛ばし
緑亀を買いにお兄ちゃんと
灰白のアスファルト自転 ....
 落ち葉をひろって
 たったそれだけのことで
 一日が眠りつく
 つらい、けれど大切な別離があって
 急にころがる
 あなたの ひとつぶ
 それを どうか嘆かないで

 中心に感じて
 ....
蒼穹の
深い青に
走る無数の
力線、
私を貫く
光の感触

外は熱風吹きつけ
人は誰一人通らず
街道走る疎らな車
草木は光に酸素吐き
天からの力動引き受け

蒼穹の
深い青 ....
くらげの浮遊 人でなしの内省

穏やかな飛翔 其処離れ在り

  *

沈黙の時代の子供たちに
抑えがたい内なる躍動を
降りしきる雨中にキスし

懐かしい里の響き 紡がれ刻まれ
 ....
雨の気配を感じて手のひらを空へ差し出す

つるりとして
なだらかな
わたしの丘に
今日の雨粒が流れたら
くぼ地の枯れた水路が
一瞬よみがえる
かつて
そこへ流して遊んだ
笹の葉や
 ....
 ある女が 酒房に惹かれ
 やかましいその片隅に
 毎夜坐っていた

 沈んだ目が時折光る時
 女はカリカリと氷をかみ砕き
 強い酒に挑んでいる様に見えた

 何日かすぎた頃
  ....
 
 あれが あなたでしたか?
 傘をささずに濡れた舗道を歩いていた
 男の人

 何処か 空中を見詰めている様で
 視線をたどってみたのですが
 何もなかったので

 変な 人だ  ....
黄色い命の隊列、
燃える水となり流れ進み

私は未だ聴き続ける、

あの日霊園で買った菊の花束
それら手向け包み込んだ

白骨の、

独り黄色い命の残響を
さて、どの道死ねるので
絶望を失った
私は
いつまでも思う
ありがとうと


みんなの
魂という命は
永遠に
いっしょだ。そう
思い続ける力
いつもの街道沿い脇に
群れ開いていた紫の花、
今朝一斉に萎み縮んで
この移り変わる命の顕
改めて感じ入る私に
どろんと地平に上がる月、
その赤々とした巨大な異様
纏わり沸き上がる感情襲い ....
地は曇天を映し
そよめきに雨の残り香
小舟に乗せられた
遺骨をひもとけば
けむりの舞踊
黒く曲がった釘の群れから
鮮血の唇が この耳に
かすかにからまって
はぐらかす
この惰性 内壁 ....
明日はなにをしようかな

そうだ、
生きよう

誰でもなくていい
幸せでなくたって

季節の風が吹いている
部屋の中に集落ができた
小さな集落だった
本家、という男の人が話にきて
畑で採れた作物を
いくつかくれた
学校が無くて困っている
というので、近所の小中学校と
市役所の場所を教え ....
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