謎が多すぎる
のに
肝心な謎の正体がわからない
謎が謎を呼んでいるからだろう
謎の数を数え出すときりがない
羊みたいに眠れなくなった夜に数え出したが
余計に眠れなくなった
夜 ....
高い夜空が澄み渡り
晴れてはいても、なんともさみしい
きらびやかなネオンサイン
きれいだけれど、中身はからっぽ
あゝどうしたらたどり着けるのか
あゝどうしたら充たされるのか
途方も ....
ずっとナヤミ続けていた
ナヤミ続けていたけど
ナヤミの正体はさっぱり掴めなかった
その内に
何者かが
ナヤミから
ナ だけ盗んでいった
なので
ヤミだけが残ってしまった
....
14歳の頃 心から信じていた先生が言った
「今の君には無限の可能性がある」
「でも君がそのうちの1パーセントの可能性を選択した瞬間に、残りの99パーセントを失うことになるのだ」と
それは冷酷な ....
夕焼けが寝転んでいるニ年前
何も知らないから知らない場所にいる
俯くと五臓六腑も俯いた
夕暮れが立ち上がるまで影と待つ
ちりちりと
夜風が弾ける
肌の面
肉から解離し
タマシイの
涼やか響く
原音が
辺りに木霊し
光っている
脳髄はとろり
蕩けるよう
夜風にうっとり
流れ出す
彼方此方を巡 ....
一秒ごとに散っていく桜たち
雨粒のひとつひとつに町がある
絶滅した場所に手紙を書いている
ワカメたち一秒ごとに増えていく
数年の呼吸 だれかとともにいた
丘。荒れ狂う海。深層の平穏。緑青のガラス玉。無数のふしぎな気泡。ひとりびとり。椅子の背を撫でている手。雫とやさしさ。むなしい躊躇い。笹のスれる音。黒のビショップ。9570円。通知書。青空と奇声。凪いだ ....
神代、人新世最初期のtypewriterを攫取。
(論理破綻前提、送受信。)
*
考えることの大事さを感じる人はかつて考えることに救われたのだろう。
考えることの大事さを感じない人はか ....
外へは行けなかった
気持ちは列になり
この部屋で待ち疲れたよ
洗いざらしのシャツと
過去の自分にアイロンかけても
折り目に負けずに
歩いて来たから
胸が焼けるほど熱く
君を愛した日々も ....
竪琴がある。
竪琴とは複雑なあなたとわたしと、それから春の優しい鳥と。
風がある。
なぜ、風が惑星の{ルビ裳裾=もすそ}をかゆそうに笑いながら縦走するかは、誰にもわからない。
竪琴を納 ....
黄色いチューリップが群れをなし
大きな風に揺れている
地平遥か彼方から
沸き起こって来るあの風に
身を委ねて群れをなし
黄色いチューリップが揺れている
うっとりと
蕩けるバターのよう ....
はてさて、みぎを選ぶべきか
はたまた、ひだりを選ぶべきか
どうにも悩み疲れたのなら
みだりを、ぜひ、どうぞ
みだりが何者かと申しますと
物腰の柔らかな気のいい奴で ....
心地いい五線譜の上 止まる時間
あの時には桜は咲いていたのかな
誰かが眠ったこと考えている
+
生きていることを楽しもうと、生きてみる。
すると呼吸がよそ行きの顔をする。夕飯が腸のなかで踊りをおどる。心臓がメトロノームになる。
段々、生きているだけで満たされていく自分が浮き彫りにな ....
言葉も体と同じなので、つかわないとこわばる。動かしかたがわからなくなる。
さいしょはねじを巻くように、ぎしぎしと動かす。だんだん関節が動くようになって、のびやかになる。ストレッチ。何でも試してみ ....
降り続ける雨に
深く
深く秘められた瞳
まだ夜明け前に
音もなく迫り来る
もの
群れをなし
閉じられ、見開かれ
保たれ、放たれ
瑪瑙のように
深く渦巻き
浮き上がる
....
すべては過ぎていきます。
書こうかと何度が筆をとり、書けぬままにそれをおき、また筆を手にして動けなくなる。そんな日々でありました。もう何を書いていいのやら、だいぶ前から色んなことが煮詰まっている ....
人の瞳にだけ映っていた幻
からっぽが呼吸している無風の箱
各々のどうしようもなく遠い個々
花畑みたいな色の花が咲く
稲穂の先のビー玉の喧騒
夢はわちゃわちゃ過ぎていき
白雲もくもく青空に湧く
花の街には太陽燦々
老婆と少女が手を繋ぎ
廻り廻るよ廻り廻る
死の標的を撃ち抜いて
生の目醒めに眩め ....
ちょっと寂しいけれど熱っぽい宇宙
ワンダークールな時間の始原をゆめみる
いつも隙間だけで君を愛せたのだろうか
それともそれはただの幻想だったの
いつも反論がむなしいように
そのひとが ....
もしもあなたが詩人になるというのなら
その時点で未来はすべて捨てなさい
あわよくば名を上げて、などと
考えるのならはじめからやめておきなさい
もしもあなたが詩人になるというのな ....
欠落はせずに
只々遠く平板になっていくもの
追いかけても追いかけても
追いつけない現実に
後ろ手付いて息を吐く
二度と取り戻せない時の堆積
記憶は麻痺しながらも
思い出したように不意 ....
春が来ると
君が心臓に飼っている星座が
かぼそい声ですすり泣く
それを夜ごと聞きながら
どうすることもできない
ただ ほら
ルビー色のチューリップが咲いたよと
君の記憶の窓のむこうの
....
落ち続けている
ささえる力がある
死のことだ
意味のことだ
さなかに
生がある
まばたきもある
落下
お前が出会う地面は
風の麓
なんぴとも見たことの無い
君が教えてくれた勿忘草の花言葉を忘れない
ううん、そうじゃなくって、
勿忘草の花言葉を教えてくれた君を忘れない
おおきなくちをあけながら
だいちにあおむけとなり
あのくらいそらからおそろしくもふりしきる
あおだかくろだかのあめをごっそりのんで
やがてはつちにとろけてしまえ
しがつもなかばをすぎたのなら ....
削除しても削除したという事実だけが
追加されていくわたしにおいて
忘却さえも記憶の一部となる
無表情の女が追いかけられて
空回りしていく足元
もうだめだと思ってからの記憶は
今日も ....
荒波、白波、眼底痛
堪え堪えて書いて書く
笑っておくれよ、地蔵虫
少しの集中で火を噴く目ん玉
だから書けるうちに刻み込む
生きているから痛いのさ?
そんな生半可な答えでは納得せぬ
....
緑濃くなる街道沿いを
進むと終点が反り返り
生死の境がむせ返る
草いきれの香と共
立ち上がる
不可視の世界は余りに遠く
すり減る日々は余りに間近く
カウントダウンの切迫が
歓喜と恐 ....
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