森の匂いがした
渓を彷徨い歩き
釣り糸を垂れる
{ルビ生命=いのち}の重みを感じ
釣り人はそっとため息を吐く
白銀の氷柱
ずんずん伸び広がり
揺れ震えながら
やがて静止する処に
暗む青紫の花 、
ぽっと一輪咲き開く
冷え切った大地に
やがて打ち付けられ
亀裂の力動の悩ましく
振動の ....
こうえんの隅に描かれていた、
てんしの横顔を見て、
「祈りという文字は、ずきずきするから、いのり、へとひらかれていく、」
と、書きつけたくて、あたしがノートをひらくとき、
回転扉の ....
振動を伴う、低い響き、脳髄の共振が、俺の体温をおかしくする、すべてを投げ出して横たわる床、甘い煙草みたいな臭いの、熱に温められた部屋の空気、まだ滲む冷汗を気にしながら、少しの時間他愛の無い夢を見る ....
たなごころ広げてみれば初紅葉
乱れそめにし われなくなくに
読点の無い散文詩のように
ひたすら遠くへ限りなく続くかのような山道を刈る
それは、その行為はいったい何なんだろうと
我ながら思ってしまう
幼い自分、青年期の自分、雑多な怨念、過去の病的な行いや ....
○「無常」
いくら気をつけいても
自分だけ病気にならない
自分だけ事故に遭わない
自分だけ死なない
というわけにはいかない
○「死に方」
死に方は
人生最期の「大舞台」であろう
....
触れ合い通りに出れば
行き交う人々の多く
絆深く繋がり合い
手を握り合い
更に更に 、
奥まり拡がりゆく
触れ合い通りの
街並み光り輝き
光の帯と為り伸びゆく
果てに ....
お元気ですかと聞いてみたい
ぼくは元気ですと伝えたい
手のひらにきみの名前を書いてみる
すぐそばにいるのに
まだきみとは逢ったこともないのに
部屋の窓からみえる月光が
とても綺麗なだけだというとしたら
君が大人になれてない
しるしかもね
ほら、今だって
魚の掴み取り
したがったり
心地よいクッションに
寝そべって ....
あしをかわにつけたら
みなもがきらきら
みあげると
もりがそよそよ
きもちちいいな
ぼくのあしかな
ぼくのこころかな
かわもきもちいいのかな
おひさまもきもちいいかな
だからぼく ....
荒涼の沃野を散布する
貴女と云う銀鱗の輝き
生に震撼の死を孕ませ
〉生きたい処で逝きなさい〈
地球と天国を架橋し傘差し
伸びやか細やかな静かさの渦
秩序を壊しながら秩序を創り出し
....
たった、ひとつでいい
上手な恋がしてみたい
なんて想ったら
あたりまえみたいに泣けて来ないか?
わけもなく好きになるこころが恋なのに
それを器用な考えで
そのひとのことを ....
いみなんてずっと前からのこってない「かくこと」だけがここにあるだけ
転がって火のつく指に背に頬になんどもつめたい口づけをする
七七の拍子で揺れる夢だから 五七五はきみにあげるね
....
私は、軽っぽいわけじゃない
私は、ただ軽いのだ
あまり考えないから
なにひとつ考えないから
耳鳴りが止まらずに
深夜、眠れないときも
曇天つづきみたいな
未来への不安の ....
***********************
心の開き方を誰か教えてくれませんか
***********************
必要ないものはみんな処分するのよ
着なくな ....
いのちに
とおい
せっぷんを
するいのちはいのちと
いっしょになる
誰かを好きになるなんて
思ってもいなかった
形の違うクッキーみたいな
心と心を抱きしめて
ボロボロ泣いたり
ぺろぺろ舐めたり
自分が生き物だって
初めて気が付いた
寂し ....
ありのままに定めよ天馬は(苦い、)余裕ぶって
山百合の旋律をそのままに見つめても気だるげで
この影は、
どの光も。書いた言葉が外縁を彷徨いながら
頬は触れた感覚 ....
{引用=
いつの日か、還る頃合いを待っていた
ひとけのない停留所に 雨が、降っていた
行き先のないバスに、
いつもの場所で、ブザーを押さずに、
しらない土地へ、行ってみようと
....
こういう時も
書くしかない
いのちの衝動を
熱く
鉛筆をにぎり
・
みんみんぜみが
一所懸命に
愛の歌を
歌っているのを
ただ聞いている私
・
どの道
最後を ....
「冷やし中華はじめました」、それは夏を大まかに括っていた、水色の一枚の暦のように、町中華の古びたガラス製の開き戸に貼られていた、その水色の張り紙を、店主のおっさんの手がゆっくりとひき剥がしてゆく、ぽっ ....
過ぎ去りゆくもの
全ての虚しさから
新た在るもの創造され
萌え出る生命たち
ぐんぐんぐんぐん生成する
「思考の遺産を身につけて
私はこの感覚世界に歩み入った。
神の力が私をここに導い ....
白い折り紙
茶色や灰色を裏側にして
折って畳んで持ちあげたら
イノシシの肩甲骨に
トンビの翼に
エゾジカの硬い角になって
歩く
駆ける
羽ばたく
私の手の平に包まれて
....
私の母親の両親は どちらも良家の生まれだったらしく
蔵をいくつも持っているような村一番のドン百姓だった
祖母の家は代々蚕を育て 絹糸を紡いでいる家だったらしい
祖父の家も詳しくは知らないが ....
郊外から久々に都心に出れば、
拡がり迫り来る無機空間の
白壁に聳え立つビルディング群、
それら狭間に伸びるアスファルトに
浄められる如く洗練された装い身に纏い
行き来する一律精巧細工な女の子 ....
澄みわたる
青い空を
深く深く
みつめると
静かさ胸にしんとする
・
形見の歌を
声に出して
なぞる
あのひとの
いのちを
・
今
今を通りすぎる
涙は
....
盆が過ぎ
盛りを越えず
しずくはおちない
八月
陽の下
きみよ
九回で終わると思うな
イレギュラーはつきもの
焼けた肩に仲間が触れる
口元にしずくがこぼれる
伝 ....
風に舞う
赤とんぼたちの翅が
秋の陽を
反射するなか
草刈りを終える
・
秋の日の
かたむいてゆく時
こころも何かへと
かたむいてゆく
山鳩の歌ひびき
・
青空 ....
いつも天気予報とにらめっこ
明日はまたとない釣り日和
銀鱗たちが待っている
モスグリーンを身にまとい
渓の緑に溶けてゆく
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