食パンの耳に独り言を聞かれてしまった。
どうしよう、はずかしい、あああー、ぱくっ。
優しさとは一体 どこから来たのか
風に吹かれて花が揺れるような
そんな感動を携えて
優しさとは一体 どこから生まれるのか
始まりも忘れた旅の果てに
得たものは両手では抱えきれない
....
肥沃な土にまかれた種子
渇いた荒れ地に落ちた種子
そして平凡で普通な土壌で芽吹いた種子
その数の比率を数字にするまでもないだろう
平凡で普通が大半を占めている
それは
人間の社 ....
いちめんの漆黒の空に
銀色絵の具を 振りかけて
秋 星座 またたく 地上には すすきゆらす風
生きて味わった苦しみが
嘘でもあるかのように消えていき
一日を そこそこ懸命には ....
網戸の外は青い空
網戸の内は灰の心
青はあくまで深さ増し
鬱はどうにもどん底で
世界と私は無関係
私が無くとも世界は続く
ああ、全くそれなのに
涼風が肌を不意に撫でる
その ....
右足の親指が
反り返ったまま
さっきから奇妙な音
何処からともなく響いて来る
薄暗い部屋の白壁の隅が
僅かに滲み明るんで
柔らかく括れ揺れ動き、
懐かしい影
ひとつ、浮き上がる
....
君と私に世界はなかった 。
口を開いて世界を閉じて私も君も異なった話し方で世界を外れた言葉が声が異なるのほんとね 。
消えていく私が君に消えていく君が私に話したこと世界にない。。 綺麗だから消えな ....
ぼくが一番きれいにみえる
秋がきたよ
と月が夜に胸をはる
中秋の名月というけど
ぼくには迷惑だ
と夜が月に
言いがかりをつける
まあまあ
と雲が仲裁にはいってきて ....
君といる日々は永遠のなかの芥子粒程の幸福と思うけど
金木犀のちいさな花のように慎ましいかおりかもしれない
風に聴き耳を立ててごらん
すこしぐらいつまづくのはかまわないんだから
部屋のか ....
葉っぱを落とした頭は軽くて
シャンプーするのが楽になったから
細長い腕を左右に動かし
僕を呼んでいる姿に見えた
両手で囲んだ幹の大きさは
季節を過ぎると忘れていくけど
側に近付いた時の ....
時には家の無い子になって
ずっと眺めていたい あの
お月さま ずっと ずっと
夜道にしゃがみこんで
ずっと眺めていたい あの
流れ星に 祈り ながら
暖かなストーブ ....
何かが降りてきて
言葉を探す
何も降りてこない
空が正しい
雨のち晴れの
天気予報に似た
僕達は丁寧に
傘を折る
朝酒の代わりにシャンソン秋に酔う
幸せは演じることがその秘訣
極端に厚着と薄着の大学生
影を踏む鬼と知られずする遊び
花供え帽子目深に被る人
暗渠へと ....
鶴の一声歌うよりも
雀の千声歌うんだ
天まで届け この唄届け
鶴でなくては駄目ですか
束になってかかっても
ただ空しく 響き渡るは夢の夢
それでも ....
海馬という大海原を泳ぐイルカの群れ。
彼らが空へ跳ねる度、僕は自由を思い出す。
山道の石の沈黙を見たことがあるだろうか
ぎらついた欲もなく、うたう術も持たず
息を吐くこともない
おそろしいほどの年月を沈黙で費やしてきたのだ
いっとき降りやんだ雨と
鈍痛のような、 ....
こっけいな歩みも、また良し。
元々僕は何処か
やっかいなものだから。
けったいな足音をひびかせるうちに
けっこうな足音の瞬間が
この頼りない細足でも
あるやもしれぬ
から
こけこっこ ....
君が笑うと僕の寿命が伸びるから、
僕はどうやら長生きしたいようです。
舞などまったくできない私だが
一つだけ舞いたい作品がある
織田信長が桶狭間の戦いの出陣前に
舞ったとされる幸若舞「敦盛」だ
「人間五十年 下天の内をくらぶれば
夢幻の如くなり
一度生を ....
買った古本に挟まっていた褪せたレシート。
97―8―3、1:28PM、遠い夏のかけら。
鷹女(たかおんな)、胸板を刺し冬を剪(き)り
ピーシーを終わらせ冬陽を昇らせる
春なのに月輪(がちりん)光り降るは銀。
桜酔い、ピーチジュースで酔い醒まし
....
悲しいニュースが朝を囲んでも
カーテンを開けてコーヒーを飲む
いつもと変わらず動ける体は
関節の音を置き忘れた後
いただきますと合わせた両手を
祈りに変えて目を瞑る時間が
遠く ....
おしまいの先で出会った物語
文脈で星を繋げる帰り道
余白のなか 猫がすやすや眠ってる
狂い咲く雨は箱庭を濡らし沈める
くちづけの後の小さな虹が
知らない町を燻らせて
しらずに踏み潰した蟻が
わずかに軋んでいる
体温でむすんだ小さな手が
知らない誰かと角を曲がる
箱庭をおろ ....
あなたは源氏の白旗に付くか?
それとも平氏の赤旗に付くか?
平氏は清盛のとき、保元、平治の乱に
勝利し、一門栄耀栄華を極めたが
命を助けた頼朝、義経等の挙兵により
壇ノ浦に一族運命を共に ....
何度観ても飽きない
バレエ団、プリマ・バレリーナ、演出
振付、舞台装置、衣装が違えば
また違った楽しみ方ができる
はじめて「白鳥の湖」を観たのは
大学生のときだった
ソビエト(ロシ ....
君のあくびを僕にうつしてください。
その可愛いウイルスに感染したいのです。
もし生まれ変わったら、
僕は何になりたいか?
答えは決まっている
オーケストラの指揮者だ!
苦労が多く、貧乏音楽家になるのは
目に見えている
けれども、いつかはすばらしい演奏をし
....
今は生きている途中だけど
たどり着く先は
イヤと言うほどわかってる
そこが終着点か
再生の為の
始発点かはわからないけれど
今は生きている途中だから
手は汚れるし
自ら汚しても ....
そのふるえる糸にも
ひとつふたつの意味はあった
のかもしれない
時折の風雨に晒され
形を変えてしまった
その幟ももう
争うためのものではないし
御触れの見張りでもない
そよ ....
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