命が染める
花冠の真紅
燃え立つ
森の深みへ
誘う命の灯り
満々と水、
疾駆する車の到着する
真面目くさった顔に
紅潮した君は美しい
快活な笑い ....
無縁塚の苔は
そのままにしておいた
今年も
無縁塚のある林の中で
無縁塚の周りの
草刈りと掃除をした
8月の上旬のことだった
人との縁
物事との縁
氷菓子をすっと頂く
夕方前に ....
ガラスの三日月
みせたこともない
真剣なひたむきさで
青みがかった夜空を
みあげている
昔憧れてたあのひとの
泣き顔をみたことがあって
もう僕でよければぎゅって
....
枯れ枝の
相貌
読み取れば
、
古月のゆっくり
凍り付き在り
乾いた夏が来たら
頭を突っ込む
、、、
無数の虫たち蠢きに
、、
頭突っ込む乾いた夏に
蟻塚から無数の蟻溢れ出す
生動し続ける思惟の海原
命にほふ春の目覚め、
乾いた夏に ....
軍人が来るというので
家財を全部庭に出さなければならなかった
皆家の道路に立って両手を挙げて来るのを待った
軍人は書記官を連れて家財を確認し書記官が帳簿に記した
そして父の毛糸の帽子をめくり何 ....
十代の頃、坊主頭のボクは
がなるように
歌うしかなかった
裡に潜む得体の知れない
悶々とした想いの捌け口を求めて
形に
言葉に
縋りながら歌っていた
生活の為に地方テレビ局で
....
みまちがえるほど
美しくなったきみは
微かに少女の面影を残して
窓際の席で紅茶を啜りながら
リルケの詩集を読んでいた
机を並べていた頃は
何でもなく話せたのに
椅子に画鋲を仕掛け ....
愛していないと死ぬようなひとと
呼ばれたいなぁ
永遠に成熟なんてできない
終わりのない時間を生きる
恋愛を
したいなぁ
時間に縛られてもそれもいい
いつ逢っても新 ....
そういえばわたし
ハッピーになったんだった
だから夜が好きになって
バランスのいい安心を
抱いて胸を撫で下ろすことができるんだ
なにが流れているか
なにもみ ....
引き出しの中の小銭のように
ちっちゃな幸せは
身のまわりにたくさんころがっている
一杯の酒を
楽しみに生きることだってできる
一編の詩を
楽しみに生きることだってできる
隣人との茶飲み話 ....
半地下の車庫 ゆらめくビニール紐
秘伝のたれを足していますと口が
次のバスターミナルまで追いかける
この裏はアパホテルがあるはずの
のぼりが立っているのに風がない
畳がさ ....
ぼくは女だった
夜に二人の侍女を従えて
杉の巨木が立ち並ぶ参道を歩いていた
崖に欄干がかかっていて
石窟が幾つも空いていた
ある石窟の前に来ると
礼拝をして中に入って行った
老人が一人
....
フライパンなあのひとが熱くしたあたし
とけて 香って まあるくなって
焦がれりゃ「おんな」のできあがり
皿のうえの色恋が放熱している
磨かれたグラスにたっぷりとミルクを注いで
にがいパ ....
夏に近所のお祭りで
金魚を二匹掬った
いっぴきじゃなくにひきだったので
すこし感傷的になって
あくる日会社をサボって
ちっちゃな金魚鉢まで
買ってしまった
すぐに ....
黒人さんも乗って居た
死んだ叔母さんも
乗って居た
その車に、
私は今 飛び乗る
思惟、燃える
アッフリカの太陽!
宝石箱ひっくり返り
無数の宝石の煌め ....
薔薇が咲いた夜は
遥かにむかし
遠くまで
遠くまで
時間はさかのぼる
君は薔薇を咲かせて
僕を昂らせた
永遠に昇る
螺旋階段
薔薇は
螺旋階段の
踊り ....
猫や猫。
わたしは、なにも、いらない。
わたしは、それほど、悲しくはない。
わたしは、それほど、つらくはない。
ただ耳が痛くて、痛みのあまり、
不眠の夜を、声を抑えて耐 ....
どこにでもあると云われて探したが目にはみえない愛とにくしみ
もうこれで最後だからと嘘つかれ知りつつ許した私、ヤサシイ。
手を取って「あれは嘘だよ、嘘だか ....
女顔の花咲き開き
笑って居るよ
ハローハロー
この暗く眩む森の明るみで
逢いたかった逢いたかった
アナタよ、
淡く薄っすら次第に赤
濃密に赤く真紅へと
....
息をするだけで
胸がスーッとする
朝早い冬の陽があたる窓際で
窓を全開にする
まだ
人の数もまばらで
車の音もほとんどしない
街を赤く染め始めた
あたたかい朝日が ....
はる、
にちようびのそくどで走ってゆく、
ひとときの、
ゆるやかな午睡、
草木は徐々に生いしげってゆく、
山沿いの線路で集約される、
一両の田舎の電車、
ちいさな無人駅のような、
ささ ....
生まれ与えられ育てた愛娘は
意識の視界から消えてゆき
雪降る三月初めの東京、
流氷の次々押し寄せる如く
時のうねり過ぎゆく速度の異様
細き橋の真っ直ぐ
伸びゆ ....
雪の
結晶が
ほほで
解けて
私は熱を知る
小鬼の
しろい肌に
ひろがる
さやかな
月影
つまり笑顔の絶えない
しっとりと濡れてる
やさしいだけみたいなあの部屋を想うと
泣けるのです
黄昏の駅のホームに
ゆっくり流れる
ひとへのおもいやりを
掠れた ....
誰かが俺のことを呼んでるのは聞こえていたけど俺はすっかり出来上がってしまっていて返事ひとつもままならなかった、ここで無理矢理立ち上がったところでテーブルと一緒に転んで弁償するグラスがまたひとつ増え ....
忘れ去った君のあたたかい肌
不思議な痛みが走る鎖骨の水
朝起きて眠れないから働く
傷つけたいほどの鈍欲を食べて
自然に触れ合いましょってなんなんだろうか
彼女を好きになる ....
絶え間なく拡がる透明な浜辺に
渚 黒々と鋭角の境域
思惟の力動 絶えず打ち寄せ
感覚超えた存在達と共鳴し
感覚の残滓打ち捨てながら
舞い踊る舞い躍る
渚 黒々と ....
「肩からハトやでぇー!」、
あおぞらへととびたってゆく、まっしろなみらくる、
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