鉄の雛鳥が川を分ける
岩の生きものが川を進む
彩雲が谷に落ちてゆく
雨の骨の門がひらかれる


どこまでも深く深く
突き刺さる雨音の上を
踏みながら飛びながら
歩 ....
地図を描こうとすると
夜は止まる
胸も水も
苦しくなる


鏡に映る
さかさまではないもの
最初から最初から
さかさまなもの


夜の皮をつかんで伸ばし
夜で ....
ぼくにしてみればそれはとても上手く行っているように思えたし、彼女にしてもそう考えていると感じていた。でも、こうして突然ぼくの前から消えたということはきっと、ぼくの方になにか問題があったのだ。そこに ....
古びた本たちだけが僕を知っている。
僕と一緒に古びてきた、本とノートのある場所、
そこだけが僕の故郷。
寂しい遺伝子。 物質なんて信じないけれど、
寂しさだけは信じている。


 ....
甘くて
全ての花から
名前を取ったような
春の香りだ

手首に撒いて
授業を受けたから
ノートに
ピンクの風が吹く

鳥は飛べるだろうか
恋は運べるだろうか

鼻から抜ける
 ....
昨夜の味噌汁には
黒い目の海老と、刻んだねぎと
白いハツが入っており

骨を気にして{ルビ喰=は}んでいたら
私の前歯の隙間から
か細い小骨が、一本とび出した

指でつまんで卓に置き
 ....
朝焼けに覚まされている白い街、投げ棄てられた笑顔がころがる 禎三じいさんの心肺は
焼玉エンジンで出来ている
血走った目ん玉で
真っ赤な火をぐるぐる吐き出す
禎三じいさんの体は
長い年月をかけて
魚どもに食べられてきた
腕や足を食べられてきた
禎 ....
久しぶりに乖離感を感じた
魂と肉体がうまく同調していない
身体はここにあるのに
心ここにあらずという
あの感じが蘇った

解決しなくてはならない
色々な問題があるのに
思考が停止してい ....
葉影は優しく
金色の光彩に
濃い斑の筋を引き
森の入り口に
伸びていた
目に見えないもの、
目に見えるもの、
それぞれ同等に
照らし出す
秋の日差しが
彼女の瞳の奥に
不思議に魅 ....
静かに律動する、肉体

朝の冷気に覚醒する、意識

心はゆったり世界の像を映し出す


信号待ち、
赤ん坊を抱っこ紐で胸に支え
片手でスマホを操作する若い母親、
くっきりとした二重 ....
楓の木ふれるとしなりおし返す頰に伝わるあたたかいよる うつ   

   く 

      し 

         かった

あにもにの

  あにゅもにゅの

    あにょもにょの

      あにょもにの
 ....
冬になるかなしみ色の風がゆく枯れた野原を雪駄で駆けた 君の瞳に震えてる

静かだけれどあたたかい

気持ちが私をくるむから


君の瞳の夜の色

君の瞳の夜の空

君の瞳の夜の雨


やっと気づいたその雫

 ....
沈黙に
横たわって
いる

肉体は熱を持ち

沈黙が
横たわって
いる

遠い水平線を凝視し
空と海の光彩とうねり

鉛色の地が震え揺れ動く時、

静かだ
静けさ、重層 ....
無音の川の側に立っている、辺りは夜のように暗い、だが、夜なのかというとそうではない…なにか異常な理由があって、夜のような闇が演出されているという感じだ、根拠になるようなものはなにもない、ただ、そこ .... 大地、割れ裂ける

独り人、逃れるすべなく

とどろく雷鳴に

四囲の壁、破壊され

恩寵、落ちて来る

ただ静かさ、開け

新たな次元、与えられ

直観される貴女の内面、 ....
○「多忙」
忙しくしている人は
幸せそうに見える

○「悩み」
若くても悩みはあるんだ!
いや若いからこそあるんだ!

○「マイナンバーカード」
ポイントではなくて
商品券ください ....
  

夢よりも
正しい気持ちを投げ棄てて
ブラックコーヒー好きのあの人


ねぇ、なんで
もっともっとを目指せへん?
くすり指まだ真っ白の白


悪役に
憧れている ....
金星が見えたよ、
暮れゆく空の
透明な青に
輝き出で

それは確かな遠さの刻印だ




燭台の
蝋燭の炎は
ゆらゆら揺れて
聖書は漆黒の闇に
白い枠組みに包まれ現れ

 ....
点は線になって
そして
裾野は広がって
裾野は輝く草原としての
青い営み
わたしたち
純然たるacidだから
溶けるエナメル質
ほら、最後の乳歯は抜けて
鼻先でワルツを踊る
わたし ....
響きあるもの
ただあるもの
意味なき宇宙の
ただあるもの 
響きあるもの
宇宙のあるもの

響きに潜むもの
ただ在るもの
意味超え宇宙の
ただ在るもの
響きあるもの
宇宙に潜む ....
{ルビ銀杏=いちょう}さざめくつめたい朝
靴を片方なくした人影を見た

暗幕の蝶も枯葉に埋もれ
くちびるにもうふれることはなく

寝息のように自転車は
静かに時計を回している

{ル ....
寂滅に真っ赤な薔薇を活けているみたいな東京タワーに夕闇
私は呼吸を無駄にするだけ
薬を噛んで魚になる
透明な時計台が見えて その回りを
死んだ子供たちが 永遠に
飛び巡るのを見ていた 光の輪につつまれて
私は虹の一部だった 手負いの
動物 ....
ふいんきで生きているのでふつくしい


固執した幸福 丸い個室たち


想い着くから着想だと思い付く


夕焼けの友情 多くの青い夜


月はなし いつまでも尽きない話

 ....
遠い遠いシベリアの
極寒の空気をのせて

冬鳥たちがやって来た

街では木枯らしが
木の葉を散らし

フトコロのお札も散らす

裸にされる老木に
わが身を重ね

戦争を
止 ....

今年もまた、私はこの椅子に坐って、紙縒りのように詩を書いている。
緑色の、温度の無い砂漠の中を、両腕で飛ぶようにして。
優しい私。 ちっぽけな私。 私は私に纏わるもので出来ていて、
私は私 ....
薄暗い闇のなかを
自由に躍る
漆黒の闇の切迫
予感しながら
夢はみない、
希望はない、
絶望はない、
ただ此処に留まり
この薄暗い闇の位相に、

自由に躍る



真夜中、 ....
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