いつのまにか日が暮れた帰り道
ダウン症をもつ周を乗せた
デイサービスの送迎車の到着に
間に合うよう、早足で歩く
前方には、小刻みに歩く青年が
重そうなビニール袋をぶら下げて
ゆっくり ....
風の吹いて
涼やかに歌い
葉のゆらぎ、
緑はながれ
葉のささやき、
緑はそよぎ
風の吹いて
涼やかに語り
「幼年、成年、老年
過ごし過ぎて過ぎ越し
今日、生きて 風 ....
ベランダ打ちつける雨音
レースのカーテン越し鳴り響くものが
西の空も
東の空も
緋色 噴き上げ
花火の様に開いていた
湖に ぴかっと光った一線が在るだろう
そこに連なる峰 ....
今や猫は大スターである
連日テレビに出演してばあちゃんたちを
うっとりさせている
近所の猫たちも大スター気分で
うちの庭先を無断で通っている
たまたま僕が庭先で体操などをやっていると
僕の ....
歎くべきだっただろうか
みずいろの空が
私の上に落ちかかって来るのを感じた時
心は
果のない
重量感のない
依リ所のない
空の中に巻きこまれて
小さなわたしが
....
赦しの言葉をください
このままでは堕ちていってしまうから
未来まで正しくないと
わかっていても
赦しの言葉をください
目の前が
桜の花びらに
埋め尽くされていたとき
きれいだった
若葉がちらちら
顔を出して
蕊だけが残った枝は
好きになれなかった
春のはじめの
端っこの方だけ
少し彩っては ....
四月七日 日曜
天氣 晴
起床 六時二分
就床 十時二〇分
朝九時迄に學校へ行く
一・名札を落す
二・教室の掃除
三・作法室の掃除
四・運動場の掃除
一時頃家に歸る
とても ....
(1)
僕が中原中也を好きなのは何故か、言葉には出来ないけれど、敢えて言えば、中也の詩には現実感と非現実感の間での揺れがあって、非現実感から現実感を取り戻そうとする希求を感じて、それはもちろん僕が ....
改札口を出ると いく筋もの河が流れる
灰色の淵に浮かび
すべらかにいく青をみつけた
水の歌
三月も終りの
生暖かい大気に 還ってゆく
透明な
水の歌
だが ....
ひらひらと舞う桜に
頬を切られて
春なんだと気がついた
痛くない傷の後ろで
遠近法みたいに
並んでる思いは
順番通りに死ねない
好きなものを
好きでいるために
さよならを決め ....
街道沿い、ひとりいく
雨降りの今日、水飛沫あげ
何台かの車、通り過ぎ
雨垂れ、傘に沿い落下する
春の深まり上がる気温、
冷ましひんやり雨降りの今日
浮遊するよな心持ち、
まるで何かに ....
見交わす、
立ちのぼる、
瞳の中にまるで陽炎のように揺らめいている
うす紅色の櫻の樹木
強い追い風に吹きつけられながら
一匹の猫が
民家の塀を
豹の速度で駆け上ってゆくさまが見える
掠 ....
ぼくの犬が消えた日
空には深爪したような月があって
そこだけがぽっかりと
穴が空いているようだったよ
ぼくの犬が消えた日
学校までの通学路はとても長くて
おまえのだらんと長く伸びた
....
水の色する春の空
静か独り、浜辺に立つ
群れる者達、エゴイズムの海
逃れ、打ち寄せるイメージの波
浮かぶ波間の混沌は
思考の光に照らされて
弾む言ノ葉、生動の渦
....
肉体という
形姿帯び、
それぞれがそれぞれに
進み歩み脱落したり先頭切ったり
あきらめて
あさましくいどんで
果てには悟り
絶望もなく希望もなく
諦めてただ挑み続ける
....
春 おそく
雲低い空の下
裾のほつれをまといつけておいた
小花柄のフレアースカートはいて街へ出る
図書館の帰り、線路わきの公園で
ひとり眺めみる
八重桜
ぼったり ....
ぽつんと 取り残された
わたしは、何処にも属さずに
まっ逆さま空中でシャドウ
ずっとずっとかがやいて
白骨咥え肉を喰い千切る
貫通する対角線、
無数無数交錯し伸びる
直線たちに支 ....
天空、ぼうと青く
葉桜、ゆらゆらの揺れ
子供、両手委ねひろげて
緩やかな風に向かい
走り出す、走り出す
僕の心はイチゴ模様
街へ世界へ溢れる愛惜
天空に火を放ち、葉桜むしゃむ ....
いろんな生き物 いる
美醜、嫌悪共感 催させ
いろんないきもの いる
緩やかに飛翔しながら
すべて私たち、進化を共にしながら
地球に帰属し 大地、踏み締め浮遊しながら
....
この、
洗練され切った
野蛮な社会にて
貴女の顔に触れられる
初めて、その機会与えられ
独り切りになる
解る ということ
その瞬間 のこと、
言語は他者に伝えるため
只 そのため ....
待ち求め潜心し
ひたすらひたむきに
学問だけ許されて
いた時代は終わり
そんな輩は
草でも石でも喰らってろ!
呪うような声の響き
未だ問わず、
惑わされる肉体の ....
煌々と満月、只 白く
向かいの家、明かり消え眠りにつき
隣家の玄関、僅か灯火 薄黄に開き
煌々と満月、すべて浮き照らす超然
突き抜け
上昇し沈み込む、
限りなく際限なく
熱に貫かれ 声、
発せるということの
奇跡
歌、うたえることの
有り難さ
意味 以前に 声の言葉の響き在り、
わたしはひたす ....
じぶんの重みに
押しつぶされた日の光が
大地に一度 身を落として
あたりを囲う 同じものたちの
小さくも楽しげな 溢れかえり
そこにある岩肌の
わずかな塩味に
あいさつのように
その明 ....
静かに沸き立つ
底知れぬ欲望在り、
身震いしながら
受容する僕は
未だ生半可な途上の者
内面の旅程は外界のそれと呼応し
水晶の面を滑りながら内部を見通す
日が沈み隣家の明かりが灯 ....
血走った眼に
いろんな色、
ぶつかり合い
弾け飛ぶ
走る閃光、
轟く雷鳴
私は知らなかった
この世界、怒りの様相
憑依する、諸霊のイカズチ
あらゆる色彩の遊離と切迫
わ ....
滲むように昇る
朝の陽、
なにものも犯せぬ
この世界、
此処に留まる
此処がすべて
此処に入る、深々と
魂、歌に放ちながら
言ノ葉、声に散らしながら
この奇跡を、 ....
波のたゆたい、
子供らの戯れ、
火炎の虚空に踊る天使たち
僕ら肩を組み、
渡り廊下踏み外し
水溜まりに落ちる、
映る鈍色の空 揺れ動き
星は無し、漆黒の聖書
凍結した青 ....
森の緑、
躍り揺れ
吹き荒れる風
慟哭する世界
稲妻の烈火
爆発する雷鳴
力動の破線、
時の間隙引き裂き
この荒涼、この寂寥
いよいよ動かず
赤々と花、
咲く ....
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