その間にも、水面下では様々な野望が渦巻いていた。
ヒスフェル聖国では、ひそかにアースランテとの和平を画策していた。
ファシブルは、アースランテの軍隊を防ぐので手一杯だった。
クールラントの祭 ....
中でも、アースランテに降臨したドラゴンたちは強力だった。
彼らは、火炎によってファシブル、ラゴス、クールラントによる
占領地を焼き払っていく。そこに慈悲はなかった。
ハッジズは、多少の自国民の犠 ....
{ルビ蜩=ひぐらし}の歌う
夕暮方に
西の空は 蒼く透けて
予感が
宙に解ける
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
ラッシュアワーを過ぎて車輌には
まばらな乗客
停車したその駅では誰も席を立たない
低い土手が迫る人影ないホーム
竹の混ざった雑木が金網で仕切られていて
絶え間無し 葉を落とし ....
ドラゴンたちがライランテ大陸に現れて一か月、
各国の魔導士たちは、ドラゴンを手なずける術を手にし始めていた。
中には、ドラゴネイアスという、人に変身できる種族がいた。
彼らは、各国の魔導士たち、 ....
ドラゴンたちは、それぞれに快適な場所を塒として求める。
ドラゴンたちが現れたのは、アースランテばかりではない。
ファシブル、ラゴス、クールラント、そして、
ライランテ大陸の東半分に広がる、ヤーコ ....
各国がそれぞれの思惑に捉われている間、
アースランテ、いやヨースマルテには天変地異が訪れようとしていた。
それはもちろん、エランドルの仕業である。
ライランテ大陸の各地に、ドラゴンたちが舞い降り ....
おやすみ
の水面に素足を浸して
拡がる波紋は
冬の岸辺に
触れるのでしょうか
淋しい女のかたちで
立ち枯れる両脚は
白い冬に
駆けだした素足を追う
夜の終わりには
うなだれた星座が ....
焼酎の お湯割りチビチビやりながら
彼女とラインで ふけるひととき
アルデバランの人
夜気の澄み
情けは
人のためならず
輝く
なるようになる
と思いたい。その時に
私のいないその世界で
あなたは自分の誕生日を
迎える
死以 ....
耳をすます
と冬の足音が春を追いかける
探し当てる
木の根っこに絡んだ宝物のありか
溶け出していく
溶け出して流れて行き着いて沁みわたる
あの海に
この胸に
手を合わせて
触れて ....
だらしない悲しみが
寝そべっている
海までの通り道に
誰かほうきで
掃いてくれる人はいませんか
と呼びかけてみるが
返事がない
仕方なくそいつを
折り紙のように折り畳ん ....
OVER THE HILLS AND FAR AWAY。
●「なんていうの●名前?」●「なんで言わなあかんねん」●「べつに●ほんとの名前でなくってもいいんだけど」●「エイジ」●「ふううん ....
議論の行き先が見えない時、そこに必要とされるのは、
確かなカリスマを持ったリーダーである。すなわち、ラゴスの国王アウゼル。
「両者の言うこと、たしかに分かる。このライランテ大陸においては、
ラ ....
「そのエインスベルです。我が国の諜報機関、ヨアリブによれば、
エインスベルは、クールラントではいささか厄介な立場に立っています」
「知っている。監獄に収監されているのであろう?」
「されていた ....
「それよりも気にかかるのは、ヒスフェル聖国の動向です」
ケンパは言葉を継いで言った。「かの国は、以前からクールラントとは
密接な関係を保っていました。しかし、ここへ来て、
アースランテとも懇 ....
君が見ているのは
雲から降ろされる光のはしご
不思議かい
それは君のノートが
白く見えているのと同じことなんだよ
そしてまた微かに笑った
....
ラゴスの議会は、ケンパ・ハルラージャという有力者が治めていた。
ケンパ・ハルラージャは、軍務大臣であるシュランク・エルベとは、
犬猿の仲である。一方が西と言えば、他方は東と応える。
アウゼルは、 ....
ラゴスがライランテ大陸に占めている領土は、存外小さい。
アースランテの四分の一、クールラントの六分の一、といったところである。
しかし、西の大陸であるコーカタンにその十倍の領土を持っていた。
そ ....
アースランテがファシブルと事を構えたという報は、ラゴスにも伝わっていた。
だが、軍国ラゴスは静観の構えを保っていた。
ライランテ戦争後のアースランテ四国統治が、
このままでは揺らぎかねない、とい ....
他人の人生を
私には
どうしてやることも出来ない。
その人のほほ笑みを
思うことしか出来ない
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
入場券だけ一枚買って
立ち入ってみたプラットホーム
あなたが好きな場所だと
教えてくれた
京都駅の新幹線のプラットホーム
鉄道駅でもここにいる
人たちの雰囲気、
....
夜更かし癖 いつのまにか夜の民
予約炊きのご飯 未明のレトルトカレー
幸せな形は丸皿 色は様々 多様性の奇跡
豊かなスパイス感 香り、胸いっぱい
銀のスプーン 掬ったら湯気 頬張る ....
凍り付く 空にかざした薄ガラス
ぽつ、ぽつり 浮かんで
じわり、じわ 滲む
淡色の灯
昨夏着られなかったままの
新品の浴衣の布地
それとも十年ぶりに焼いた
パウンドケーキ ....
祭祀クーラスは、アースランテとファシブルが接近しつつあることを知らない。
イリアス・ナディの身柄を鍵として、アースランテとの連合が可能である、
そう判断していた。その判断は、甘かったと言えるだろう ....
二万の軍勢が、八千あまりのアースランテ軍に敗れて以降、
ファシブルの議会では、アースランテとの和睦が取り沙汰されていた。
「これ以上、被害を大きくして、どうなさいますか?」
「アースランテの土地 ....
冬の明け方は
張りつめた
無数のピアノ線が
地面と空を繋いでおり
知らずに触れてしまうと
冬の心音を奏でてしまう
透明な波のように
冬の涯てには
凍りついた楽章が打ち寄せる
夜が明け ....
冬空の 街で消えゆく 虹を見る
束ねた髪が七色の女
それは悪しきわけでもない朝だった
腹下しの胃袋には一杯の
ホットミルクだけ
唯 出勤に気乗りしない私を乗せる
駅の上りエスカレーター
改札口を通り抜けた時
気持ちを掠 ....
ホルモンの乱れが、というかふつうに生理前とか最中とか、ほんとにもうこれでおしまいだってくらいに落ち込んでもう生きていてはだめだ、ほんなのわかりきってるだろ、それなのにここまで来てしまってさーという ....
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