寒ければ
プラネタリウムがある
星座が喧しい
水鳥が鳴いているのか
かきむしられる尖った声が聴こえる
寒ければ
空を飛ばなくていい
見下ろすと小さな橙の灯り
死の象徴 ....
餓鬼の頃
俺んちは貧乏で大家族だった
家はあばら家で年中すきま風が入ってきた
破れ障子とぼろぼろの木戸は閉めてもあまり意味がなかった
防犯の役目はしていなかった
もし夜中に何者かに襲われ ....
月だ
月の光がさしている
やがて窓からこぼれるように
羊はいくつ柵を越えただろう
少年は薄目をあけて天井を見る
白いかたまりは柵からあふれて
容赦のない瞳でじっと見つめ返す
人形 ....
今ここにあることが
偶然の連鎖なのか
必然のなせる結果なのか
解らない
今朝も菜も刻み
鍋に水を張って
瓦斯の炎にのせた
沸騰したら
適量の味噌をいれる
味噌汁ができ ....
いつか空に触りたい
人の世のやるせなさを掌に乗せて
暮らしに降りつもるかなしい怒りを
爪先には残しながら
触れれば凍てつく凶器の風
くぐり抜けてありのままの
悩 ....
まっくらな
無臭のまなこに火がともり
京の都に棄てる片恋
起き出すと
地の街あかりと天の星
君とシャワーと鏡とパジャマと
橋の上
届かない未来の水平線
眺め ....
いい歳をしてなんですけれど
だれかに抱きしめられたいと
想ったことはありませんか
もちろんだれでもいいって訣じゃないですよ
ほんの少し心の体温が伝わってくる女性(ひと)に
悲しいときも淋 ....
中国などが国家戦略として
莫大な金額を投下して
量子コンピュータを開発している
その狙いは暗号解読だ
暗号解読により
すべての国の重要な
国家情報を盗み見ることができる
その ....
わたしの影を踏んでゆく
数多の足 雑踏
ベタベタに汚れたわたしの
中をえぐる様だと
小さく笑った
まだ大丈夫だ
笑えているから
蕾は萎んではいない
希望とかそういうものじゃなく
....
もうすぐ生えてくるよ。いまにみてろ。
0+1+0=もうすぐだよ。
ふたつあるお釜が重なって大きな鍋になる。
なるわけないじゃない
ひとつとひとつのお鍋が重なって大きな釜になる。
どんだけ ....
バスを待っていると
昨年死んだお父さんが縄をもってやってきた
電車ごっこの相手を探していると言う
せっかくだから車掌をやることにした
もともと小さいお父さんは
死ぬ前にさらに小さくなった ....
花をみつけて
おくれ
水をかけて
あげて
朝になれば
花を
咲かす咲かす
咲かす
花はどこに
いるの
夜の闇で
みえず
罪を知った
世界
眠 ....
複雑に入り組む僕の手相、都内の路線図みたい。
拳をぎゅっと握り、東京とやらをぶっ潰そうかな。
否応なく
孤独にならざる得ない暮らしのなかでも
悲しいのは
孤独に慣れてしまう事
そんな風に書かれた本を読んだ事がある
あれはたしか
孤独に暮らしていた
アパートの夜
完璧に幸 ....
かり〜ん
くり〜ん
かりんくりんこりん
イブの乳房で音がする
アダムを殺して
ガタガタ震えてる
金の指輪を捨てなくちゃ
かり〜ん
くり〜ん
かりんくりんこりん ....
ハンドサインで
助けを求めた
サインの意味も
知らないまま
宇宙中の
はるかどこかに居るはずの
僕の親玉に
サインを送る
見放された仔の
無力と絶望
彼方からく ....
山が燃えている
だれにも危害を加えず
火を使わずに山は燃えている
煙だけが上がる
複数の山から同時多発的に
白い粒子を立ち昇らせる
遠くあの山では
山から発せられる煙と雲が溶け合い
標 ....
かくれた次元に秘密がある
いな
神により
かくされた次元と言うべきか
そこはまるで
海のように
数々の波たちの
住みかだった
ある波の振動数に共鳴して
この世界の粒 ....
落ちた紅葉の水辺に座る少年は
絶望するほどの
期待もないようだ
燃えるづけた劣等感も枯れて
未来におびえる焦燥も枯れて
生きている価値がないという言葉も枯れて
時を忘れるほどの楽しみも ....
かたことと音を立てて、
工具を扱う。
わたしの友人は機械たち、
だから直してあげなければ。
かたことと音を立てて、
工具を扱う。
彼らは眠らずに、
ただ働き続ける。
そ ....
古着の青いネルシャツ、兄に黙って借りた記憶。
もちろん僕に兄はいないし、だけれど必ず返さなきゃ。
お酒の怖さしってます
賭け事の怖さしってしまいました
女の人の怖さ
それはお互いさまでしょう
住み慣れた土地です
住み慣れた家屋です
吸いなれた空気でした
慣れた水でした
....
誰が作ったのか
何のため作ったのか
何故 贋物と判ったのか
と
話はつきないのだけれど
人形は人形
そんなに贋物よばわりされても
と照れ笑いをしているようで
僕らの本物 ....
口で言うほど幸福にこだわってないよ
とりあえず眼に見えるものしか欲しくないからさ
振り返ればけっこう酷い目に会ってきたな
いちいちそれを文字にしたらきりがないし
思い出したくはないし
....
その膜を破ると
きらきらとこぼれ落ちる
母の痛みがうつくしかった。
ぎゅっと身体を縮める
握りしめられないものを握りしめ
抱きしめられないものを抱きしめる
ささやかな抵抗を繰り返し ....
背広を脱いだ父の背中は思いのほか小さく薄かった。
広大な海ではなく、本当は庭先の水溜まりほどだった。
原子レベルの
量子テレポーテーションが成功して
もうすぐ
小さな物質が
転送できるようになるらしい
まるでSFの世界の
転送装置のような働きも
夢ではなくなるかもしれない
....
ひっくり返した中華鍋の底に毛が三本
渋滞ならほどけるまで待つそれが男の心意気さ
貼り付いたのは縞馬/海面の緑
うちあげられているタグの思い出
焦げ付いた模様をチラつかせ
おまえは自慢のヨ ....
お金がいちばんよ
手っ取り早くハッピーな気分にさせてくれるもの
食べたい物食べられるし
流行りの洋服とっかえひっかえできるし
素敵なオウチにも住めるんだから
他に眼に見える幸せってあ ....
音もなく
果実が枝から落ちた
アスファルトに広がる無残なそれらは
太陽のように輝いていた
あの果実とは思えない
これは大事件だ
心の中で大声を上げて
誰かを呼んでみた
寄ってくるの ....
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