ショッキングピンクのその部屋は汚らしいけどまるで2人の城のようだった
汚いと思うものを口に含ませるなんてなんて愚かなんだと思いながらそれっぽく吐き出した
屈託のない笑顔を見せられて拍子抜けした ....
箱をあけたら金にひかる歯がころり
うるといい値になるそうだ
しゃれこうべしゅうしゅうと
お墓の下でなげいとりゃせんかしら
おれの歯ぁどっかいったぁって虫食い歯でさ
男かしら女かしら
き ....
古びたバス停で
僕を乗せてくれる
優しさを持つバスが来るのを
かれこれ数日は待っている
そろそろ
待ち疲れてしまいそう
もうすぐ
自分の中の最後の糸も
切れてしまいそ ....
金色の風に吹かれ茜色に染まる烏たち
柿の豊作は歓喜の狂気と乱舞
幾つもの奇跡と落胆と絶望の混沌
宇宙の膨張と永遠と破壊の予言
百年の平和の平凡を感謝せず悲哀
我らが自我のアンバランスと不調和 ....
すっかり寒くなってきた、土曜の早朝
僕はいつもの様に
四階にあるベランダで煙草を燻らす
景色はいつも通りのようで
いつもとは違うように見えた
特に、空が違う
だから、空が好きだ
一度 ....
白く細い指の様な光の線が、つぅぅとガラス面を掠めて
闇の中につらつらと水滴が垂れる
窓ガラスは、鏡となって
幽鬼の様なわたしの顔を映す
ざぁっと、広がっていくような雨の音が
わたしの意識 ....
(狼娘のお宿は何処だ
それは夜ともなく昼ともなく 無差別に
数多の男と交わった女の 落とし種
種に希望なく伸びゆく手足なく目もなく耳もなく
思いついたことを叫ぶしかない ....
あらかじめ充たされた{ルビ紅葉=こうよう}の場所は
ただ ここに ある
風に吹かれていることにとらわれず
枯れ葉になることにとらわれず
ただ ここに ある
蛇口をひねれば水がでる
その ....
大学のかえり下り坂
黄色いばらの花びらの
ふるふる落ちる
わたしの恋人が
わたしの親友を
好きになってしまい
それはわたしの愛が足らぬから
夕暮れのななめのひかりは金と黄色と橙で ....
さくりと欠落し淡いひかりを
切り裂く、闇
まるではじめから
無かったかのようで
わたしの発するパルスは
ほとんどが四散して
もう何処にいったのやら
仕事 ....
種を剥奪する弾丸
主を冒涜する人間
殺人者が蔓延する戦場の話だ
殺人者を作るのは個人か思想か
500メートル先から撃たれた戦友の薬指には指輪がはまっていた
持ち帰ったのはドッグタグではなく指 ....
筆絶した空に浮かぶ星は、
迷路をつくるかのように、
地に落ちていった。
私はその落ちた星たちを、
拾い集めてことばをつくった。
死にながら生きていたことばたちは、
息をしながら低く輝いてい ....
橙のひかり滴る秋の日
おちばほわりとかおる
薄水の空に鉄塔刺さり
いわしがそらをおよぐ
暗い部屋に只今と呟き
えい、おならしちゃう
あの踊場へ落っこちた心
禁酒を破った頭、くらくらして
窓からぐっと手を伸ばす
亀虫の死骸が畳に転がった
白いのに暗い部屋
生乾きのパジャマの臭い
花瓶に生けたおとうさん、おかあさん ....
街路樹が錆び始めて秋の雰囲気が充満する
今年は雪が降るだろうかなんて生き急いでる私は
大多数の人々と同じ仮面をつけて今日も歩く
神による精密な作図によって作られた世界を歩く
秋の夜長に鳴く ....
深い
深い水底に
白骨と化した彼は
舵輪を握り締め
遠くを見据えながら佇んでいた
時折深海魚が目の前をゆらゆらと通り過ぎ
彼の頭蓋骨が優しく頬笑む
艦長は静かに椅子に座り
今は ....
疲れだけが
この体に降り積もった
誰の言葉も
静寂に消えてゆく
街灯が
一輪の花の様に見えた
液晶の光が
私の姿をあらわにしていく
隠れられない
隠せない
画面の明か ....
真っ黒い木々の影の中をさ迷うように
真っ赤な夕立の雲間から黒い雨粒が
車窓を叩きつけるように
走りゆくバスから
移ろいゆく黒いものたちを 目の当たりにしながら
避けることも 拭うこ ....
誰かに呼ばれた気がして
振り向くと外は雨
今日は寒いなあ
乾かない洗濯物
畳めないからぼーっとする
そろそろお迎えの時間か
例えばここで
駆け出したら、、
子は迎えに来ない母を ....
今晩も
「こんばんは」の時間がやってくる
灯りが点く時 それが合図だ
今晩は いかがなさいましょう?
お風呂が先か 食事が先か
いっそ今から 出かけます?
....
罵声とんできて、くびねっこ
飲みさしの
コーヒー牛乳あたまから
髪もワンピースもちゃいろくぬれて
おへそ一撃
それっきり
しばらくすると
コーヒー牛乳
臭うんです、夏の
クー ....
もう少し眠っていてもいいと
誰かが低い声で囁くのが
薄暗い夢の中でもわかる
本当にもう少しここで
眠っていてもいいのですか
念を押して訊ねてみると
その人は猫を撫でるような声で
眠ってい ....
差し伸べた腕は切られてしまって
唇は閉じられて、舌を噛んでいる
忘れてしまったの? と尋ねると
遠くの遠にと囁かれて目に沁みる
喚いてはいけないことだから黙る
全て無視をして前をみてゆくこと ....
緑の葉に黄色が浮かんではらり落ちる先に秋の赤
暮れるのが早い空に月がしらじら輝いて水は凍り
花が枯れて実になり種は地に落ち咲いて巡りゆき
夢に旅して息し現という虚に帰ってきて寂し滅び
それでも ....
普段はつけずに眠る
豆電球の明かりを残した
それを月に見立てたら
荒んだ胸のうちも
いくらかは
和らいでくれるだろうか
この開きやすい扉の鍵は
まだ 開かないでいる
こ ....
妻の計算では
一週間でオレは4リットルのウイスキーを飲むという
そんなこたぁない
そんなに呑んだら
今頃は天国ゆきさぁ
本当は2リットルも呑めば十分で
まだ死にもせず
ろれつの回らない舌 ....
わたしのなかに
あなたはとどまる
ときに柔らかく
ときに残酷に
あなたの言葉
あなたの微笑
あなたの仕草
あなたの沈黙
そしてあなたが手渡す
葡萄の一房
その甘さと ....
バーベキューのおしまいに
竹ぐしにさしてマシュマロ焼いた
じんわりこんがりしてとろりどろり
くちのまわりべたべたしろくあまくすする
横向くと
ブルーベリーの枝に
尻尾の切れたトカゲ、う ....
ぼくは平和を求める暗殺者だ
妻を亡くした
怒りに身をまかせて
ガンをにぎりぶっぱなす
ガンはなぜ存在するのか
人間を堕落させるためなのか
人間をあっというまに昇天させる
弾切れだ ....
夕日でなめした新しいくつは
みかん色
よい香りのお花の飾り
小さな蜂が蜜を飲みにくる、かしら
星空色したショゥィンドゥ
月かげさやかなすずしげライト
照らされて
するんと履きやすいく ....
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