こぬか こぬか
かぞえられぬ あめ
霧と 外套と 手土産と
目の やり場の 無い いらだち
無限など 永遠など
言葉に 化かしてみても
俺も 焼かれ 灰にされる
....
《なんてこたあ ないんだよ》
翼をたたんだカラスがうそぶく
電柱の上に ぽつつりとまつて
さうやつて 世の中をみおろしてさ
ほら ちよいと
武蔵の絵みたいな
構図ぢやな ....
無理して
硬いものから
尖ったものまで
皿にあるすべてを
のみこんでいた
ある時
喉を通らなくなった
我慢をやめよう
選ぶこと忘れている
いったい何を欲しいのか
勇気を奮い立た ....
外へ 外へと
言葉が拡散してゆくとき
内へ 内へと
深く問うものがある
あの日の歌が回遊してくる
おなじ言葉に
あらたな意味を帯びて
今はただ
あらゆる方向を指し示す
矢印た ....
今年は桜前線、
という言葉をあまり聞かない。
桜の散るころには、
すべてが終わってしまっているのだろう。
そんなことをなんとなく感じながら、
世の中すべてのことが厭わしくなってしまって ....
音楽をどのように例えようか
この素晴らしいものを
讃えよう
唯一である自分を自分で愛そうと思う
そう思えてしまえるのである 音楽とやらは
あばらにつっかえた 受 ....
詩病を患って久しい
いったい誰の詩を読んで伝染してしまったのか
今となってはわからない
いくどか再発と自殺未遂をループするが
扁形動物のように死なない
書かれた詩はそれを ....
たぶん30ぐらいの
白人の妊婦さんが
息も絶え絶えなのに
“コロナにかかり重篤になるのは
高齢者ばかりじゃない”とかなんとか
スマホで自撮りして
大変なところ人類のために
うった ....
いつから間違っているのだろう
いま死が人の姿で現れる
ぼくのいのちを守る為に
あらゆるいのち達から遠ざかる
ぼくという、みにくい外皮だけが
ここに残っている
先天的に強い虫と
先天的に弱い虫がいる
先天的に強いヒトと
先天的に弱いヒトもいる
先天的に強いオオカミと
先天的に弱いオオカミもいた
先天的強い羊と
先天的に弱い羊もいるか ....
忘れた人は
裏切者
そんな不文律の薫る口約束
春、音もなくみだれる
風のまにまに
結んだ蕾、桜色の唇
震えるように綻んで
ころしてやる
忘れたことも
居合わせたことも
....
首を絞められる夢を見る
そっと首に
誰かの手が触れる
のしかかるように力がこもる
顔は逆光に陰り
歪んだ口元だけが鮮明で
どんな復讐も
届かない過去の中から
思い出したように時 ....
スペースコロニーとかで
コロナウイルスなんか
流行っちゃったら流星だろうね…
一雨ごとに冷たい風が流れて
冷たい肩越しを
冷たい春の日がすぎてゆく
たるい気分でいられりゃい ....
*
芝生の上で
むっくり起き上がる
一枚の落ち葉
長い間のしかかっていた重しが消え
身体も乾いた
深呼吸すると
葉脈の透けた胸にも
風が流れ込んでくる
もう一 ....
深夜
歯ぎしりの隙間で生まれた妖精が
空気清浄機に吸い込まれた
朝
部屋全域に稀釈されたそれは
朝の炊事により換気される
昼
空気中の排気ガスは
確実に基準値を下回っている
....
「好きでした」一行の手紙が時を止め君が綺麗な声で泣く春
きみの乗るスクーターにはあの頃のセピアの記憶をまだ積んでいる
弓なりに背を反りかえし喘いだらダメだとわかって ....
ニュージーランド、アイルランド、ポーランド、フィンランド
すべてのランドが良い所ならいいなあ
世界中の船乗りがそう思っているころ、光雄も例外ではなかった
光雄は数えで十五歳
まだ ....
歩き疲れてベッドに横になった
からだがスライムみたいに
ひらべったくのびて
平面と化していく
目も鼻も
どこにいったかわからない
耳だけはラジオの音をひろう
手も足もシーツの端から
ゆ ....
このお店は改装中です。
ですから、お立ち入りにならないでください。
改装が終わったら、
あなたも入ってみると良いですよ。
わたしは言葉を商っています。
わたしは「無限」という言葉の意味を ....
元日に歌番組見て笑った男が
2月発症して傷害で拘束
3月には物言わぬ骸に
嬉しげに報じる記者と
嘲り溜飲を下げる視聴者らが
彼に支払う対価は幾らだ
2月節分の豆を撒き
3月雛祭り ....
それでも
なにかに望みをたくしたいと
自我のなかでは
おもっているのだけれども
それでも
あの野蛮な
政府に従いつづける
あの弱弱しい人ごみに
埋もれたくはない
それでも ....
誰にも殺されたくはありませんからね
勿論
誰も殺したくはないです
普通に
人間やってきましたから
これから先も
普通に人間やっていきたいですから
誰かに殺されたり
誰かを殺した ....
おもむろに顔を上げると
朝の陽射しが窓から おはようと言いたげに
優しく 今日を運んでくる
不意に 何が今日あるかなんて
条件反射など よぎることなく
少し、まだ寒さが残る季節に微笑んで ....
犯人はおまえだという、
心を返せという
恨みごとが
耳に
こびりつく。
深いため息に疲れる
ザラザラとながれる血の色
胸はいつも
おかしな方向から
傷つけられる
まるで望ま ....
ざわざわと
視界を埋めて啼き騒ぐのは
梢で触れ合う
青葉たち
輪郭をなぞろうとすると
否定形しか使えない
あまりに崇め過ぎたから
信じるということが
見ないという事でし ....
原初のもりのなかには
原初の夢があったのだろうか
生命ははじめて声をだしたときに
詩を綴っただろうか
曖昧な系統樹のはてに僕たちは
何の権利もないことを知るが
それが自由なのか ....
背中の影が
みえないかなしみを染み込ませて
笑ったら
朝になった
そんな
ちいさな窓からは
めにはみえない明るさが
すんなりと射し込んで
失った色を思い出させた
どん ....
未完成な 時空ほど美しい
たとえばそれは 忘れていた
あどけない ことばにぃ しぐさにぃ
まるふぇいす ぼでぃでっばぐ
さぁ りいんすとぅーる しなきゃ
嗤え ....
人に向かって歩く
遠くに見える人
人が点滅する
そうして人は消えてゆく
離れている時はつながっていた
いくつそんなため息をつけば
光を育てられるのだろう
もうたぐり寄せるものもなく
....
海岸に流れ着いた死体は
名前のないまま葬られた
世間から隔離された
小さな漁師町の住民たちの優しさは
どちらかといえば退屈から来るもので
テツは一五歳
マチは一六歳
ラノは一四歳だっ ....
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