多分 午睡の夢に
君がくれたセルロイドのホーリーカードが
舞い込んだんだ
だからほら
空は薄青いセルロイド
雲は白いセルロイド
どちらも淡く虹色を帯びて
道の両側に咲く
ピンク ....
『山の人生』の出だしの
子殺しの炭焼きの話を聴きながら
カーブを曲がると
元セブンイレブンだった洗濯屋が
うんざりした顔を向ける
湿り気を帯びた大気を遮断して
空調は乾いた音を立てて ....
子供の頃から夢だった
階段のある家に棲んでいる。
夫婦の寝室は二階にあった。
ある日
娘に言われた、
お父さんとお母さん夜中にウルサイよ
二人共いい年してさキモいよ
最初、何の事 ....
改ざんされて歪んだ記憶
真実がいつも一つだとは限らない
数式の答ではない人生には
数多の答がある
街に溢れるフェイク
自分の中にもフェイク
何が真実か分からない
難しく考える必要はないの ....
赤黒く紅葉したハナミズキをくらい気持ちで見ていたら
雲間から
急に夕陽がさして
ロードライトガーネット
の宝石のようになりました
羽をなくした蝶が
枯葉舞う
公園の片隅で
死んでいた
寂しくて
切なくて
思い出す
風のなかに消えた初恋
春の
さわやかな風のなかで
出逢い
夏の熱い風 ....
職業訓練に向かう車中
手嶌葵の『明日への手紙』を聴きていると
ふっと秋の童が降りてきた
きゃっきゃと笑いながら
ダッシュボードをはしゃいで走っていた
ぼくは
しずかに考えながら
考え ....
時給900円
一日八時間
週五日
一日当たり150円のガソリン代
その他に何もなし
あるのは
半年ごとの契約更新
以上から年金健康保険等など引かれる
私の年収は幾ら何だろう ....
いつ寝入ったのだろう…
インフルエンザの注射をうけに行った、
うちの者が帰宅している、ことに気が付かなかった。
いったい自分の自我は、持続していたのであろうか。
一時間半の奥域は無我であっ ....
言ってはいけないことはないけれど
言えないことはある
言えないことなんて無いというのは暴論です
われわれに与えられた自由は
無限の宇宙の中でこのように制限されていて
しかし制限というのも言葉 ....
そうあるように
あるものが
あるだけなのに
なにかの切り屑のせいで首までが埋まってしまっている
上昇が原理ならよかったのに
鱗のはがれたものだけが天へゆけるのならよかったのに
人の望み ....
私達は幸せになります
の
しあわせ
嘘みたいに
こうの鳥が運んで来てくれた
しあわせは
まるで額縁に嵌め込まれた絵だったかも知れません
が
それは
ほんの束の間
いつ ....
互いにスパークする宇宙で起きた出来事があり
誰も入り込めない花園の君がいていつか僕は叙情になる
面倒くさい真実ばかりがまかり通って
優しい嘘はにぎりつぶされて疑問ばかりが生き残る
レノ ....
山あいのさみしい川べりの
物置小屋の青いトタン屋根の上に
紅葉したもみじが
五六枚かかっていた
大町の山間部の秋は
ダム湖の水面に近い方から色付く
楓が黄色く
イロハモミジはわずかに ....
不安という重荷をおろせば
溢れてくるのは感謝
恐怖という重荷をおろせば
溢れてくるのは喜び
危機は去り
つかの間の平安の中で
天使たちの声を聞いている
新たな火種がすぐに来る
死神 ....
かぐや姫が月に帰った
日本最古の物語は
語り継がれ
いにしえの人びとは
みな
月に住む人たちを
信じ
その恐ろしいまでの
力を知っていた
今の世は
信じる者は
....
いずれ俺もたつヒトになる
から
ならざる得ないから
それまでに人生の収支を零にしてから
尚かつ足し算をして
遺したいと家族に宣言したのは
つい昨夜の事だった
先月無事に住宅ローン ....
渋った風が吹き込む。
自分の肺はよいよ疲弊する。
謙遜や寛容を排した言葉などもうたくさんだ。
一服の茶を濁す豪華さなどいらない。
満ちた月に
理屈はいらないように
満足した人に
口はいらない
だからかな
あんまり
満足してしまうと
心許なくなるのは
三日月のシャープさ
とても贅沢だね
うまくいえな ....
命がふわりと浮いている
軽く握ってしまえば
潰れて消える蚕のように
歯車は簡単に壊れる
ぎゅっと捻ればそれは
簡単に歪んでしまうのです
命は燃えながら、前を見据えて
必死に走り抜 ....
この棺桶はきゅうくつで
けれども
そらは紺碧透明
(小鳥のに、さんを棄てている)
こんじきの比喩や
空明のかぜの詩
それを〔私〕はみたけれど
(もちろんそれはそれでと ....
人には顔色が有りまして
その三原色は
泣く
笑う
怒る
でしょうか
他人の顔色の変化はたいがいは判断が付きますが
自分となるとどうでしょう
いちいち鏡見てたら、たとえ泣いたり怒って ....
五セットもあった作業用手袋を失くした。
引越しの際、いずこかへさよならしたと思われる。実技講習で使わなければならないのに、なんてこったである。百均に買いに行かなければ。なんだか、こんなことばかり ....
たぶん、この秋にも、
たいせつな、なにかを、
書き忘れ、
なにも気づくこともなく、
日々を削り、抜けてゆくことだろう。
ページもめくれやしない、
錆びたナイフじゃぁ…
昼飯を食べて
ぼけーとする
いなくなったら
どうしよう
自分が
たいようの存在
家庭を持って
家族が二人から四人になって
家を持って
車に乗って
可愛い猫を飼って
それでも
それでも
それでも
しあわせを100%迄
感じる事のない私は
何かが何かが ....
オームの法則の練習問題がクラスで1番できなかった
理解のいい人はスィスィ解いていく
ぼくは亀みたくノロノロだ
赤面し
泣きたくなった
やっぱりできないことは辛いな
取り残されるとかそういう ....
私は不安を詩にする
想いを昇華させるため
愚痴といってもいいだろう
心のバランスをとるために
私は言葉を紡ぐのだ
私は怒りを詩にする
悲しみも喜びも詩にする
心が死んでしまわぬように ....
痰だ
まわりで乱舞して
ひとしきりはしゃいだやつらは去った
残飯のような
おれは
ひとり
路上に座学
汚辱のイメィジで
手を淨める
咳き込む たびに
薔薇を
....
不幸の防護服をきるのは簡単だけど
幸せなカーディガンをはおるのはむずかしい
夏でもなく冬でもなく春でさえない
秋には特に
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