{ルビ小夜=さよ}、{ルビ小雨=こさめ}降りやまぬ{ルビ埋井=うもれゐ}の{ルビ傍=かた}へ、
{ルビ遠近=をちこち}に{ルビ窪=くぼ}溜まる泥水、泥の水流るる廃庭を
葉から葉へ、葉から葉 ....
{ルビ屑屑=せつせつ}と自慰に耽る{ルビ雌雄同体=アンドロギユヌス}。
{ルビ人葬所=ひとはふりど}にて快楽を刺青するわたくし、わたくしは
──溶けてどろどろになる蝸牛。*
さもありな ....
窓ガラスに
雨垂れと
蝸牛
頬伝う
私の涙と
あなたの指
強く手を引かれて
連れられていった花畑
しわくちゃの笑顔と
あなたの瞳が語った
「今日で最後」
どうして
約束したよね
ずっとそばにいるって
もうすぐ
あなたがあなたでなくな ....
アリが爪でガラス窓を登った
でこぼこしているからだと
思い込んだ
道が変化した
思い詰めてスグリの実の生る
植え込みのしたに人の声を聞いた
「用心に用心をかさねた」
「手に手をかさねた」 ....
ふと
悲しくなる時がある
悲しい
をかみしめると
あの人が こころに浮かぶ
・
※ 五行歌とは、五行で書く 詩歌のことです。
ひゅーん
ぱーん
ぱぱんぱんぱん
ぱぱぱんぱぱんぱん
ひゅーんひゅーん
ぱぱぱんざざん
ばりばりばり
ひゅーん
ぱんぱぱんざりざり
ぱーんぱーん
熱い夜
炎の花が咲く
君の ....
お坊様の話を聴く日
もっと大変かと思っていた坐禅
雑念だらけでいいらしい
─蝉が鳴いているなぁ
─ミルク金時が食べたいな
と、私は今、思っている。
それでいいら ....
よく見られるのが
言葉ではなく行動という説教
三十年間足踏みしてたやつらが
何言ってるんだと
僕思うわけです
僕が動かなかったからじゃないですかと
言われる
手錠にロープに亀 ....
空が青い
一車線道路の縁石で
鎮座ますコーヒーの空き缶は
吹きつける生ぬるい風に
耐えている
一枚の白紙のような
灼熱の路面に立っていると
なにも見えなくなって
....
はじめましてって
私のこと覚えてないんだ
胸がチクリとする
エキストラのような存在
だめだ泣きそう
あの日の私の声
届いていなかった
運命を感じたのは私だけ
うわの空で会話するあな ....
炎昼や果樹に地下水噴射せり
足音でギャーと{ルビ喚=わめ}くや朝の蝉
屋根裏にスズメバチの巣作りけり(季語春)
大手術せし友持ち来ぬうなぎ飯
眠い時に眠るしあわせ
憂鬱を忘れる時間
シェルターの中にいる
夢でシミュレーションして
現実に還っていく
眠れ眠れ眠れ
泥のように
眠れ眠れ眠れ
泥のように
{引用= ....
ガス燈の灯る、
光の街は
地図にない
ヴィヨンの橋影が
夜の流れに
揺らめいている
街行く人も
名を伏せた仮面のまま、
濡れた石畳の道を
忙しく
通り過ぎた
裏通りの女も ....
さようならの時、楽しみ 楽しみ
だけども、どこか? 寂しく 悲しい
戒めの時を、受けずに 去るのさ
なにを残して、立ち去るのか?
雨が止んだら、空は晴れ
何事もなく、人は行く
最後の言 ....
青空は深いが、
こまかいことにとらわれている私は
つまらないのであった。
とらわれないようにすることにも
とらわれないようにするには、
今ある問題と向き合うことだ
もちろん
バランスをと ....
ムシムシ
またムシムシ
確信的ムシ
ムシし続ける
終わらないループ
ずっとずっとずっと
出口のないトンネル
まっくらで気味が悪い
そしてムシムシ
またムシムシ
平気でムシ
ムシが ....
システマティックに確認できないこと
人間の目視の職人技的正確性と
人間の目視だからこその不正確
今日もいくつもの瞳が瞬きを忘れて
行ったり来たり
大切なことは0と1の隙間にある
....
海の上だけが居場所
心があるのは網が続くどこか
魚たちが網目をくぐって去っても
くぐる様子を波音に伝えて
それが繰り返し鳴っている
確かなこと
いなくなった魚たち
駄目ではない
そ ....
蔓草の{ルビ畑=はた}の花木を絞めに絞め
夏受診診察までの四時間待ち
塀越しの貸家に白き{ルビ百日紅=さるすべり}
西瓜に塩かけるなといふ眼鏡女医
運転中
不意に現れ 目の端で捉える
蔦の絡まる建物
もう、その時期か
あの夏から
幾度 高校野球が開催されたか
懲りずに毎年
十七歳の夏に引き戻され ....
真夜中、夜の公衆便所
消毒済の白磁の便器のなかで
妊婦がひとり、溺れかけていた
壁面の塗料は、鱗片状に浮き剥がれ
そのひと剥がれ、ひと剥がれのもろ ....
髑髏山の蟻塚は
罪人たちの腐りかけた屍体である。
巣穴に手を入れると
蟻どもがずわずわと這い上がってきた。
たっぷりと味わうがいい。
わたしの肉体は余すところなく美味 ....
扉から漏れる光
次の扉を開けるのは怖い
本当に変化を望んでいるのだろうか
その変化は嬉しいものとは限らない
光はいいものだと思い込んでいる
生まれてからの日々しか知らない
....
忘れる
悪いことも
いいことも忘れる
千年前のことも
忘れた
ああ 忘れた
けれど
忘れ去らないで
思い出すこともある
いのち
今は亡き美千代さんが生前
私の笑顔を
「 ....
いつかは手に入れるだろうか
そこでほぼ一生過ごすって
どんな感じだろうか
帰っていく場所
My Home
未来はわからないのに
ローンで縛られること
どうして家ってこんなにも高い ....
娘はちゃっかり盗撮をする
後から送ってくるので
文句の言いようがない
でも今回は良いこともあった
仕舞っていたアルバムから
昔の家族写真をAIの動画にしていた
写真なら驚かないが、 ....
発車ギリギリの電車に飛び込んだ
座れたけれどだるい
夏期講習サボってどこか遊びに行きたい
そう思いながらYOASOBIを聴いている
サラリーマンのおじさんおばさんたちも
疲れた顔してスマホを ....
通貨はベイベイ横浜駅で
青いユニホームかぶった駅員が
帽子のあごひもキュッと締める
まるで駅員であることを確認するように
特急、接近、ハマ風が吹き、
ファッショナブルに回転する駅員
膨らむ ....
ネットの中では面白い現象がみられる
姿かたちや人となりがわからなくても、
勝手に想像して、素敵な人に見えたり。
昔馴染みの詩人さんの詩を音楽家が作曲動画編集、演奏をして
You ....
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