死んでしまいたいと思うことは多々ある。
わたしが今住んでいるアパートのベランダからは、
オベリスクのような細いビルが見える。
わたしはその細いビルをわたしの墓標だと思っている。
その細いビルを ....
悲しみが少しだけ減った夜には、
悲しみをプディングにして食べてしまおう。
そうしなければ生きられないのであれば、悪になることは悪ではない。
問題は悪をもって何をなすかなのだ。
悲しみが少しだけ ....
打ちっぱなしのコンクリートに、ウサギ模様。
あれは星雲、これは星。あれは星座、これは銀河。
わたしたちの見ているのは、宇宙。
まだ見ぬ宇宙がそこにあると……紫煙の向こうに、確かめているわたし。
....
私は一千九百五十五年の生まれです
歴史の示す通り
十年前の四十五年に世界大戦が終結していますね
この国は
ポツダム宣言を受諾して
敗戦を向かえました
学校で教わったよね
....
ください、と言えなくて
くれませんか、と聞いてしまった
人々の影は長く伸びているが
わたしに重なるものはひとつもない
もし
太陽が燃え尽きてしまったら
月が代わってくれるのかな
いい加減
夜ばかりの照明役には厭きているだろう
ここは昼に回って精一杯輝いてくれないかな
たとえ
太陽が燃え尽きてしま ....
飛んでいる矢は静止していることに
時熟できる者は決してゼノンのパラドックスが
あながち間違いではないことに気づく者であり
現在は常に過去であることを知る者である
それは己を時間化することに ....
その命、もっと気楽に使ってみれば?
ちゃちなボールペンにでもなったつもりでさ。
風景画のように澄んだ風景のなかに、ゆれて。
りんご王女が顔を赤くするから、すこしうつむき──
ぼくは窓のそとを王女が眺めるままに、
王女の髪と景色とを見ていたんだ。
水彩画のように ....
親の死に目に会えない
って言うけど
現実
臨終の場に立ち会うのって
困難だよ
ドラマみたいな訳にはいかないさ
俺の父親は八十過ぎて
夜に風呂場で脳溢血で倒れてしまった
頑固 ....
「着の身着のまま、木の実のなる木の幹を登れ。」
そう3回唱えたら、まもなく出港の船に飛び乗っちゃえ。
男は枯れない
枯れてたまるか
父親は豪語していた
親戚が集まる宴会で
「俺は七十になる今も現役だ」
俺は母親をそっと盗み見た
顔が紅潮している
幾ら酒が回っているからって
人前で、 ....
道端に彼岸花が咲いている
家の近くの細い道に
道端に曼珠沙華が花を咲かせている
家の近くの畑と畑に挟まれながら通り抜けてく農道に
車一台やっと通れる道に
工場の屋根の煙突が
白い煙 ....
カネを払えば女は抱ける
カネがなければ
女を抱けない
そんな男はごまんといるよ
これを書いたら
「女を何だと思ってるの」
って
世間の女の人に嫌われるだろう
だけど
女の ....
「何もかも無くなれ」
「ただただ死にたい」
またもメッセージが
頭にとどく
どこの誰だか知らないけれど
僕らはそれらを
共有している
受けとるメッセージに
疲れた夜 ....
宇宙から見れば
この星は小さな水滴
青い羽根の蝶が棲む
蒼い涙のような
あどけない唇の妖精
長い触覚が触れた気がした
ありがう
そう言い合ったとき
からだに水が流れた
....
最高気温が随分と下がったのに
まだエアコンは点けっぱなしのまま
温度が高いのが苦手なのではない
湿度が高いのが苦手なのだ
ある種の人間と同じように
乳歯が抜けて、AQCが生えました。
Aから始まってるので、品質は良さそうです。
もうときどきしか、空からは降りてこない鳥。鳴き声すら、聞こえない高さに。舞いあがり、ゆくてに消えて。ねえ、わたしの持っていた鳥かごが、気にいらなかったのね。ねえ、わたしの用意した巣箱が、気にいらなか ....
深緑の庭園で、わたしは薔薇をつんだの。裸のおんなのひとがこちらを見ていたけれど、わたしは気にならなかった。なぜ? どうして? 「あの人は服を着ていない」って、ぽつりとつぶやいてから、藤棚の小道をかけ ....
秒針は
ガチガチ言いながら
私を刻む
午後九時半
やりかけの洗濯物は
どんどん乾く
外は真っ暗
今朝
置いてけぼりにしたのは
夢か?感情か?
あと六時間
私の明日 ....
俺の家から歩ける範囲には
コンビニ スーパーマーケット
俺の家から歩ける範囲には
学校 郵便局
等がある
なのにどうして
俺の家から歩ける範囲に
天国と地獄がないんだよ
何を寝 ....
骨まで、
はがしてほしいのです。
偽りでもいい・・・
愛が知りたいのです。
ちぎれた月に、
照らされている間。
白い布で、
顔を覆われ、
私の細動が止まってしまう、
....
楽園への切符をかった
でも誰も待っていないだろうとおもった
楽園への切符を売って
一冊の本を手にいれた
普遍性への手引きという
ちょっと手擦れのある素敵な本だ
ぼくたちのちいさ ....
一戸建てを買ったのは結婚して五年ぐらい経ってからだった。
独身のままで一生終わったらアパート暮らしで生涯を閉じたに違いなかった。
住宅購入を決断して取り合えず実家の父親に電話で報告したら、いき ....
ふとChagallの“恋人”を観たいと
新幹線のグリーン車に乗り
倉敷の大原美術館へと向かう
じっとその絵の前でChagallならではの
黄緑色をじっと1時間くらい観つづけた後
また新 ....
子供の頃から 前編と後編に分けられたテレビジョンドラマを見るのは嫌だった
中編なんてあったら許せない気持ちになった
人生を前半と後半に区切るという難問には 対決する必要なんでない
夜
....
五円玉に麻紐を通したペンダント。
母に馬鹿にされ、小さな家出、幼き夕方。
どぶ川に浮かんで漂う人間のクズ
何処かで殺害されてから深夜に運ばれて川に投げ込まれた
と推察された
男には相応しい死に様だった 誰からも同情されないだろう
寧ろ犯人は称賛されるに違いなかった
....
ありきたりに言ってしまえば
そう 川は人生そのものなのだろう
そう 川は生命の流れなのだろう
流れる水と水が寄り添うことは愛のよう
本流と支流に別れていくものは悲しみのよう
岩にぶつ ....
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