秒針が寿命を数えている夜
確実に死を迎えるために
耳はその呪文を捉え
無為な夜をすごしてゆく
生まれては死に
死んでは生まれ
嘆きの丘を目指し
重い十字架を引きずりながら
空を目指 ....
一枚の紙に、一年十二ヶ月のカレンダーを縦横十個ずつ並べたら、百年カレンダーの出来上がりだ。もちろん一番左上にあるのは、今年のカレンダーだ。
今年四十八のわたしは、確実に、このカレンダーの四列目か ....
理想の顔
理想のプロポーション
理想の立ち姿
工場で
愛を知らずに生まれた
理想の最大公約数は
誰にも
愛される事はありません
Showroom Dummies
わか ....
君の姿を初めて見たとき
君の顔は白く固まっていた
初めましてのあいさつが遅れたね
僕は君の叔父さんだ
安らかに眠るといい
眠るために生まれたんだよ
君はきっと
君の顔は美しく化粧 ....
街の端っこの更地を囲うフェンスに絡みついたまま枯れた蔓の落書きのような交錯の隙間から血走った目が俺のことを見ていた、俺はその目に見覚えがあった、鏡で確かめるまでもなかった、斜視で歪んだ照準はそ ....
光と闇の螺旋のDNAに支配され
ぼくらは生まれ
死んでゆく
宇宙の法則に支配され
人は迷路を彷徨い続ける
寂しいかいと問われれば
寂しいと答え
楽しいかいと問われれば
楽しいと答え ....
真夜中の幻燈に真昼の幻想を見る者が一人。
彼は懐かしさの中に真実を探ろうとしている。
ぼんやりと宙に浮かぶ光景は全てが琥珀色で
真実の色さえ隠してしまう。
誰もいないアトリエ ....
すすめてくるのは
だいたい
訳アリなんだよね
首をすくめて
あなたが言う
そうだね
結局はお金かなあ、って
身も蓋もない
そんな世界に
なってしまった
男気に散る
あ ....
君に
問いたい
蒼い焔で
紅蓮の炎を
鎮める覚悟があるのかと
広い邸宅など要らない
ベッドは
身体を横に出来るスペースがあれば良い
食卓には
茶碗の置ける隙間があれば飯は食える
とうそぶいて
新聞が 雑誌が 広告が
テーブルに積み重なり
ベ ....
黒曜石の瞳を閉じて
秋風とともに往ってしまった君は
そろそろ成層圏あたりにいるはずだ
ただ
ぼくにできることといえば
天空にそびえる岩壁をノロノロとよじ登るだけだった
君に届けとばかり ....
溢れる海の{ルビ思想=おもい}を
透いた生命の鼓動にのせて
ぼくはきみに語りたい
{ルビ灼=あつ}い 熱い視線の息吹に恋い焦がれ
ひとり 沈んでいった人たちのことを
ふるえる ....
深夜
耳たぶを踏まれ目を覚ますと
肋骨が無い事に気がついた
慌てて起き上がろうとしたが
胸がクラゲのように揺らめいて起き上がれない
しょうがないので首を曲げて目線を横にすると
小人達が腰に ....
探すつもりもなく
期待もなく見上げた空に
おもいがけなく大きな月を
見つけると
不意を突かれて
涙ぐみそうになる
今日は満月でもないのに
晴れた夜空に低く浮かぶ
大きな月
死んだ人の ....
寂しいから寂しくないふりを
しているなんてお見通しなの
寂しくないならどうして
そんな限界集落の無人駅に
会いに来ないかなんて言うのよ
あなたの孤独を映し出す
鏡のように澄んだ湖はもう ....
ふりつもるものはなに
きおくのなかのたびのはじまりは
こもりうたのようにこころをときめかせるものだ
かかとのないくつであるきつづける
ぼくにひつようなものはいちにちぶんのあいと
おきわす ....
死んだ宇宙のような目をした宇宙のなかで、君は死んだ僕のような目をしていてボーッとしている。それでも、生きた目をして生きていてほしいと、僕は思う。
まっくらにしたよ
虫の声
とぅとぅとぅとぅとぅとぅとぅ
るーるーりーりー
とぅーとぅーららららら
ふぃーーーーーーーーーー
近所のちいさい子のわらいごえ
水溜まりの上を車が走 ....
母と久しぶりに会い生まれて初めて外食をした
町の三階建てのビルの二階にあるちいさなレストランだった
ぼくも母も日替わり定食をたのんだ
メインはチーズロールカツだった
豚カツは食 ....
栗色のながい弧が
私たちの耳にふれてから
鱗雲の向うへ塗れていった
秋の街をならんで歩く
ふたり 着古した服を着
透明な壁の群をすりぬけていく
....
貯金合わせて酒買うのに足りない
やけ食いやけ食いカロリー低いものばかり
なにもいいことが浮かばない空に雲ひとつ
穴から出る瞬時の流速は
その穴の水面からの深さの平方根に比例する
平方根っていったい何だ
自然界は二乗だとか平方根がほんとに好きだ
紙吹雪まくしかないや
扇子をふって ....
どぅわし、知てますか?
鼻毛を伸ばしたままのブラジルさんが尋ねてきた
どぅわしです
どぅわし?
瞬時に日本語検索を脳内で追いかけると前頭葉あたりがホカホカしてきたので
帽子を ....
まるで時が止まったようだ
少し酔っぱらって空を眺めている
今夜も雨模様・・・
私は何を求めているのか
何を求めていたのか
憧れを追い続け
何時かは理想に ....
薔薇の花をおくるよ
ふかく悲しませたあとに
気にしないでときみは言うけど
鋭いナイフをおくるよ
歓びをわけあったあとに
面倒な人、ときみは言うけど
....
『シン蝉』でまた動き出す心かな
トラックが泣いている
ひねもすのたり泣いている
何がそんなに悲しいか
雲のひかりに青ざめて
雲のひかりに汗かいて
ひねもすのたり泣いている
トラックが泣いている
....
沈黙を身の回りに置く時、私は決まってここに来る。
森は必ずしも沈黙ではないが、きっとそれは心の状態なのである。
沈黙を私は求め、愛でる。沈黙は私に寄り添う。
物事の美しさは常に変化す ....
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