『懐中時計』
あおい満月

さとうとともに
ながしこむ
ひげんじつ
とうぶんは血にまじりあって
あたしを死にちかづける
それでもいい
と影がいう
夜毎夜毎
とうぶんを測ってくれと
さしだす魔女の右の小指が
風にふるえている
彼女は触れることができるものだけが
現実だ。
好物の札束が
降ってくる
いぎたなく笑う
彼女の舌が
いくつものチョコレイトを舐めている
チョコレイトの数が
殖えるほどに
反転する
今日と明日
明日と今日
一秒前の
深爪をした指に戻りたい
誰が教えてくれるだろうか
日々は、
進みながら
過去に戻っていることを
壊れた懐中時計の牙が
やさしく獰猛に
血をもとめている


自由詩 『懐中時計』 Copyright あおい満月 2014-07-12 15:14:02
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