すべてのおすすめ
あそこで泣いているのはちいさな風の音
あそこで笑っているのもちいさな風の音
草の根分けて風の根わけてくる 風の音

風の子らが草の根わけていく
茂みや屋根を踏み鳴らしていく

坊やの手に ....
風が強いから洗濯物を追いかけて
綿毛が背中を撫でていく、さよなら
踏みぬいてしまいそうな青い草地を
蛙が春へと飛んでしまったから

ひとりきりで立ってます

スイカズラの甘い蜜を分けあっ ....
ひとつの風景の動きが
瓶に詰められてゆるやかに
はっこう、していく

風景は酵母となり詩情とざわめき
月明かりが窓から注がれて神々の手が
攪拌を始めれば乳白色の神話の海になる

言葉に ....
剥製を買ってオオカミの剥製を飾って
接ぎ目すら感じ取れない毛皮を撫でる
この世は継ぎ接ぎだらけの嘘ばかりだ

おべっかも愛想も
営業スマイルも苦手で
だけれど避けることも
出来ずに皆が笑 ....
いつものように歩いていたのに
いつものように犬と散歩していた夜に
いつもは足を止めもしない場所で

足が歩みを止めて犬が不思議そうに
足のまわりをくるくると回っている

線路下の細い道が ....
そこにいて、あそこにいて
あちらにもこちらにもいる夕ぐれ
夕まぐれ、ぽつりと川の中洲に
陽が落ちている、ぽかんとしている

誰もが知っていて誰も知らない
歌を烏が知らないよ、と歌う
なん ....
千鳥足で夜は歩き濡れた草の間に風と横たわる。夜は朝に焼かれていく。私は夜の肋を撫でて、その灰を撒きながら昼を千鳥足で歩いていく。また夜が芽吹き、我々は酒を酌み交わす。何度死に何度産まれ何度生きたのか、 .... 月夜の庭の物陰で土と溶け合い
消失していく段ボールの記憶よ

何が盛られていたのか
空洞となって久しく
思い返すことはないだろう
お前は満たされた器でなかったか
ある時は瑞々しい ....
庭の木も街路樹もすっかり
葉が落ちさり手をひろげて
雪を待ちかねてざわざわと

さぁ、おいで、雪よ、おいで
歌いながら風を掬い夜を掬い
全身で冬の夜空を受け止めて

君は僕の手をひいて ....
冬に映える黒髪の獣の口から、あなたとの四季のため息が風に巻かれていくよ。あのシャボン玉がすべて包んで弾けたからぼくやきみの悲しみさんはもうないんだ。同じように喜びも弾けて消えるからまた悲しみさんはとな .... フレームだけを残してフロンティアが
朽ちている、錆びたフレームを隠すように
蔦が這い、忘れられた、いろかたち

老人が指差す、そこが境目だと
フロンティアがあったと、かつての
開拓地を指し ....
頭部のない地蔵が地に突き刺さり私は石くれを拾い集めて供えていく。顔は覚えてくれているのか、と問われても元より知らない。けれども手を合わせることだけは遠い昔に習ったし、あの鳥のように歌を供物にしてあの花 .... 早朝に薄くかかった霧に町は静止しているようだ。ビニールハウスは無防備に丸みのある腹を見せて草木もわずかに頭を下げて眠っている。

狭霧の中を電車だけが走っていく。

この外に動くものなどない ....
ぼくの庭の死者たちがつぶやいている
《今年は雨が少ない……不作かも》
祖父かそれとも伯父か、まだ顔がある

死者たちはざわめく葉影のささやき
裸足で庭を歩けば確かに土は乾いていて
限られた ....
ちいさい秋みぃつけた、と
歌う、子らがいなくなって
久しい庭で百歳近い老木が

風にひどく咳をする
また長く延びる影を
煩わしく思った人が

老木を切り倒して
春には明るい庭で
 ....
冬のしゃぼん玉たち
雪にはじめまして やぁ、はじめまして
それからさよなら ふれたら消える友だち
めくばせしながら ふるりふるり

のぞきこんでごらん ほら うつるよ
 ....
陽が次第に落ちてゆるゆると薄暗くなった町を歩いている。信号機の赤で立ち止まる。まだ青が潜むうすぐらく滲んだ空に爪のような三日月が覗いていた。じっ、と真上を見上げればそんな空しかないのだ。雲はどこか、星 .... 海は待っている。誰かを待っている。それは潮風に溶けた予感だ。海へと続く秋の小径に吸い込まれて行く時、私は知らず足早になっていく。透明な水に青いインクを落とした色の拡がりが、あの松の林を抜けた先にある。 .... さて、秋か
そろそろ秋か
まだ夏か、と
迷う、日に

レモンが採れた、と
走る声あり、爽やかな
気配に夏が背を向けて
すれ違いに部屋を
出て行きました

まだそこかしこにいる
 ....
朧月夜さんの帆場蔵人さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
眼を閉じてきけ- 帆場蔵人自由詩420-4-24
春景に立ち- 帆場蔵人自由詩7*20-3-28
風景を食む- 帆場蔵人自由詩7*20-1-20
ツギハギだらけ- 帆場蔵人自由詩120-1-20
来訪者- 帆場蔵人自由詩9*20-1-14
日暮れに口をあけてる- 帆場蔵人自由詩5*20-1-13
夜の筆記者- 帆場蔵人自由詩6*19-12-30
虚舟・改稿- 帆場蔵人自由詩319-12-27
冬を歩く幻想- 帆場蔵人自由詩519-12-22
冬を越えるために・改稿- 帆場蔵人自由詩319-12-14
寂びる- 帆場蔵人自由詩319-12-7
求めるもの- 帆場蔵人自由詩4*19-12-3
ひかり、を- 帆場蔵人自由詩219-11-16
園庭- 帆場蔵人自由詩419-11-14
小さな秋- 帆場蔵人自由詩519-11-6
冬のしゃぼん玉たち- 帆場蔵人自由詩319-11-6
ハロウィンの夜、木星は見えているか- 帆場蔵人散文(批評 ...519-11-2
秋の海へ- 帆場蔵人散文(批評 ...4*19-10-17
レモンがなる頃に- 帆場蔵人自由詩3*19-10-13

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する