きょうはぼくの誕生日
62歳になった 年齢はワープする
きのうまで27歳 パリのカルチェラタンを歩いていたのに
きょう ぼくのスニーカーは田舎道の ....
猫も犬もかえるも熊もとんぼもウサギも牛も馬も烏もカッコウも河馬もキリギリスもカブトムシも人間も
結局はみんな同じ生物で
ただうつわが違うってだけ
それだけで人間だけが偉そうにしてる
モ ....
ないているのです
きみは やさしいから
わたしが なくと
ないてしまうでしょう
ふれていないのは
くちびるだけなの
こぼしていないのは
きもちだけなの
ららら
きこえています ....
むかし、むかし、ずーっと、ずーっと大昔のことでした。
森にかこまれた小さな湖のほとりの岩山に、ひとりの絶対者が住んでおりました。
えっ、絶対者って?
まあまあ、そうあわてずに。静かに聴い ....
しかけをはなれて
ゆらゆらと
どこまでゆくのか
おれのウキよ
みなもにうかぶ
あのつきの
ゆらゆらゆれる
ひかりのなかへ
しかけをはなれて
ふわふわと
どこまでゆくのか
....
高度10,000メートルの上空から
私は見ていた
窓際の席で
北極海を
アンカレッジから飛び出して
ベルギーまで北極海を眼下にながめつづけた
....
地下水脈が耳の下でゴウゴウと鳴り響く夜明け
なんか起こりそうで
境界線に住む「鳥居」さんは
背中がムズムズと 引き裂かれそうに熱くなるのを感じ
家の窓を全部開 ....
触覚の先端ではもう無くしたての繊細な産毛
幾千とおりの声が転回を始めている
その閃光は深く深く脳を焦がし
僕の両手から溢れるハチミツを虹色に染め
やわらかく着地 ....
イイコってなんですか
先生の言うことを何でも聞くことですか
親の言うことを何でも聞くことですか
大人の言うことを何でも聞くことですか
間違ってな ....
ミトコンドリアには
ひとつのゆめがある
八月の鯨、ではないけれど
鯨を待って体内に潜り込み
激しい呼吸の赤い酵素を
たくさん送り込んでやることだ ....
仰ぎ観る景色は
高層ビルの谷間の空だ
今日は青くない
白く靄がかかる
悪くない仕事だ
好きだったはずの
やりたかったはずの
追い求めていたはずの
「お元気ですか
私は元気で ....
ところどころ紅葉が始まった並木道は
それはそれは色とりどりで美しい
そこから木漏れ日が射しこむ様は
夢のトンネルの中を進むみたいで
ハンドルを握る手に
更に意識を集中しな ....
やはり悲しいあなたに
ぜひ伝えたい言葉は 無かったので
あなたのそばで 黙ったまま
気持ちのいい日射しに
そろそろ寒くなってきた足を
ぽかぽかと 暖めていました
あなたも やはり黙った ....
区別されてあれ
紺色の犬よ
十センチ歩幅の
ローカルな犬よ
この職で食うからには
一生、区別されてあれ
扱う品は
人の生命、身体、財産
消えゆくものは
自らの影
区 ....
イエーイ! 家
俺らのため息というため息 体毛という体毛 のすべて
には窓が取り付けられている 家
窓という窓には俺らの手形
という手形にも窓
ところどころは出窓として取り繕っておりま ....
あしたは あさってを みつめて
あくび している
そして きょうは?
うたたね しているに ちがいない
ちくたく ちくたく
すすんでいく じかんのなか
ふたりの ちく と たく の
....
君の使っていた香水を買ってみた
香りは忘れてしまったけど
名前は覚えていたよ
リメンバー・ミー
Remember Me
手首に少し付けてみると
君の香りが甦る
....
行ったことない街の駅ちかく
集まったひとびとのあたまの、上には
なんだかほわほわした空気がある気がして
ずっと見てた
電車はすこしだけ違う世界を連れてきて
早まる夜に
とてもとても、ていく ....
沈む夕日を掴まえた
バックミラーの
その中に
行き過ぎる車
飛び去る風景
僅かな空間の
時の流れの
ほんの一瞬
沈む夕陽を掴まえた
....
ポンポンポン ポンポンポン
焼玉機関の小型漁船が
港をでてゆく
蒼い空だ
ポンポンポンポンポンポン
まるでピクニックのよう ....
あの頃は良かった
あの頃は幸せだった
あの頃はただ空を舞うだけで
皆の視線を一身に受け
私はただゆっくりとゆけばよかった
いつのまにか
鳥が空にあるのはすっかり当たり前になってしまった ....
ほら
きょうは もう
ひ がおちる ね
と いいながら
遊歩道ぞいの木々は
うでいっぱいの
はっぱ を
するするとみまわし
だれが いちばん
きいろいか
えらぶのに
いそ ....
暖色の山の合間の分岐点開花未遂で冬がはじまる
先輩と呼ばれし秋の公園の噴水近くのベンチにも冬
少年が少女に呼ばれ午前二時 雪の黒さを確かめている
ひとひらの雪を蛍とたとえ ....
最後の晩餐。
なんて洒落た言葉は当てはまらない空間
赤鬼と青鬼
小さなつくえをはさんですわる2人
言葉は交わされない
……
赤鬼のために犠牲になった青鬼
人間の友達ができ ....
申し分なくうつくしい
海の夕焼けを
石段に もっそり座って
眺めています
終わってしまって 始まらない物語と
始まってしまって 終わらない感情を
かわるがわる フィ ....
たっぷりと透明な水に浮かべられた 果物
ひざの上に ふわふわくるりとまるまった ネコ
とても安らかな飲み物の入った カップ
溶け込むように眠ることのできる お布団
何もしなくて ....
僕たちがいたきのうは
宇宙人に侵略されてしまっています
ちょっとだけ
感覚というか価値観というか
いや
きっと時間がずれているのです
はち合わないのはそのためです
よかったですね
....
僕たちが独りよがりだと信じて疑わないものは
多くの場合季節の風にさらされている
目や鼻や口
優しくしないでください、と懇願する未亡人の喪服に
しめやかな線香の香りがつく頃になると
....
冬晴れの日の夕暮れは
裾が桃色の霞がかっていて
焚き火の白い煙低くなびいて
それは今日が穏やかだったことを
私に教えている
白い犬は躊躇を止め
黒い目を真んまるくして
きょとんと首を ....
いいのである
しょせん言葉ならば
たれながしても
永遠やヒストリーに
殉ずることこそ
権威主義のア・ラ・カルト
そんなことを
半世紀 いや
もっと前の
詩人たちも言っていたと
信 ....
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