サイコロを振った
吉とでた
月と河童
昭和に青春を送り
平成でこけた
死が怖くなった
たとえ河原乞食になろうとも
....
モラ/モーラ/モラ
君の早鐘を
僕は拾い集める
モラ/モーラ/モラ
君は細くかなしい指先で
世界をつかんでゆく
モラ/モーラ/モラ
君の横は
ひどく白い
ひどく ひどく ひど ....
2月になりはしても 北方の冬は
大雪の屋根に腰掛けたまま
目を細めて今日も 微笑んでいる
南風の萌黄色のシフォンスカートを
夜明けごといたずらに ほつれさせながら
生まれた街では凍える ....
花と龍
盲目の詩人が語る叙事詩
わたくしが保護されている
広場
噴水と鳩
駅舎に車両はない
上野駅とローマ駅では
蒸気機関車の匂 ....
マンホールの蓋を開けると
ハローページは既にそこまで
ぎっしりと積み上がっていて
でかくて、飲み込めね、でかくて、飲み込めね
ごきゅごきゅ喉をいわせ
頑張っている船長の隣で
僕はタウン ....
ダヒテ。
ダヒテの発音は砂のようで
ダヒテの腕はいつもきみどりいろな気がする。
僕の魂は重みにつぶされたりはしない
青梅線を走る送電線に巻き込まれたりしない
そうなったら
....
レールの上に立ち尽くせば
ただ一人取り残されて
進む道さえ分からずに
もがくだけ体力は奪われていく
小さな幸せを夢見ていた
多くを望みはしなかった
けれどレールの上では誰もが
競うこ ....
じーちゃんは 耳が遠い
ばーちゃんは 歯がなくて発音が悪い
二人の会話は
何度も聞き直し
何度も言い直し
互いの顔を
くっつけるように近づいて
可愛らしくて
仲がいい
ばーち ....
淋しさは機械の油
切れてしまった地軸の方位
淋しさは裸の立ち木
いつまでも震える梢
淋しさは男と女の染色体
数億の星雲 光っ ....
ワン!
と唐突に始まる詩
を数編書き
少女はそれから二度と詩を書こうとはしなかった
ターコイズ、ターコイズ、ターコイズ・マーチ
ターコイズ・マーチ
先生!山下君のターコイズ・マーチ ....
ひゅんひゅんと北風はめぐり
ぼくはタバコの火をつけられないでいる
詩を求めて詩から放り出され
いくらタバコを吸っても安息は得られない
一月は何とか切り抜けた
....
喜びは天まで昇り
はじけて消えた
哀しみは砂漠の水を
補給できずに
怒りは津波を起こし
人身家屋をうばった
楽しみはいま文字がつづれる ....
午後に揺れる はちみつ色の池が
とろり とろり
眠くて仕方ありません
医学的にホルモン・バランス
春の陽気を否めませんのよ
かすんだ景色を走るの 普通電車が
....
笑顔と私の準備を
花に笑われないよう
覗きこむ目に
優しい遠い香り
友よ、
すでに日の光を受けている君の震える足で
「初めの一歩」を踏み出そう
まだ描かれてはいない、空白の明日に向けて
深夜の闇の部屋の中で
耳を澄ますと聞こえて来る
胸 ....
そうして
僕らのこれまでの順路を
紙の上に書き出してみる
その上に雲なんか浮かべたりして
無駄に力を入れて笑ってみたり
過ぎ去ったあとで
自然に昔話ができれば
それはそれ ....
枯れた草むらに
寝転がるようなことはしないで
ライターで火をつけてみた
なかなか燃えない
新聞紙がない
紙屑がない
諦めた
炎は美 ....
さびついた
すいどうのじゃぐちを
ひろってきてくれたひと
さぁて きせきとやらを
おこしてみようか
ぐるぐるうでをまわしながら
ほんとなんにもないなあ
おしいれやどうぐばこをぶっしょ ....
冬の陽射しの中
公園のベンチに座って
君のことを想う
悲しみの後には
きっと喜びが来る
凍りついた涙も
きっと雪解けのようになくなる
冬の陽射しの中
....
すこしだけ、遠くを考ることにして
足元の言葉など
深めの空へ向けて投げる
そこまで
届いた音を見届けてから
ぼくの窓からロケットを打ち上げる
高いところ
見渡せる、空が近い
た ....
お願いです
僕が風邪引いて寝る時くらい
余所で寝て下さい
君も風邪引きますよ
『うるさい 黙って枕になれないの?』
…………………
すみません
ふと婦人は席を立った
向かいの席だった
ぼくは隅が好きだ
ぼくは隅に座っていた
カバンを架けかえようとしていた
ジャケットのフードがじゃまで
カバ ....
地面を打つ雨の音
ぽつぽつと ぽつぽつと
惜しむように奏でられる水上の音楽
とつとつと とつとつと
長雨の予感 ほわんと浮かび去る吐息
硝子の向こう まどかに映える懐かしい ....
わたし 嘘を つきませんの
わたし 嘘が つけませんの
嘘のように見えるものは
きっと
嘘じゃありませんの
キライ キライ キミガ キライ
私 嘘は つけませんの
....
夜の浜辺で一人
寂しい叫びを{ルビ宇宙=そら}に放り投げる
震える声は
一枚の手紙となって、舞い上がり
静かな波の唸りの上を、舞い上がり
海の{ルビ面=も}の、
月の光の道の上を、舞い ....
そうしていいこともあった
悪いことがほとんどなのに
大志をいだきすぎたために
ついへこんでしまう暗渠が
ぼくの大陸棚を転げ落ちて
ゆく
....
今朝、あつ子は眼鏡だった
俺はあつ子をかけて新聞を読んだ
悲しい記事をであつ子は泣き
楽しい記事をであつ子は笑う
俺のあつ子、眼鏡は泣きも笑いもしないのだよ
そう言うとあつ子は黙って ....
道路の端っこに弟が寝ていた
こんなに寒いのに
と思いながらも弟らしい寝姿に
つい笑ってしまった
半身を起こし後ろから両脇を抱え
ズルズル引きずる
小さい頃はよくおぶったものだ
気づかない ....
これは1618年にロバート・フラッドという名の錬金術師が発明した永久機関です。さしずめ「アルキメデスの螺旋」の応用といったところでしょうか。この螺旋の管が水車の力でまわると水は上方へ運ばれそこにある枡 ....
おおきくいきをすいこんで
少しずつ、大きくなっていく
何かをひとつ手にするたびに
少しずつ削られていくとして
今ポケットの中で
残されているもの
ひかりが、まぶしい
冬の午後
....
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