すべてのおすすめ
きみが目を閉じても風は草原を夜空を海を旅してまはる
涸れてゆく泉にきみの瑠璃色の絶唱とわに不滅の予感
雨の駅、雨のバス停、雨の庭。きみが ....
暖色の山の合間の分岐点開花未遂で冬がはじまる
先輩と呼ばれし秋の公園の噴水近くのベンチにも冬
少年が少女に呼ばれ午前二時 雪の黒さを確かめている
ひとひらの雪を蛍とたとえ ....
あのひとの黒髪をみたことがない
彼女は髪の長いひと
はじめて手紙をくれたひと
姪っ子にリンゴ飴を買ってきてねと頼まれて
祭りの帰りに
「ちょっと待っててください」
と闇の中へと消えたひ ....
玄関の扉を開く真白いてのひら
その直前に十月の金木犀の香りに包まれて
ふと立ち止まるあなた
かなしみの胎動を青空に聴くことができる巨大なこすもすが咲いている森で
倒れゆく木々
その生前のざわ ....
禁煙するために
両手をじっくりと見た
花びらが散るように
どこかで終わりが開いた
忘れていた夢が疼く朝
雨が降っているので
部屋はひどく暗かった
少し苦い珈琲を飲みながら
この行為につ ....
罪の森きみの手を取り「逃げよう」と言った途端に僕も罪人
森のなか追いかけごっこふたりして迷い込んだねもうひとつの森
瓶詰めの蝶を埋めます木の根元「飛び立つものはすべて埋めます」
....
飛行船はるか下方に点となり僕らふたりは帰れないまま
「ふらわぁ」と君がひとこと呟けば辺り一面芽吹きだす花
明け方に鏡の部屋に迷い込み乱れ咲いてるきみの朝顔
花園で追いかけ ....
夕暮れに花を選べばひまわりが遠いどこかでうなだれている
草むらの茂みに隠れ咲いた花ひとりの兵士 目は閉じたまま
ゆっくりと開いてゆくの花びらがだからわたしは滅んでゆくの
....
屋上にスカート揺れてあとは空ばかりが残ってしまう学校
渡される廊下で後ろ振り返るきみによく似た少女が今も
出来すぎた出会いに怖れ隠せない手を繋ぐだけ見つめあうだけ
影追っ ....
縁側で闇を見ている妹の白いうなじが僕を呼んでる
夏野山汗ばみながら駆けてゆくゆくえふめいの妹の兄
鉄塔の錆びた階段昇りゆく100階したから姉とは呼べづ
鏡台に映る妹べにを ....
鉱 山 や 氷 河 期 抱 き 耐 え る 夏
網 戸 ご し 細 か い 夜 が 並 ん で る
盆 支 度 墓 の 間 に 間 に 少 女 た ち
盲 目 の 父 と ....
七日目を待たずに
未完成の球体をもてあそぶ少女が
白の断片を拾い
主体を隠す
まもなく
発火するだろうパンドラの箱
遂に
僕らの目醒めを待たぬまま
黒板の歴史について
君と議論する放課後
誰もいない教室の花瓶から花びらが落ちるしづかに
いつの間にか
窓から忍び寄る夜の気配
僕と君だらけの教室に
天使たちの無音のやりとり
聞きながら
....
畦 道 に 自 転 車 ゆ き て 蛍 舞 ふ
幼 虫 が 齧 る 花 食 べ 羽 化 を 待 つ
夏 に 首 痛 め て 星 も 見 れ ぬ 夜
古 井 戸 や 落 ち ....
夏 か い て ん す る と 同 時 に 蝉 騒 ぐ
盗 塁 を 刺 せ ず 投 手 の 恋 終 わ る
縁 側 の 素 足 の 影 で 眠 る 秋
草 む し り 花 ....
逃れゆくものたちから
遠くはなれ
真夏し続ける真昼
貝殻たちは閉じ続け
空は円環面だけを広げ続け退行の曇天
誰かが呼べば
誰かが応える
のそとがわで
隠れている子を見つけ出せない
鬼 ....
微笑みに沈みながら
ゆっくりと溶けてゆく君が君が
追いかけられることにつかれて
しごとも捨てかんけいも捨て
色さえも捨てた
ほのおの残した灰のように静かに
軽く風のような涼しいが吹いてから ....
痙攣している右手で
聞いたこともない山々や
見たこともない街並みを描く君
僕はくだらない登山家として描かれ
どんな街並みなのか見ることもなく
いつまでも登り続けている
だけど君の手が震えて ....
ろくがつの洪水の夜に
しばらくぶりに泳いでみたが
溺れるすべを知らない僕は
たいへいようおうだん
とうとう魚になってしまった
今となってはもう
せめて、魚大好き!な君に食べられたいと
だ ....
高いところが
好きな君は
毎晩 空に向かって梯子に昇る
朝になれば
帰って来るが
その都度いつも
変な宇宙人を連れてくるから
僕は英語の勉強に集中できない
くりかえしてくりかえして
何度も何度もくりかえしくりかえす
「24時間」に閉じ込められた僕は
25時間目に生まれるとゆう{ルビ詩=キミ}に会えない
「あー、腹痛かぁ」
と言いながら休憩室に入ると君がいた
「からだの調子の悪かときって、脈の速うなるとよ」
君がそう言うので
僕は脈を計る
手首の付け根をさまよう指
(見つからな ....
水鉄砲空に向かって引き金引けば雨とは違うりずむさわかる?
朝露で光る蜘蛛の巣払えども蜘蛛を払わば晴れぬ我が梅雨
魚たちきらめきながら海の底反射の果てのうろこ雲かな
君の名 ....
巨人に踏み潰される朝
平たくなった太陽は
溺愛する星々を瞬間に残光で洗う
自動車が行き来する都市高速に
幾重にも連なった雲の影が落ちるとき
黒い信号がひとつになる
コーヒーを飲み過ぎたせいか
僕はコーヒーになってしまった
夜、眠れないとか
胃が痛いとか
そんな問題じゃなくなった
あ、こぼれてしまう
とゆうよりすでにこぼれてるねみんな
....
僕は思いきり夜を投げた
つもりなのに
君が受け取ったのは朝だった
仕方ないので
ぼくらは昼間から
昼寝ばかりしている
廃校の壊れた椅子に腰かけてひとり君待つ四学期かな
朝礼で神を失う君を見てはるか昔のあの地を思う
漆黒の絶縁テープ巻きつけてアルバム燃やす十月の夜
体育館裏の壁際いつまでも ....
悔恨される音楽を聴いて乱読しよう雨
一粒・一粒残酷する高低の有無を生む
カラギナンの分量違いによる悲劇の午後
ミルクが凍る白樺の貫通する曇天
大体 曖昧な理由である毎日の労働
曇り空の孕む卵 ....
ゆふぐれに君とふたりで春の墓地ここでひととき幽霊しようか
「五千年前の約束忘れたの?」花火しながら妹が問ふ
昆虫がふたりの為の出会いなど知らづに運ぶ花粉かな
警報機こわし ....
森の外で起こったことが
森の中にいる僕らふたりを不安にした
時計を持ったウサギを追って
彼女はいなくなってしまった
僕は食べかけのりんごを土の中に埋めて
君の帰りを待つ
やがてりんごの ....
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