鍋を洗うのと
お風呂のふたを洗うのが
あんまり好きじゃないです。
一羽の鳥が空をゆく
わたしには
その背中が見えない
いつか
図鑑で眺めたはずの
おぼろな記憶を手がかりに
爪の先ほどの
空ゆく姿を
わたしは
何倍にも引き伸ばす
こんな ....
僕が天文学者だったら
と
その星帯の向こうの
カロンを指差しながら
あたしを見た
あたしは
冥王星のあなたの側で
足をぶらぶらして
そんなに遠いんか
と
笑 ....
昆布の匂いがする、と
おんなの言うままに
おとこはそっと確かめてみる
漁師町で育ったおんなは
季節ごとの海の匂いを
知っている
おとこは
ただなんとなく海がすき、とい ....
いつの間にか聞こえなくなってた
あなたの歌声
いつの間にか見えなくなってた
あなたの笑顔
愛してるって伝えても
愛してるって伝わらない
どんな場所でも
あなたがいないこと
感じ ....
にゅうどうぐもが
もこもこ
もくもく
ぼくらの
ゆめのように
いきおいよく
たちのぼる夏
きみの
だいすきな
甲子園
ふたりで
応援しよう
ふるさとの
しょうねん ....
笑う満月の下で
ぼくらの明日は
三日月のように
尖足している
医者は
なにごとも
なかったかのように
また、今日も
尖った足を
創出する
僕らは空気を育てた
空気を育て空気と遊んだ
外を連れて歩くと
人はそれを風と呼んだ
空気は僕らを食べて育った
食べられて僕らは
その大きなお腹のようなところで
何度も生まれかわった
何 ....
引っ越したアパートは
薬屋の二階だった
辺りには小さな商店しかなかったが
近くに大きな川が流れていて
君の心を支えながら
よく土手を歩いた
神社には大きな桜の樹があって
薄紅の季節を ....
かちきな
ひとみが
うたうように
ささやくように
いうんだ
<おれもがんばる>
<おれもがんばる>
えむ
ふたりで
がんぱろな
....
本をひらけば詩人が語り出し
テレビの中では
ミュージシャンが愛をうたう
みんながぼくの中に
理想や空想をむやみに植えていく
まだ種であるぼくは
なに色にでも染まるよ
アサガオでもねむ ....
てをつないで
ふたり
てをつないで
かわべのみちを
あるいているのだ
はしって
はしって
かたでいきして
きらきら
あせが
ひかっているのだ
ごくごく
ごくごく ....
ファーストペンギンは
勇気があるから真っ先に
海に飛び込むんじゃないよ
後ろから迫ってくる
他のペンギンたちに押し出されて
ぽちゃん
こんな感じ
そう教えて
プールに飛び込んだ君を ....
砂糖にたかっていたアリを
靴で踏みつけた
おまえは家の子ではない
アリの巣から拾ってきたのだ
前の夜、酔った父は言った
群れは乱れ右往左往し
数十匹は難を逃れ
数十匹は幸せな表情 ....
ありがとう
ありがとう
中村先生
ありがとう
ありがとう
ありがとう
一パーセントに
当てていただき
ありがとう
ありがとう
ありがとう
ぼくの妖精を
壊してくれて、
....
今日は職場の老人ホームの納涼祭であった。通常の業務を終えた
後の18時半に始まるので、正直勤務中は、「今日は一日、長いな
ぁ・・・」と思いながら働くのだが、いざ盆踊りが始まってしまえ
ば、暮れ ....
わたしの手に
あなたの手が住み
眠り、少し起きて動くと
くすぐったいものが
わたしの中に届く
汗をかいて
わたしもうっすらと汗をかいている
守らなければならないのは
こんなに小 ....
たとえば
いま、ぼくらがみまわれている不幸とういうものの正体が
医者達のあきらかな過失により生じたと
ぼくらが
つよく
つよく
信じたとしても
それはそれとして
ただ
ただ
にこや ....
温かい光の中を
二列に並んだ子供たちが
手をつないで歩いていた
先頭の先生は
ときどき振り向いて
おしゃべりしている子や
ちゃんと歩かない子を注意する
注意された子供は
一番う ....
大きなサボテン
小さな鉢で
よけいおおきみえる
小さなサボテン
大きな鉢で
よけいちっこみえる
だからよけい両方かわいいねけど
大きいサボテン
「なんか家まちごうてへん ....
めろんの翠が涼しい頃
強引な若さだけを連れて
新しい部屋を探したわたしが
照れながら甦る
必ずしあわせになるのだと
啖呵を切って
飛び出した古い家
裏付けるものなど何も無く
ただ
....
消えた跡にはただそこにソンザイシタという
歴史だけが残っている
街を歩けば無人の高級店が建ち並ぶ
盗む気になれないほどの静けさで
「ミンナヲタスケテアゲテ」
言葉を発するものの ....
{引用=一、くじらヶ丘
口に出してごらん
うるおい、と
その
やわらかな響きは
途方もなくひろい海の
すみからすみまで
満ち満ちてゆくようなものではない
干 ....
ソーダの泡のような微睡みのなかで
懐かしい とても懐かしいその面影に出会った
記憶の深くに留めようと
すればするほど
表情は淡くなる
ならばこの夢でだけ覚えておこうと
思い切りこころを ....
ある独りの心
ある二人が腕を組んで上っ面の幸せを
そこここに溢れさせています
「星の満ちた世界に、ヒトビトの輝くとき」
街頭の大型テレビジョンから
この言葉が流された瞬間
....
目覚ましの音で目を覚ます
短針は天に向かって背伸びをしているようにも
高さを競っているようにも
短針は短針で長針にはかてっこないのに
それでも、短針が長針に勝つと言う奇跡が起こるか ....
服を買って着替える
着替えている途中にそば屋があったので
天ぷらそばを注文する
持ってきたのは昔の恋人だった
昔のように優しくしてくれた
着替えをしながら自分はそばだけを食べ
天ぷらは ....
ぽつり。・・・・・・・
キミがつぶやいた温かくて優しいけれど
聞こえない言葉
ぽつり。・・・・・・・
生暖かい空気の中をボクめがけて落ちてきた
冷たいけれど温かい一粒
ぽつ ....
あなたにメールをおくったあとは
ねこのさかな
ぼくのけいたい
ぎゅっとにぎってつかれちゃう
から
ゆかにおく
しばらくしたら
ぼくはせいざ
けいたいに むかって
のぞきこんで ....
真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引 ....
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