さんぽのとちゅう
とてもきれいなびんをひろったので
もってかえって
まどべにかざった
なんだかものたりないので
もやもやしていたきもちをつめこんでみると
ゆうがたには
びんのなかでと ....
あの人の好きな牛乳羹を持っていくことにしました
手作りを重宝するあの人のことですから
わたしの選択肢としては何よりも手作りが一番だったのですが
朝から冷蔵庫の調子が悪いようで程よく牛乳が手に入り ....
宵闇、
五線譜の電線 で
輪郭のぼやけた影だけの鳥たちが奏でるのは
誰かの
失くしてしまった、声
あるいは、足音
にも 似て
道しるべにするには あまりにも
不たしかな
風通しの ....
ミネラルウォーターに沈む電球らで
ボトルの中の水面はゆるい光を着込むと
洛陽に染まる
儚い海で
椅子も防波堤になって追想します
波〜オレンジに騒いで
配線コードも〜鯰〜
....
ぼろぼろにちぎれたスリッパを履いていたら、
「お願いだから、それはやめてくれ」と言われて、
つい、
「はい」なんて 答えてしまったけれど、
いいじゃない、べつに
他人に見 ....
罪の森きみの手を取り「逃げよう」と言った途端に僕も罪人
森のなか追いかけごっこふたりして迷い込んだねもうひとつの森
瓶詰めの蝶を埋めます木の根元「飛び立つものはすべて埋めます」
....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
いつまでも履かれない靴下が
階段にころがっている
カルピスの
ブルーが目を引く
やっぱり青が好きだと思う
汗をかいたグラスの
カランカランが
眠気を誘 ....
階段を降りると
昨日よりふかふかしていて
昔のおじいさんの背中を踏んづけているような
申し訳ない気持ちでいっぱいになる
急いで二階からエレベーターに乗り
皆に白い目でにらまれるけど
....
どうしようもなく疲れてしまって
人間をやめたくなる気分とか
眠ったままもう二度と起きなくてもいいという覚悟のために
心残りに
いま
すべてを注ごうか
私が手を離さなければ
私が目を ....
傘をささずに帰ってきたら
ぽつりぽつり、と、前髪の報復
それがしょっぱい涙じゃないこと
かなしいのかしらね
おまえは3よりも4だよな、と君は言います
もしかしたら心配、なのかもしれなくっ ....
青空の種を風切り羽根が運んでくる
久々に故郷に帰った。ちょっと遅れたけど、お墓参りとか。もうちょっとで名前の消
えるまち。単位を少なくした方が、管理は楽だよ。それだけのことに振り回されて。
中央とのつながりを持てない小さな単位 ....
どうしようかと
暮れている一日
些細な段差に躓いてみたり
心の縁を爪弾いてみたり
火の上で
ゆれるやかんに
お日様が降りていく
じゅっと
音を立てて
沈んで落ちていく
....
先生を探しています
親のでもなく 夫婦のでもない
友のでもなく 隣人のでもない
わたしを愛してくれる先生です
誰にも他にも
眼差しを向けず
そらさず
わた ....
とりあえず
今日の面倒は済んだので
自傷でもなく
自慰にも飽きた今夜
これから何をしたものかと考え
無造作に置いてあった経済新聞を見る
いろんな専門書があるものだ
この職業には
こんな ....
悪臭を放つバムが図書館で 堂々と本を読んでいる
嘘臭を放つ俺の言葉が みんなの前を通り過ぎる
マジで臭いバムなんだが 俺はその隣でウタっている
周りの奴らは みんないなくなった
目の前に座った ....
15の頃セラビィは自分を史上最強だと思っていた
誰もを幸せにすることが出来るし
全ての問題を解決出来ると思ってた
性の目覚めとともに
世界にはなんて幸福が満ちているのだと
やがてその全てを知 ....
まちをさまよいあるくうち
とてもなつかしいとおりにまよいこんだ
きおくをたよりに
おみせのひとつにはいってみると
なかはきょうれつになつかしくて
そわそわしながら
あいているせきのひと ....
わたしは
そのうち猫が飼いたいのですが
あの人は 寂しがりやなので
犬がほしいと言ったのです
わたしは 寂しい家がすきなので
犬がいる生活は
気持ちが散漫です
....
虹を ばらばら に します
少し きららん を ふって
指の隙間から 消えていこうとした
お祭 の 花火 で
かりん かりん
心持ち 軽く いためます
虹は い ....
結局また
こんなとこに戻ってまうねん
て とむ が言う
ほんまの自由は
ここにあるさかいに
て じむ が言う
ぼちぼち が一番や
て言いかけた はっく ....
『ありがとう』
せめてもの ご恩がえしと思ったんですけど
あなたは しわ枯れた手で
それすら私にかえして
帰るときには いつも
余るほどか
±0にしてくれるん ....
柔らかい絹のような髪
風に遊ばせて 君が笑う
まだうっすらと 幼さをまとった
伸びやかな脚を
揺らしながら
少しかどのある硬そうな膝小僧
二つ並べて 君が笑う
若草のそよぐ野原を ....
ええと、
いつの間にか 物覚えが悪くなり、
それは多分、
以前、携帯メールを待ちすぎて とか、
頬杖をついて
パソコン画面をボーッと見ていて
頭もボーッとなること ....
今日もまた欲望に負けました
自分の弱さをごまかして
見せかけの優しさにすがりました
自己嫌悪という快楽に
身を投げて
今日もまた失望に負けました
幸せそうな人を眺めては
この身を憂い ....
ラインマーカーでチェックしているうちに
すべてのことが大切に思えてくる
上下左右の空白も妙に気になって
塗りつぶしたりする
頭の中がまっ黄色になって
何ひとつ覚えられない
だから今日も ....
「メリーゴーラウンド」 4
数学
わたしがまだ小さかったころ
という表現は
何歳くらいを示すのだろう
白板にマジックペンで数式をならべる
....
このまるいの かわいいね
なんで こんなとこにぽつんと 生えてんの?
親子みたい
うちにも 植えたいな
あ
これ
木じゃないんだ!?
一年でおわりなの?
ふーん..
....
点と線と千
繋がらない夜があって
道に迷っては
迷いっぱなしになる
街灯は
月明かりに似せようと
目には見えない点滅を繰り返すけど
足元を照らすには
まだ足りない
らしい
....
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