なだらかな野辺に{ルビ錨=いかり}をおろせば
緑色の秋がふりそそぐ
やわらかな雲の群れを辿れば
まぶたは風にまどろむ
じっとしていなければ
追いつけない季節
木漏れ日を新呼吸し ....
水鉄砲を空に放つ
夏
リアス式海岸を
走る
気動車
機関車
各駅停車の
車両達
それぞれが
異なる
ジョイントの音を立てて
走る
水鉄砲を携えて
....
技術
技術外れの季節に
議会を解散したかったのだが
主権者の端くれとしては
クレマチスが良かったわ
と言ってくれるまで
くるり棒を振り回す
麦秋の徒に
陰口
影女
悪巧み
古狸 ....
秋風に乗って
走れぼくらの自転車よ
きらめく日射しの中を
きみを乗せて走れ
秋風に乗って
走れきみの自転車よ
あの日のように
秋桜の咲き誇る道を
走れ走れ
埃まみれのぼくらの ....
海があった
それは雲だったのかもしれない
美しい景色
雲海という言葉があってよかった
そうでなければ僕はこの海をこの雲を
なんと表現しただろうか
....
遠くまで 届きたい
おもいが 橋となる
その たもとから
深淵を のぞいて
たちすくむ
まだしっかり帽子をかぶった黄緑の
君の大切なたからもの
やわらかい手が両方ふくらんで
哀しそうに助けを求める
ひとつも手放したくないんだね
小さなポッケを教えると
手の隙間から零れない ....
東京行きの列車が
一番線のホームに到着する
あれに乗ればトーキョーまで行けるのね
娘は言った
うん、行けるよ
行きたいな、トーキョー
この間の日曜日みんなで行ったじゃないか
....
秋の空気には
透明な金木犀が棲んでいる
陽射しに晒した腕が
すこし頼りなく感じ始める頃
甘く季節を騙す匂いは
思い出の弱いところを突いて
遠くにいるひとの微笑みだとか
風邪気味の ....
美人薄命 というくらいだから
女の子は 青白い顔をして 少しくらい体が弱いほうがいい
などと思ったのは 十二くらいまでの話で
ただ ひたすらに 丈夫であることは 尊い
そう 思う ....
ネットはたまに嫌なこともあるけど、
自分の知らないいいことを顕在化してくれる。
ネットは匿名で悪口を言えたりするけど、
普段言いにくいことをいつもより気軽に言えたりする。
いい ....
夕闇の
あの色が好きです
切なさをひとつぶ
いとおしさを一粒
弄んでは
つぶすたびに
広がってゆく葡萄色
甘いあまいのは
街の匂い
あなたとはぐれた
秋の匂い
五 ....
ツクツクボウシが鳴き細り
ぼくらの夏が終わる
夢をいっぱいにはらんだ風が
尖ってゆく
去年のいまごろ
あなたが放してやった
あの魚が
黄金色に輝きながら
ぼくらの明日を
運ん ....
タイトルだけ見たら、危ないですが、
記憶喪失の話ではなく、
酒乱事件の話でもなく。
さて、本題。
「わたしは詩を書きます。」
ここでいう「詩」という言葉の定義につい ....
逢うことは必ずしも救いとならない
つかめない泡のなかで
幾百の約束は
いさぎよく果てるためだけに
咲き誇る
散りゆく夜の
風たちは
雨に満たずに群れをなす
寄る辺をしずかに願い ....
−ブッシュ大統領、9月11日のテレビ演説より抜粋−
今日、多くの市民と我々の生活そして自由そのものが、一連の計画的な、命を奪うテロ行為で攻撃にさらされた。数千の命が、邪悪で卑劣な行為 ....
水色のキャンパス
白い花びら、ふたつ、みつ
風の描いたような君の唄
軽く手をふるハロー、ハロー
鉛筆画の微笑みは
鉛色の雫でできてるの
はじめから
うまくのれてなかった、 ....
いろいろな きまぐれで
そらのむこうをおもう
あきのかぜが さわやかで
おさけがおいしい
だれかきてくれれば
とてもうれしい
ひとりでも
なんとなくすぎてゆく
かわ ....
「生き春巻」です
店員は言った
メニューを見直す
確かに「生き春巻」とある
生き春巻は時々皿の上でもぞもぞ動くが
その間も気持ちを見透かすかのように
目のようなものでこちらを睨み続けて ....
どこかが ほつれているんだけど
見えない のは きっと
背中のあたりだから と 思う
(ハンスが)堤防の割れ目に腕を突っ込もうとしても
割れ目が見えないのはきっと 割れ目が
表面じゃなく ....
−軌跡−
それは
時には
複雑すぎるほどに曲がりくねっているようで
時には
単純すぎるほどに限りなく真っ直ぐなようで
一本の絨毯のようで
数千のピアノ線のようで
−軌跡 ....
鼻先をかすめた寂しげな風が
街の色を変えてゆく
音を消してゆく
それなのに
黒のタンクトップなんて着てる
それなのに
ビーチサンダルなんて履いてる
皆は気付かない振 ....
ごめん
あと五分だけ。。
なんてセリフ
想像したこともないよね
君の寝顔
無敵の寝顔
一面菜の花
白い蝶
饒舌な暦に
紋黄蝶
ひらひらと青い空を飛んで行くよ
戦闘機の青い影
いつのまにやら日が暮れて
饒舌な街の囀り舌平目
マグロ列車のテールの光り
チラチラ ....
棘魚が住むという
小川のほとりに
住んでいた
メダカのような
ちっぽけな
雑魚が
水草の横から首だして
神経質な目を向ける
こいつ、反体制だな
作 0 ....
僕は・・・・・ボクハ・・・・・
ツクリアゲタんだ。ボクを。
だから、大切な人よ。大切だった人よ
自分を責めないで
責めるならこの闇を責めてくれ
まるで嘘の上に嘘を重ねたような ....
ボクは無視を決め込み、眠りの闇に身を投じた
「ムカシノアナタハソンナデハナカッタ」
「アナタヲコウシテシマッタノハ・・・・ワタシノセイ」
「ウシナウツラサヲ、ダレモノゾマヌツラサヲア ....
休憩室の扉を開くと
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた
ほんのささいなことで
誰かとすれ違ってしまいそうで
思わず僕は身をかがめ
左右の靴を手にとって ....
どこにでも
だれにでも
あるのに
ぼくにだけ ないことの
ほこらかさ
おのれの呼吸が
一つの音であるということ
それは
あまりにも気づき難くて
ともすれば
日々の暮らしの意味さえも忘れてしまう
月の満ち欠けは
暦の通りに
全く正しく空に映るの ....
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