君の大切な人の堕落が君を歪める
その人のことが好きだから
君はその人を優先する
その人が例え極上の屑でも
君はその人を愛せる
でも、屑は面白い
屑は周りを楽しませる
屑自身も楽しい
....
長い旅路を振り返れば
故郷へ続く道は遥か遠く
懐かしい人たちの声も
今はもう 聞こえない
ポケットに詰め込んだ思い出は
知らず知らずのうちに零れ落ち
いつの間にか 失くしてしまった
....
たとえば疑うことを忘れたら
(忘れさせられたのかも知れないけれども)
全てノンフィクションになり
フィクションは絶滅する
素速くて素速すぎる情報へのアクセスが
私たちから疑念を奪った
....
神さま
(私だけの神さま)
にお願いすることが
私のことメインじゃなくなり
(そうでありますように)
同じ部屋でいま眠っているあなたの無事をと
しあわせをと
しあわせをと、それなら
私 ....
カメと一緒に帰る。
歩いて帰る。ゆっくりゆっくり、鼻唄うたいながら帰る。
我が家に帰る。
地獄行きの鈍行に乗って
四月の待つ駅に向かった
緑色の鋼の橋桁
猫が歩くだけの昼下がり
血みどろの口論なんて
何年ぶりだったろーかよ
四月が僕の電話を鳴らす頃
列車の窓から街を見 ....
山育ちの子が海を知った
知らなければその深さも大きさも
わからないまま死んでいく
たった一日の出来事を
赤い水着を着た縁取り写真の子が
記憶を差し出す、午後五時九分の日没
赤穂海岸で俯 ....
ジョギング大会の後に
自分自身を慰めて居たら
庭の三本の木が焼けて仕舞って
大変胸が痛んだ
私有地には羞恥心があって
伯母さんがシュークリーム工場に
働きに行ったからだろうか
ゴーストは ....
朝、息は白く冷たい
夜雪が降り、ウサギの足跡はついた筈だ
心の中の鉛は骨に入り込んでいる
だが、浮き足立つ朝の輝きは止めることができない
ウサギ狩りだ
猟場に着いた
車の中から銃を下ろ ....
僕がsと外苑前を歩いた土曜日
通りは肌寒い 春先で
人気のない暗がりの道で地図を頼りにした僕は
歩いていた ただ 美術展を見るために
アングラだった 映像作品などや そして
そこ ....
あなたの鍵を青く塗って海に投げた
波の泡が飲み込んで
見えなくなった
別れた日だった
わたしが泣くとあなたも泣いた
玄関に、台所に、ふたりの部屋に
あなたとわたしのYESとNOが
....
十年前のわたしが知らなかったのは、ほんとうにひとは死ぬのだということ
息は絶えるし、姿はみえないし、さよならはいってくれません
十年後のわたしも知らないのは、ほんとうのひとの愛し方
結局こん ....
はるの海が
すべてを呑み込んだ日
わたしは目眩でしかなかった
はるの苦さというにはあまりにも
多くの命が失われた日
応えぬ名
帰らぬ瞳
待ち続けた背中
遠ざかってい ....
そらいろのくるま
にのって
あさがたの
やわらかな
ひのひかりのなか
ぼくたちはいこう
ぼんねっとにひかる
きのうのあめつぶが
さわやかな
くうきのなか
う ....
約三時間前にサイレンが鳴った
そのあとやけにテンションの高いリサイクル業者の声が一帯を過ぎる
テレビをつけて相撲中継
七年経った
母は画面に正座で向かったまま
頭を垂れて舟をこい ....
あのときから
私の水虫時計は
ずっと止まったままだ
トイレットペーパーを気が触れたように
買い占めようとする連中を
「ひょっとして、こいつら
災害が起きたらいつもより
ウンコに行きた ....
形あるものを再び築くことは容易いが
形なきものを築くことは難しい
人と
人との
物や事との
環境との
結びつきの喪失
私と
大切な人との
親しかった人たちとの
大切 ....
私をとりかこんでいた言葉たちが
あのときを境に
いっせいに遠ざかってしまった
遠景になってしまった言葉たち
とり残された私のまわりの
がらんどう
けれど私は
おそるおそるでも
....
お爺ちゃん
真っ昼間
海辺の無人駅に一人座った
何のために来たのかも分からないまま
海が見渡せる方の端っこの古びたベンチで昼寝をした
陽が傾いて折れたような首元に柔らかい光が当 ....
エンジンを切った軽ワゴンの屋根を打つ
冷たい春の雨のリズム
捉えきれないπの螺旋を
上るでも下るでもなく蝶のタクトで
震えている灰を纏って朝は皮膚病の猫に似る
考えている
....
あなたが死んでほしいと思ってきたけど
あなたがなかなか死なないから
早く自分が死ねたらいいと思うようになりました
だから
きれい好きになったし
いろんなものも捨てたし
死ぬまでにするこ ....
巡る季節の儚さは闇夜に隠れた月のよう。
一人娘の待つ家に抱える苦悩の薄化粧。
橋の欄干飛び越えてその身を投げる決心も
ひと時待てば揺らぐもの。
支えはあるか?いや、ない。 ....
アンタはねぇ
産むつもりなかったのよ
子供なんて
別に欲しくなかったし
ああ、やっぱり
流しとけばよかった
ごめんねぇ
もう母さんたちダメだわ
アンタたちだけ
....
困るんです
私の夢に現れては
困るんです
迷惑です
ええ、そりゃあ昔は、好きでした
あなたのことが、好きで、好きで
たまらなかった
そういう時期もあったとさ
お願いですから ....
三月の花の香りが
鈍色の空に流れている
降り頻る静電気
うつむく電灯
美しい花粉
わたしはいつも
静かな電気を知っている
春が来る前に
触れられ弾ける孤独、のこと
....
防波堤に打ち付ける、波
全てをさらっていく
泡沫が少し
澱みに残るだけ
日がやけに低い昼下がり
人の姿もなく
旅の友は、おねだり上手なカモメ
行先不明の私は
いつだって
迷ってい ....
木片の内には像も形もない
{ルビ自=おの}ずと示す雛型も
なぞるべく引かれた線も
一つの像が彫り出された後で
木片はその内部に
一つの像となりうる可能性を秘めていたと
言えるだろうか
限 ....
既に持っている奴が
持ってない奴に
「てめえ、持ったらただじゃおかねえぞ」
というのはどう考えても筋が通らない
「そういうてめえはどうなんだ」
と言い返されるのがおちだ
そのとき
「えへ ....
南の空気を孕んだ雨が止んで
少しずつ
本当に、少しずつだけれども
春は近づいて来る
三寒四温
その時期はもう
過ぎてしまったが
今も四つ進んで、三つ戻りながら
春は、確実に近づ ....
同じ作業の繰り返し
飽きもせずに繰り返す
目的は
ペカリに有り
天井のない恐怖
スリルの亡者
憑かれてしまった
その時ペカリ
来たよ来たよ
GOG ....
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