OVER THE HILLS AND FAR AWAY。
●「なんていうの●名前?」●「なんで言わなあかんねん」●「べつに●ほんとの名前でなくってもいいんだけど」●「エイジ」●「ふううん ....
あるもの
ただ、
在るもの
この、
沈黙の取り留め無さ
名付け以前の異様な密度
ソレは、
ナニカに触れて
ナニカを浮かび上がらせ
保ちつつ、
あるも ....
君が見ているのは
雲から降ろされる光のはしご
不思議かい
それは君のノートが
白く見えているのと同じことなんだよ
そしてまた微かに笑った
....
京福電鉄嵐山本線が近くを走る
右京区の街の中
名前も知らない小道を二人で歩く昼下がり
小道には金網の張ってある敷地に沿って
大型プランターが路端に並び
主枝を伸ばし茂る葉と
....
乾いたシャツをつかんで振り返ると
ガラス戸の汚れのすき間を通りすぎる影がある
コインランドリーの乾燥機の音に紛れて
戦争が近づいているらしい
うふふ
やるならあっちでやってくれ
も ....
ファイナンスは
日本語で「金融」のことだが
この言葉の由来は中世フランス語の
「終わる」から来ている
なぜ「終わる」なのかと言うと
お金は関係を断ち切るものだから
つまり
お金持ちは ....
ラゴスの議会は、ケンパ・ハルラージャという有力者が治めていた。
ケンパ・ハルラージャは、軍務大臣であるシュランク・エルベとは、
犬猿の仲である。一方が西と言えば、他方は東と応える。
アウゼルは、 ....
命の外側で雪は軽やかに息をしながら降っている
どこからともなく、螺子を巻かれたわけでもなく、
静かに乾き、ひとつの可能性のために降り積んでいくかのように
しらんだ冬の
おっとりとした、
....
●コップに入れた吉田くんを●空気が乾燥した日に●風通しのよい部屋に二日のあいだ放置しておくと●蒸発して半分になっていた●これは●吉田くんが●常温でも空気中に蒸発する性質があるからである●コ ....
朝に、
流動する微細に
粘りつく
巨大な
極彩色の
おもちゃ箱
ひっくり返す
アパートの部屋、外に出れば
無意味の大河流れ
時間を引き裂き響かせ
そらはあいかわ ....
噛み砕かれた
朝の死がいが転がっている
果実の並ぶ
健全な食卓からは
冬を裂く音が聞こえてくる
雪解け
のような発声で
猫が毛玉を吐いている
猫から吐き出された毛玉は
新たな猫になり ....
更新される混沌の時に
今、新たに生きて
ジャイアントコーン、
噛み砕き
味わい
歪む脳髄に耐えながら
溢れる言葉、
掬い拾い集め
無 波打つ響き
耳 澄ます この ....
軽くて暖かそうなコートを一枚着て歩くひとを羨ましく見ながら、厚ぼったい、そのくせ風の通るような洋服をなんまいも重ねてぎゅっと縮んで歩いてます。
二十日間も雨が降らないで、ぱりぱりと乾くような空気 ....
戦士エイソスは戸惑っていた。クシュリーが
これほどまでにエインスベルを憎んでいるとは、思わなかったのである。
彼は、初めてその妻に対して疑念を抱いた。
あるいは、彼女こそクールラントの運命を握っ ....
五線がある
君はそこに音符を置く
それは仄昏いどこかからやってきて
君の感覚を通過するとき
音符のかたちをとったもの
君は識っている
その音符が
鍵盤と指とを通 ....
●捜さないでください●現実は失敗だらけで●芸術も失敗だらけ●ちゃんと生きていく自身がありません●ハー●コリャコリャ●突然●自由なんだよって言われたってねえ●恋人没収!●だども●おらには●現実がいっ ....
広いあき地がある
酒を飲みすぎた
あき地の中にふらふら入ってみる
そこは入っちゃダメだよ
声がする
あ、すみません
あき地から出る
家の方向は分かる?
バカにするな 分かってるよ
と ....
蟻の宇宙
時が入ったり出たり
木、倒され
葉、しげる
夜の夢
どれも欲しがる児
滲みぬものはない
あがないもない
ただすれ違う
近づかなければ見えない
そして近すぎる
....
叫びながら舞う女
光の庭に
ひとり居て
ことば
渦巻き喘ぎながら
喉を震わせ吐き出される声に
意味はたじろぎ光に呑まれ
舞い狂う女の
光の庭
時 失う
感覚の光
思い出の ....
なんだか灰色の空だな
シャブ中で捕まっている夫と
くらしていた家は
おじからかりていたもので
おじは今
母の働いている透析の
病院の
院長先生をしていて
このお正月に
すべてか
....
片結びの恋でした
蝶じゃないから
空は飛べません
ただひとり
取り残された
教室で頰杖
テストの点なら
負けないのに
好きという
気持ちだけが
うまく伝え ....
赤ん坊の頃
言葉が分からなくて泣いたら
うるさいと言われ
物心ついた頃
くやしくて泣いたら男なら泣くなと言われ
大人になった頃
何かを失って泣いたら大人の癖に泣いてるなんてと言われ
死ぬ ....
引越しした
駅から2.4km
少しの不便さと
引き換えの
静かな毎日
一人部屋を持てた
妻の機嫌もいいようだし
正月
きりりとした
冷気が肌をつねる
私の心の逍遥は
駅へ ....
後悔なんかしてないよ
こんな事になったこと
数奇な運命は
私をここまで連れてきた
不思議なもんだ
あんなに嫌っていたのに
今は懐かしい
やっと海についた
こうやって見ると海は広いな
海へと続く階段を降りる
砂浜に脚がつく
さくさくという音がする
サンダルだから砂が足に入ってくる
海に太陽の光が反射して
つぶつぶの光が目に ....
泣くとき、実はそれを期待している私を常に意識している。涙を出すのは気持ちいい。涙が透明な理由が分からない。そんなにキレイじゃないだろう。
夜が私の中に侵入しようとして、妨げるのにズイブン必死 ....
すなおに
すなおに
いきていこうと
おもった
ぐるぐるまわるちきゅうみたいに
ただここにぼくはいきているよ
これだけはいっておく
まだきみがすきだ
あほだって
わらってくれよ
....
見上げれば
月がある
無数の星たちがある
足元を見れば
たくさんの蟻たちが
せっせと働いている
僕はこの地球に
なんのために生まれて来たんだろう
何を残すのだろう
今だに答えを出せな ....
月が壊れる日
地には数えられる狂気が降り注ぎ
人々はただ逃げ惑う
自らの正気を最後まで信じて
世界と自らのなかにある狂気から
目をそらそうとする
月が壊れる日
女の血は平穏となり
....
●桃●って呼んだら●仔犬のように走ってきて●手を開いて受けとめたら●皮がジュルンッて剥けて●カパッて口をあけたら●桃の実が口いっぱいに入ってきて●めっちゃ●おいしかったわ●テーブルのうえの桃が ....
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