ホウキが大きすぎて
庭がはけなかった
バスは停留できないのに
風呂場だけは設置されて居た
庭だった
次第にコゼットはイラついて
ホウキを投げだす
母のファンテーヌは化粧ばかりして
自分 ....
憧れと郷愁の感情は
対象を全く欠いたままに
どうしようもなく湧きあがり
魂の奥処に垣間開く
渦巻く宇宙の輝きの余韻
響き木霊し流れ出す
そうしてまた、
森羅万象と繋がり合う
止 ....
だれかの手袋が車に轢かれる季節がくるね
あと二十四歩でたどり着く家の明かりは暗いまま
金木犀散らす弱い雨に一つの傘をさす
住宅街の自販機にはまだ温かい飲み物がなくて
裏側に隠れた太陽を待ち ....
夕闇に溶けてゆくまでほおずきは小さな庭を灯すままごと
窓際にほおずき掲げ猫を待つおまえはどこに行ったのだろう
ぴりぴりと外を破れば顔を出すほおずきの内はト或る秘め事
昨日より幸せにな ....
公園で
夜のベンチで
おとこがきもちを冷ましている
仕事や人間やじぶんも含めたまわりや未来
おとこがきもちを冷ましている
夜のベンチで
公園で
何度みつめ ....
静かな静かな夜陰の時に
涼風秘やかに空気を揺らし
懐かし憧れの未知からの訪れ
還流しながら予感に巡る
余りに忙しい社会の営み
余りに貪欲な資本の増殖
逃れ逸脱、寡黙に落ちれば
戻って ....
知らない季節に
知らない人とすれ違う
のっぺらぼうの街を
毎日、行ったり来たり
そのうちに
私には顔が無くなって
泣くこともできない
ぽつぽつと
仕事に行ったり来たり
そのうちに
....
ビー玉とは不思議なものである。人工的なもののはずなのに、オーロラのような、雪のような、星のような、魂のような、そんな雰囲気を漂わせている。
ビー玉は、ロマンチックで、霊的で、生きていくうえで ....
不思議の森を歩く
ぼくの世界は既視感でみたされ
ぼくの記憶は整理されてたたずむ
ぼくの未来は予感され
ぼくの狂気はひた隠しにされて
ぼくの愛は調整され
ぼくの調理器は壊れている ....
全ての想念をさっさと放棄して
全てのやり残しをさっさと諦めて
ぼんやり朦朧と夜陰に沈んだ
とき
夢も無く記憶の奥の眠り底
宇宙の調和に入っていける
のはなぜだろう?
(目覚めるなり
....
時々自分が
この次元に
生きてることに驚く
想像もしなかった未来に
自分が存在してる
あの頃見つけた
暗号は解けたか?
答えよりもっと前に
問いを忘れた
人の思考 ....
無限のフィールドに
ゴーストを飛ばして
戦ってる若者たち
コンビニで立ち読みしながら
あるいは駅で電車を待ちながら
無表情な彼らは
特徴のないただの通行人
肉体とは
完 ....
共感されがたい物の
領域に入っていく
狭い空間に
足を滑らせていく
だけど
なんという居心地の良さ
リアルを忘れる遊具は危険
まるで
断崖から
スローモーションで ....
夜のまぶたは
だんだんに重くなる
(誰かの優しい手で撫でられているから)
歯磨きのミントの香りもなくして
完全にこの世界が閉じられて
安らかな眠りを得るまで
安らかな死というものを
ふと ....
光溢れる喧騒の昼を
病だらけのわたくしが
いつまで堪え乗り切れるのか
それはまるで分からない
只 今は待ち望むのみ
宇宙に魂が調和する
あの現の余韻の懐かしい時を
夜の暗闇と静けさに ....
深夜に目覚めて
静けさに包まれ
すっと覚醒に馴染んでいく
じぶんが居る
疲れ果てて
早々と眠りに落ちたのに
今は力漲る己に
不思議な感慨を覚えながら
夢のない眠りの底で
宇宙の ....
まだまだ
暑さが足元から
いなくなってくれない
晩夏の午後
彼女を乗せて
近所の海岸へ
浜辺に降りて
無邪気に波飛沫と
戯れる彼女を尻目に
広がる水平線を
瞳の奥に詰め込んでみる
....
眠りの魔法で目が覚めない
そうね 私は眠り姫
白いドレスに赤い薔薇
王子様のキスでも目が覚めない
だって 目覚めたくないんだもの
眠りの中に現実逃避しているの
辛いばかりの世の中に引き戻し ....
少しばかり荒野だ
もうひとの消えた暴動のあと
キャンプのテントで鼻唄など歌う
凄惨は朝から静謐にくりかえされる
みんな見捨てて
間違っちゃいない
粛々と俺も含めてう ....
肉身の疼く
今宵の静けさに
心は乱れ不安に駆られ
詩と死と戯れる余裕すらなく
焼酎を二杯、三杯と
焼け付く視野に
蜘蛛の巣張り
払いのけても払いのけても
辺り一面の糸は ....
カマキリが居たから
飛び込んだわけでは無かった
プールには鉄棒が沈められ
プーチン大統領も沈められていた
ひどい中国語だ
ゴミにも値(あたい)しない
正直に太って行く私を
誰も止められな ....
生まれたばかりの朝に
人々の小さな営みの息づかい
まあたらしい魂の叫び
生まれたんだな
なにかが
よろこびも かなしみも
よちよち歩き
疲れきった夜までは
まだ時間があるようだ ....
なにかを期待するわけでもなく
木は透明な思いで空を見上げていた
野鳥の尖った飛翔が
空間を切り裂くのを楽しんだり
みずからが浄化した
清廉な空気を謳歌している
人がまだいない頃
木は ....
独りに寛ぐこの真夜中
静けさに浸り込み
意識 泳ぎ出す
外界と内界の堺が崩れ
記憶の億の奥へ 遡行し始める
一方で
編み戸からの涼風 すぅすぅと肌を撫で
森羅万象 その形象を流動させ ....
茫々と 野を下りて 犬に非ず
全てのアダムとイヴの為に世界は存在する
大概の統治者は傀儡で病気だが
気楽に生きることもできる
花の好きなきみは
禁断の林檎の花を摘み取ったかもしれないけれど
それは時効 ....
「せんそうはんたい」とさけぶときの
あなたの顔を
チョット
鏡で
見てみましょうか。
なんだかすこし
えげつなく
嬉しそうに
楽しそうです。
わたしには見分けがつきません
....
ピカソの絵みたいな顔の人が映るから
「嘘つき!」って
テレビに向かって
怒っていると
猫が足元にすり寄ってきた
にゃー
「にゃー」じゃないよ!って
猫にも八つ当たり
ったくどいつもこい ....
舟よ出帆せよ
独り魂の旅へ
強く強く己を保ち
震え震え嗚咽し
舟を出帆させよ
広大無辺の大洋へ
久々に暖房の入った喫茶店
お喋りの花が咲く
私は無言で聴いている
ざわつく人々の楽 ....
肌寒い夜
ケータイであなたの声を聴く
長い沈黙のあと
「疲れた」
と、言った
何かが欠けている
と
思ったら
月か
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