薄くひらかれた口許から 吐息を漏らしながら声帯を震わす
まだ 生まれたての皮膚についたりんぷんを振りまくように
僕の唇はかすかに動き なめらかに笑った

足裏をなぞる砂粒と土の湿度が おどけた ....
針先で突き刺した
指先から
私というひとつの海を
絞り出すように
私は激しくもとめている
あなたのその、
果てない闇の底に
うつりこんだ私を

あなたは一匹の魚だ

つかまえよう ....
ものごとすべて悲劇として捉える
あるいは 喜劇として
どちらも悪癖のようなもの

だけど他人の痛くもない下っ腹を刺して
オタマジャクシをいっせいに泳がせたり
頭の中へ一石投じ忘れたものを波 ....
十二月



燐寸の炎が



寒い風に


殺されてしまわないように




四本指で匿し ....
いつしか私は詐欺師に仕立て上げられてしまった。
弁解が面倒だからこのまま詐欺師として身を散らそうかと思う。
高三の卒業式は
私達が一致団結して
失敗した日になった


去年の4月
偏屈で知られた先生が
担任になった

卒業旅行の班決めを
先生が勝手にして
行かないと怒る生徒も出て
他 ....
此岸から彼岸へと
車の葬列が往き過ぎていく
勝鬨橋の寂しいど真ん中
ぬばたまの闇色鏡を
滑っていくあれは屋形船か
はたまた精霊船だろうか
城塞の如く聳えるビルの窓には
煌々と点された幸せ ....
月白色の街に降りてみた。

寒色の気持ち。

暖色の気持ち。


両方を持ってきた。


灰色が無い、私。
あってもいいのに、
曖昧。が身を助ける、ことだって有る。

 ....
寒い夜も 夜にも
そばにいてくれる
ただずっと黙って
次の涙と光を待っている

必要な情報も
必要じゃない情報も
すべてこの目と耳と手が
躰が
掴んで吸い込んでしまう
その中で ....
かなしみの源泉のかなしさよ
譬えようもないかなしさよ
空すら風景すら映り込む余地のなく
許可を与えず――拒みこばみ
はるかな透明こそが護るべきもの
約束だから約束だったから
遠い日の少女と ....
喧騒に駄菓子屋相場のおやつなし


生きている実感に負け帰宅なう


リア充の着ぐるみ脱いで季語も脱ぐ


よそ者は死ぬまでいても見舞われず


喧騒は代々住む人たちのもの
 ....
わたしはつらい
って君は背中で言うんだね

わたしうれしい
って君は瞳で言うから


あなたにはなにも
隠し事できない

あなたにはもう
嘘はつけない


いまはわたし
 ....
 穏やかな秋晴れの日に、絶望の角度を測っていた。
「その角度は、希望だ。死に至る病だ。間違いない」
昂然と、苦渋に満ちた青白い顔を上げて叫ぶ男が近づいてきた。

── おかしな事を言う。  ....
バカが
自分のバカさ加減を
棚にあげてこね繰り回した
屁理屈を見ていると
バカは死ななきゃ治らない
なんてことじゃ済まされなくて
「どの方法で死ぬか、おまえが選べ」
と直接バカを完全治癒 ....
言葉の停滞
言語の解体

  言霊たちの
  本意を求めて

日を見ぬ閉塞
ひそかな生息

  居場所もないまま
  ようやく生かされ

道なき隠遁
未知なる混沌
 ....
左手首に微かに残る
傷跡の意味をあなた
は知らない。あの夏
のよく晴れた朝に私
が台所用洗剤と乾燥
剤を飲み込もうとし
て苦しんだことをあ
なたは知らない。ふ
うちゃん、ふうちゃ
ん ....
涙は結露に似ている。
結露は涙に似ている。
私の吸う空気を七色に変える。
耳を澄ませば聞こえる音も
七色に変わる。
私が歩んでいけなかった道
私が歩もうしなかった道
もう誰しもが追いかけ ....
公園の写真を川に流し
波乱を飲み頭に尽くして
夕日の中から影を取り出す
山の踊り 蝶の渇き
鳴らす座り方を立たせる

焼きたての咳を我慢し
通り道を夜にするさるすべり
支えるものが支え ....
姉がトイレに降りて来たので
私は台所を離れて
パソコンの前に戻り
ピクチャーライブラリーの続きで
日付をスライドさして居たら
歯の生えた扉が
ものすごいスピードで
やって来て
十三歳の ....
公園の小山
こどもたちがスキーの練習をする
抉り裂かれても純白の
やわらかくつめたい乳房は
午後には固いデコボコに変わり果て
――されど まだ十二月
なんどだって楽しめるさ
雪のお化粧  ....
                  
ふたつの卵のような目をした彼女と向かい合っている。
卵は茶色く黒い。ゴキブリの羽根だ。ゴキブリの羽根が
ドリアを食べる、私の口元をじっと見つめている。羽根
 ....
 佇んでいる。
 びたりとも動かない水だ。
 この夏、そんな水を見た。
 早朝、いつものように堤防道路をのったりと散歩している時だった。ぼくは、不意に気づいたのだ。音がしない! いつもの音がしな ....
 黒い指先でノートに描く空想は踊る。
 悲しみのインク、苦しさのインクはすぐに消えた。
 快楽のインク、喜びのインクだけがノートに刻まれる。
 夜は静かに更けてゆく。

 ノートに綴った ....
 異教の里で出会ったのは魂の遍歴だった。
 彼や彼女が生まれ、死に、そして生まれた。
 前世の記憶が正しければ、私はハーブ売りで彼女はほんの少女だった。
 そして二人でいびつな小窓から覗いた ....
やがて夜は更けゆき
恐れと不整脈は
徐々に…消去するだろう

私はゆっくり「扉」を、開く
(微かな光は隙間から洩れ)

まぶしい彼方から
誰かの影が
一通の手紙を携え
こちらへ歩い ....
帰る家は夫の独身部屋のままゆえに迷い猫のような日日


蝉たちの歌を覚えぬ朝が来て夫の書棚にサキを見つける


厨房はわが城というわが夫にわかってほしいのサルモネラ菌


夫はいまチ ....
夜想う朝想う昼想う夫わたし死ぬほどヨウ君が好き


クリスマス大人の国のサンタさま夫より短い生をください


夫ついに水虫であると告白しわが足の指に宿命を説く


歌を詠むペン音だけ ....
アールグレイを飲みたい季節になった
必ずミルクを先に注げと
脳内の英国人が作法にうるさい

記憶の断片で
お茶を入れると出てくる記憶

わかってるわよと独りごとを言い
たっぷり砂糖を入 ....
グレン・ミラーを聴くと
時々泣きそうになる

陽気な音楽なのに
父を思い出して

どうしてこんなに
切なく聴こえるのか

レコードに針を落とす父の
背中が見えるようだ

振り返 ....
きれいなうそをつくひとでした
ぼくも苦手だと云い乍ら
わたしが飲めないシェリー酒を
こっそりひとりで飲むひとでした

きれいなうそをつくひとでした
ぼくの夢だと云い乍ら
わたしがせがんだ ....
空丸さんのおすすめリスト(4907)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
僕の少年- 山人自由詩8*17-12-16
指先の魚- あおい満 ...自由詩13*17-12-15
ある悪癖のソネット- ただのみ ...自由詩3*17-12-13
十二月- TAT自由詩117-12-12
詐欺師- マリア・ ...自由詩117-12-12
失敗は成功のもと- しょだま ...自由詩217-12-12
勝鬨橋- のらさん ...自由詩217-12-12
コンノヤロー。の透明人間- 水戸 う ...自由詩7*17-12-12
t4u- 唐草フウ自由詩2*17-12-11
約束- もっぷ自由詩117-12-11
喧騒に何をか夢見んよそ者は- もっぷ川柳417-12-10
- もっぷ自由詩117-12-10
絶望の角度- 草野大悟 ...自由詩317-12-10
バカの屁理屈- 花形新次自由詩117-12-10
さまよい- シホ.N自由詩417-12-10
とりかご- あおい満 ...自由詩417-12-10
吐露- マリア・ ...自由詩217-12-9
月の砂- moote自由詩1017-12-9
無意識界- 間村長自由詩417-12-9
白い乳房のソネット- ただのみ ...自由詩6*17-12-9
羽根の目- あおい満 ...自由詩317-12-9
わがままな水- 草野大悟 ...自由詩1117-12-9
黒い指先~夜に。- ヒヤシン ...自由詩4*17-12-9
遍歴綴り~午後に。- ヒヤシン ...自由詩5*17-12-9
自らを脱ぐ- 服部 剛自由詩917-12-8
「夫の居る風景である厨房の片隅にだけ描かれる吾」_七首- もっぷ短歌1117-12-6
「初冬の薫風」_七首- もっぷ短歌417-12-6
綻ぶ時間- ガト自由詩2*17-12-6
In_the_mood- ガト自由詩3*17-12-6
そのひとは- もっぷ自由詩717-12-5

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