佇んでいる。
 びたりとも動かない水だ。
 この夏、そんな水を見た。
 早朝、いつものように堤防道路をのったりと散歩している時だった。ぼくは、不意に気づいたのだ。音がしない! いつもの音がしな ....
 黒い指先でノートに描く空想は踊る。
 悲しみのインク、苦しさのインクはすぐに消えた。
 快楽のインク、喜びのインクだけがノートに刻まれる。
 夜は静かに更けてゆく。

 ノートに綴った ....
 異教の里で出会ったのは魂の遍歴だった。
 彼や彼女が生まれ、死に、そして生まれた。
 前世の記憶が正しければ、私はハーブ売りで彼女はほんの少女だった。
 そして二人でいびつな小窓から覗いた ....
やがて夜は更けゆき
恐れと不整脈は
徐々に…消去するだろう

私はゆっくり「扉」を、開く
(微かな光は隙間から洩れ)

まぶしい彼方から
誰かの影が
一通の手紙を携え
こちらへ歩い ....
帰る家は夫の独身部屋のままゆえに迷い猫のような日日


蝉たちの歌を覚えぬ朝が来て夫の書棚にサキを見つける


厨房はわが城というわが夫にわかってほしいのサルモネラ菌


夫はいまチ ....
夜想う朝想う昼想う夫わたし死ぬほどヨウ君が好き


クリスマス大人の国のサンタさま夫より短い生をください


夫ついに水虫であると告白しわが足の指に宿命を説く


歌を詠むペン音だけ ....
アールグレイを飲みたい季節になった
必ずミルクを先に注げと
脳内の英国人が作法にうるさい

記憶の断片で
お茶を入れると出てくる記憶

わかってるわよと独りごとを言い
たっぷり砂糖を入 ....
グレン・ミラーを聴くと
時々泣きそうになる

陽気な音楽なのに
父を思い出して

どうしてこんなに
切なく聴こえるのか

レコードに針を落とす父の
背中が見えるようだ

振り返 ....
きれいなうそをつくひとでした
ぼくも苦手だと云い乍ら
わたしが飲めないシェリー酒を
こっそりひとりで飲むひとでした

きれいなうそをつくひとでした
ぼくの夢だと云い乍ら
わたしがせがんだ ....
都会に行けば田舎に帰りたいと泣き
田舎に帰れば都会が忘れられないという
両親と恋人を秤にかけるくらいの、
推し量れない淋しさと重さを見ていたら
安住の地は無くなった

量り売りが ....
  
いま どらびだの駅だ
むかし おなじ名まえのくにを紀行したが
もうずいぶん前だったので
ぼうぼうとした
かぜの中あたりで 周囲を見まわす
駅舎があるとは知らなかった
いや
とうの ....
夕凪の浜で拾ったビードロの小瓶で眠る誰かのいつか


流木と貝殻たちの沈黙の傍らの海を見るガガーリン


お昼寝を漁師にとわにうばわれたお魚たちのしょっぱいなみだ


地平線越えゆく ....
肉体の、
肉体の檻が邪魔だ
空間をよぎって その声は
いつも私を焦らせる

部屋を暗くして闇にうずくまる
部屋の心音と私の動悸が重なって
あらゆる、存在に理由を付けたがる私の思考が
膨 ....
あなたがトマトといえばピザやパスタが出てくるのに
わたしがトマトといえば三割引の見切り品を
手渡されるのはなぜだろう

あなたがケーキと呼ぶだけでバースデーケーキが出てきて
わたしが ....
冬のはじまりを
ことばにしたくなった
ときすでに、

むかし話のように
ふり続くゆきのような、
文字のられつ

呼ばれなくなった
なまえを口ずさむように
くり返し、くり ....
カローラ
ライダー
看護婦の井田さん
ここでモーニング娘の
二文字しりとりモードを
避けるため
私はポスティングを始めた
ポスティングが右の奥歯に
絡まって来る
戸の援護射撃に
絡 ....
小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
移り変わる季節
どの季節も美しい

隣にはあなたがいる
何も足りないものはない
幸せでいっぱい

散歩道
あなたと歩く道
人生の道

想像出来るから楽しい
あなたとなら現実に出 ....
 午前のアトリエに光は射し、人はいない。
 淡いキャンバスに薄くデッサンが描かれている。
 海だ。
 透明で純粋な世界がそこにあった。

 時間と空間の概念をその筆に携えて、
 その海 ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように


まともなあんたは
ひびわれた ....
愛の包み紙を剥がして食べた
味なんかしない けれど
美味いとか甘いとかなんとか言っちゃって

以来 愛は無色透明 気配を殺し
居るような 居ないような

――気になるのは 破れた包み紙
 ....
飴を、舐める。
眠る。
私は眠る。
光に満ち溢れた戦争が起こる。
身体の不調。
調性。
波に濡れた身体。
私は私から零れていく。

ニューロン
夢を集めて
逆さまにする

遠 ....
悲鳴の螺旋が落ちていく
蒼穹を自由に飛ぶ舟は
藻屑と等しくなり
白の破片を散らかばして無人の島を飾る

目が合った他人の女の子と手を取り合って急降下した
握りしめた手は暖かくあり腕は海に浸 ....
不安だ
乱れてゆくこころ
もてあます
壊れていく
病におかされ
ミシミシ音をたて
崩れてゆく身体

この世への未練だろうか
いや、未知への恐怖

空を見上げると
月が浮かんでい ....
泥酔したいな。

一瞬たりとも正気でいたくない

虚ろでいたい

ぽやぽやしてさ。

何も考えたくないの。

なぁんて
やらないけどね

思うだけだよ
本気でだけど
感情が入り混じって危険になったら
ただ早足でバッティングセンターに行く
やる気のない店員のタバコふかしながらされた挨拶も
今は見えていない


コインを入れて
120Kmで30球 ....
ことばが寒さから抜け出し
たいようを追いかける夜に
睡眠剤をウイスキーで呑む

景色はしろく記憶だけ鮮明で
墨汁で色濃く書いた文字さえ
どこか儚い冬のきろくになる

突然の ....
シルバーカーと一緒にね
まだ51歳なのに色気ないけど
それがすっぴんのわたし

シルバーカーと一緒にね
会いに行くよ
冥土の土産に

もう、余生だよね
ナイフとフォーク使えなくて ....
干涸らびた杓子 抽き出しから掻き出し 井水満たし庭師
ギスギス 煤けた薄 雪ぎ
敷居越し 椅子軋まし小休止
傷付きすぎたキリギリス 梳く櫛にキス頻り
優しく言って聞かし 樹脂へ服役さし
不織 ....
いや、むしろ語れないほうがいい。
あの空をみる
黒水晶の
あの空をみろ。
空丸さんのおすすめリスト(4850)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
わがままな水- 草野大悟 ...自由詩1117-12-9
黒い指先~夜に。- ヒヤシン ...自由詩4*17-12-9
遍歴綴り~午後に。- ヒヤシン ...自由詩5*17-12-9
自らを脱ぐ- 服部 剛自由詩917-12-8
「夫の居る風景である厨房の片隅にだけ描かれる吾」_七首- もっぷ短歌1117-12-6
「初冬の薫風」_七首- もっぷ短歌417-12-6
綻ぶ時間- ガト自由詩2*17-12-6
In_the_mood- ガト自由詩3*17-12-6
そのひとは- もっぷ自由詩717-12-5
おいてけぼり- 為平 澪自由詩5*17-12-3
_どらびだの駅- 「ま」の ...自由詩6*17-12-3
「誰かのいつか」_五首- もっぷ短歌617-12-3
家出娘- 為平 澪自由詩817-12-2
師走に鬼- 為平 澪自由詩217-12-2
はじまりをことばにしたくなった- かんな自由詩5*17-12-2
でもしりとりは止めてほしくない- 間村長自由詩417-12-2
迷路- ただのみ ...自由詩13*17-12-2
隣にはあなた- 夏川ゆう自由詩517-12-2
午前のアトリエ- ヒヤシン ...自由詩6*17-12-2
あらゆることが語り尽くされたあとに- ホロウ・ ...自由詩15*17-12-1
ある愛のソネット- ただのみ ...自由詩7*17-11-29
銀河- 由比良 ...自由詩717-11-29
御神体は人魚の手- 這 いず ...自由詩217-11-28
こころの陰- 星丘涙自由詩3*17-11-28
なぁんてね。- 愛燦自由詩617-11-27
また少し背が伸びた気がして- カマキリ自由詩617-11-27
薬を酒で飲む- かんな自由詩12*17-11-27
シルバーカーと一緒にね- 鵜飼千代 ...自由詩10*17-11-27
縮小宇宙- なけま、 ...自由詩117-11-27
馬鹿でも詩話かける- ツノル自由詩317-11-27

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