緩やかに
空気が流れる
弥生の宵、
懐かしい匂い
鼻腔を巡り
大気圏から降って来る
息吹く命の源を
ゆっくり静かに呼吸する
ああ、魂はうっとりと
息吹く命の香に包まれ
何 ....
たらっと
鼻水がながれた
コロナか
花粉か
風が吹き
雨が降った
疑うこともなく
春になった
どうせ毎年
ろくでもないことが起きる
それでなければ
わたし ....
冬の檻のなか
白一色に閉じこめられて
どんどん貯まった
色彩たちのエネルギー
春の息吹が
その導火線に火をつける
フキノトウで始まった
ささやかな爆発は
淡い
新 ....
我々に出来ることは待つこと以外にあるだろうか。
我々に出来ることは歩くこと以外にあるだろうか。
我々に出来ることは生きること以外にあるだろうか。
※
読む事の中に立ち込める不安の霧に透 ....
私は風
じゃなくて
空から落ちてくる
水滴の類い
じゃなくて
真っ青な空で
吠える太陽
である筈がない
かと言って
私は幕末の若いサムライ
或いは
サムライが恋慕する商家の美 ....
あるいはがらんどうの街に棲む
たまさかさびれた繁華街で遊ぶ
恋の歌は春の猫のように
かなしいやさしい歌だろう
愛は重すぎていつも栄養学的に
分析できないものなのでしょうね
失わ ....
極寒の世界から
春の視界を切り開く
早起きになった
暖かな陽光が
まだ固く閉じている
桜のつぼみたちに
語りかける
さあみんな
もう春だよ
今年は大雪で
ウ ....
一年中買えて
値段も安く
飽きの来ない美味しさ
やわらかくて
歯の負担が少なく
栄養豊富な
すぐれもの
一本づつにわけてから
一本ごとにアイラップを使って
包み込 ....
家を出て 当てもなしに歩いた
道を渡り 林を抜けただ独りで
ふるさとを 遠く離れて来てしまった
戻ろうにも 路半ばを過ぎてしまった
柔らかな陽光は悴んだ掌を宥めた
のどかな南風は凍っ ....
辛丑(かのとうし) 牛も辛いが 自粛する
泣きぼくろ 愛した君の 三番目
真っ白な スケジュール帳 もう二月
ペンギンは 鳴かず飛ばずの にんきもの
帰れない パンダの気持ち ....
情報の過剰摂取により
消化不良となった価値観
両立しない信念は
一方を徹底的に否定して
安定を保つ
戦う相手は
まだ眠っているとも知らずに
過渡期を過渡期と知らない世界
あ ....
いつになく風の姿を追うことがある。
そんなこと気にしなくても、
若い子のスカートでも観察していればいいことなのに。
探査機がメクライモリでも乗せてりゃおもしろいと思います。
どうせ荷物 ....
人間の記憶というものは
とても不思議なものだ
記憶のふるさとを探しに
人間の体のなかへと旅にでる
(脳への旅)
おおかたの記憶は
脳にある記憶の倉庫の
無数の抽斗のなかに ....
そりゃあ
ガトーショコラのほうが
おいしいでしょう
もちろん
ザッハトルテのほうが
豪華でしょう
でも
毎日食べるとなると
チョコパイさ
値段も
パーティーパックを買え ....
「リビドー」
サイコパスと、スーサイドの夜明け。
絶望の淵っていうのがどんなものなのか
気になってスニーカーを履いた午後
届いた屋上には君の抜け殻と
どこかの家から漂うカ ....
少し雲を横にずらしたところ
まだ日に焼けてない空が現れた
日傘の出番を待っていた
帰ろうとしている場所が家ではない気がして
私は駅を探す
私を乗せてくれるホームは何番線だろう?
海面が ....
僕 は
僕 僕 僕 は
季節外れの海浜で
生成色の薄ら湿った砂を
ざんざん と蹴りながら
ただ独り言ちた
午前10時の 日立の海
青白く続く空の果ては
限りなく力ない空虚
こ ....
茜の斜光の残像が
余韻響かせ揺れ動き
赤胴色に燃える富士山が
傾く夕陽に落ちいくとき
私は覚えずひざまづき
褪せて青澄む天仰ぐ
あゝ秘匿された未知なるものよ
おまえは今日もヴェールに ....
ガソリンスタンドの先の路地を入ると
そこは一方通行路
いつもクルマで走る
路地の両側には所狭しと民家が軒先並べてるけど
途中右側に小さな産院の駐車場と建物がある
そこは助手席に座っている嫁さ ....
人が笑っている
人も笑っている
空は何もしない
近所の人が歩いている
犬を連れている
性別は男とオス
海は遠い
(午前6:53 · 2021年2月3日·)
椅子が眠っている ....
中途覚醒の早朝
後悔の隙などない
叶わない夢
抗わない今
午前六時
カーテンを貫通した朝日
届かない理想が
気まぐれに私を応援している
一筋の光に導かれた
二度目の眠 ....
この世の中のどぶには何度も突き落とされた
それもこれも
俺が弱い奴だからだ
どぶから這い上がる度に
泥をぬぐう度に
仰いだ空は薄情だったし
ながした泪は
塩からかった
他人はお ....
プラットホームの屋根の隙間
名も知らない雛鳥が鳴いている
長い道程が必要だったのだ
空に取り囲まれて逃げ出せない自由が
やっと探し当てた引き込み線
ちょうどいい大きさの枕木を並べる
冒険し ....
ぼくは華麗な洋服を怠そうに着て
傷口からにじみ出る滲出液の水路を跨いでゆく。
ふたたびすべてが鋳直された火曜日や
二十億年前の晴れた木曜日や
遠い外国の豊かな安息日__などを思い出しながら。
....
開けた窓から雨の匂いが流れ込み
濡れていく遠い森のざわめき始めて
貴女の声は透明な水底に沈んでいく
ああ、
こんなに澄んで囁き交わす時ばかりなら
詩を書くことすら要らないだろうに
僕は ....
「花こうてきたわ」
うちの者が、買い物から帰りいう。
カレンダーに目をやって、
月命日の日かどうか確認してみる、
けれどもそうではない…
「非常事態まだでてるやろ」
「しゃあか ....
4月みたいに穏やかなガードレール
すずめたち飛んで時間をつかまえる
暗闇を夜と名付けて光らせた
そこはかとなく底しれない底力
底のない数字と夢へ ....
鳩をひいた
寒風ふきすさぶ
灰色の空のしたで
平和の祭典など
鳩の世界にはない
だったらどこにあるのか
あるのはおれの世界でだ
鳩も死に
人も死に
俺が死ねば
永続に無化する世 ....
朝、突然ぷつっと途切れるように
パソの操作がわからない
想像してみてください
僕が逝ってしまったらと
君はいねいね言うけれど
今朝、僕がいなきゃ困るでしょう
おお、そんな脅しな ....
ディズニーランドのなかにディズニーランドがあるようなもの
あるいは
ディズニーランドの外にもディズニーランドがあるようなもの
おはよう、正解のない世界
いつの間に白くなったのだい?
....
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