空のうえで点滅してる 赤 あお 白 のテントウムシは
とても小さな機械だから
あやつられて綺麗な夢を見るたびに
ポストに絵本を返していた お母さんのベッド
さびしい 思 ....
あなたは
私はあなたのもの
と 言った
華やかな動き
夏の花の笑顔
豊かな体
私は それなのに
恐れていた
こんなに鮮やかさは
私にはいつまでも
とどまらないと
華や ....
二〇二一年十一月一日 「現代詩年鑑のアンケートへの返答」
現代詩年鑑のアンケートへの返答
詩集5冊
高柳 誠 『フランチェスカのスカート』
荒木時彦 『(Aの一日)』
長田典 ....
風が吹いている
風は絶えず吹いている
新たな行為をしよう
この現実に刻み込む
新たな行為をしよう
この生は死と共に終わる
君は、
生きる気力がどうしても湧かないまま
暗闇にずっ ....
二〇二一年十月一日 「世界SF全集 第31巻 短篇集 古典篇」
『世界SF全集 第31巻 短篇集 古典篇』が到着した。非常に良い状態だった。満足。 https://pic.twitter ....
わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない
わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
....
うすぐもり
ベランダから
なにを見ているんだろう
虫
鳥
雲
それとも
窓
ひとだけに
不自由がはびこる
気づくと
いつ死んだかわからない
カタツムリの
はりつめたよ ....
遠く
激しい雨が降りしきる夜、
官能の感覚の快楽を味わい
性愛も死の願望も体験し尽くし
肉の充足の限界に至って
虚無が虚脱が私の魂を痛打する
遠く
痛みの雨が降りしきる夜、
....
「くよくよ悩んでいても仕方がないぞ、ヨラン」
一行の誰よりも早く、己を取り戻したのは、アイソニアの騎士だった。
さすがに、彼は状況を読み取る能力に優れていた。この時も、である。
「明日になれば、 ....
二〇二一年九月一日 「加藤思何理さん」
加藤思何理さんから、詩集『おだやかな洪水』を送っていただいた。おしゃれなつくりの詩集だ。さまざまな方向性をもった詩篇が並んでいる。物語性をもった詩篇 ....
二〇二一年八月一日 「断章」
かれがおれの体内に横たわっているうちに、そのアイデンティティは永久に消滅していった。かれを二度と解放するつもりのないことはわかっており、かれの真実の飛行は、今 ....
プリズムが揺れている
大きな鳥は歌わない
蔦の絡まるアーチの隙間から
覗いた街はまだ灰色で
影は薄くなると逃げる
ラズベリーみたいに生きられたらと思う
砂丘みたいなお皿の上で
食パン ....
犯して来た罪は積み重なるが、いつか崩れて
落っこちた三日月が恥ずかしそうに、俯いて
よみがえれない希、どれだけ生真面目に願っても
暮らしのなかで ....
えし。こころがえし。いやなにおい。やめて。ぼくをうばわないで。ぼくのなまえを、かえしてください。ぼくのめだまをかえしてください。こわい、こわい、こわい。きっときみはうそつきだ。ほんとうのことをどうして ....
「愛とは、はかないものです、騎士様。あなたは見たところ、
騎士のようですね。違いますか? 勇猛果敢な人物だと見受けますが……」
「ああ、その通りだ。わたしは騎士だ。この身の名は……
いや、通 ....
熱気籠るこの夜に
雨が降る、静かに
世界を透明に染め
私の魂を奥底に沈め
五感の縛りを解いて
広がる大洋は
この世界の最中に在り
私の内底から溢れ出る
精神の響きは踊る直観が捉 ....
二〇二一年七月一日 「バリントン・J・ベイリーの短篇集『ゴッド・ガン』」
@rr0101kt そうですよね。先日、届いた『折りたたみ北京』が完璧なものだったため、よけいに、返品がふさわしいと ....
柔らかな機械
拘束されない想像力
サイバネティクスの夢は
四肢をもがれたバッタのように
プレイリストのなかに埋め込まれるのだろう
残酷な朝は天体を廻し
透明な朝をスルーしてゆ ....
小さな手、
小さな手を差し出して
二人、手を繋ぎ行く川沿いの道
あれはとても乾いた夏の日、
おまえは水が飲みたいと言った
おれは川の水を両手のひらに掬い
おまえの口許に持っていった
....
「通俗水滸伝豪傑百八人之壱人」に
「短冥次郎阮小吾」という
絵があるんだ ....
幼少期
病弱で風邪をよくひいた
愛情と食べ物にいつも飢えていた
少年期
正直者で学力ふつう体力ふつうだった
青年期
寂しい一匹狼で
いつも虚勢を張っていた
気が小さいといわれる ....
二〇二一年六月一日 「エイン博士の最後の飛行」
ニーヴンは大好きなSF作家で、翻訳されたものは、すべて読んだけれど、いま、部屋の本棚に残っているのは、カヴァーが好みのものだけで、『ガラ ....
羊が鳴いている
嵐の吹き荒れる草原に
たった一匹だけで
メェメェ、と
あの羊は
はぐれた仲間の群れを
呼んでいるのか
ずっとメェメェと
鳴き続けているだけ
あの羊を
わたし ....
ひとを好きになって傷ついて
感傷を肌で美しく感じていた
そんな時間
映画音楽のようにドラマチックな
からだの外へ出た細胞たち
絶えて流れた
う化して剥げたわたしのベールは
ふ ....
女同士ですらついて行けまい
わかる~
わかる~
わか
わ
ごめん、ちょっとわかんない
こういう具合だ
そんなんでやれるものならやってごらん
もちろんやれてないのだ
割を食 ....
4次元のぼくは観念をもたない
3次元のぼくは4次元の夢を見る
5次元はわからないが
ある物理学者は11次元の記述を述べる
僕たちの日常はやがて終わるのだが
n次元の級数と数学者の和は ....
二〇二一年五月一日 「不老不死プロジェクト」
ようやく、ロバート・シルヴァーバーグの『不老不死プロジェクト』を読み終えた。さいごのどんでん返しは、予想もしていなかっただけに、新鮮な印象を持 ....
夏の空へと影送り
ぼくを見ていてね。
窮屈な世の中でもがきあがき生きる
孤独をさびしさと名付けたら
涙を流せる呪文になる
命を数える通学路
アリもミミズもカエルもタヌキも
ぼくと変わらず ....
ただいまの返事がないまま18年
お早うもおめでとうもスルーして
今日をやっと迎えるのだが
ぼくに何を語るものがあるだろうか
もう年金暮らしのひぐらしが
やっと返事をする
人間の営為 ....
ただいまの返事がないまま18年
お早うもおめでとうもスルーして
今日をやっと迎えるのだが
ぼくに何を語るものがあるだろうか
もう年金暮らしのひぐらしが
やっと返事をする
人間の営為 ....
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