幸福な夢 涛瀬チカ改め神坏弥生
オレンジ色の陽光と闇がまぎれあう大曲時
私たちは公園で、立って話していた
私たちの子供だったかもしれないし
私たちの子供の知り合いの子供だったかもしれ ....
腫れぼったい世界の空は
柑橘系の匂いと色で
眠り続けるアタシの中を
眩しい地下鉄が通過していく
ねぇねぇ、まだ起きないの?
ひからびた胎児が話しかける
だめよ、まだ、
まだ早すぎる! ....
彼らはあたまが悪かった
可哀想なくらい
朝礼が終わるときまって煙草をすった
ほめられると当然だと思い
叱られると気にくわなくて狙われていると
脳みそに発生する弱い電気で本 ....
渇いた唇を
潤す術を知らず
恥ずかしさに溢れ
喋ることもできず
噛み締めて
俯いて
しばらくそのまま
もう少し
このままでいたい
リリカルな私 涛瀬チカ改め神坏弥生
例えば、白と黒の鍵盤に向かって
白から黒へ黒から白へと半音ずつ上げてゆきながら
サティを弾いてみる
午後に明るい日差しがさしてカーテンが
膨らんで揺れ ....
希望よ どこへ往く
おまえが描いた絵空事
道端に落書きされた
こどものチョーク絵さながらの
夢と理想の地図を
おまえの弟 失望が
炎の姿で追いかける
めらめら尻を炙られて
煙も目に染み ....
あなたはあなたを傷つけた人間を許せますか?
反省もしてない後悔もしてない人間をあなたは
許せるというのですか?
あなたが許せるならそれはそれでいいでしょう
しかし誰もがそんな人間とは限 ....
氷の絶壁をのぼる
手を汚さなければ
手を洗うことはないのだ
汚れるから洗うのだ
氷の絶壁をのぼる
進んで手を汚そう
そして、だから手を洗うのだ
汚れるから洗う ....
世界は
向上心であふれている
より強く
より速く
より高く
より美しく
僕は
世界の片隅で
ほそぼそと生きる
世界は
向上心であふれている
より強く
より速く
より高 ....
スマホで何でもできるから
リアルにときめくことがない
赤い糸もこの時代
無線でつながるのかなぁ
思い通りにいかなくて
心がザワつくあの人と
旅先は何処にするか
直感で決めようと思う
雑誌もネットも見ず
ただ直感に任せて
それに従うだけ
何もかも決めていくより
心に残る旅になる
不安は一つも湧いてこない
直感を信 ....
ちいさなものならボルトいっぽん
デブリは秒速8キロで地球のまわりを回っている
なのに映画や漫画いがい
デブリによる宇宙空間での大事故はない
ふしぎなことだ
隠ぺいされてい ....
なにかあるような気がして
遠くへ遠くへ
人の話もきかず
自分自身も、見ずに
なにかあるような気がして
遠くへ遠くへ
遠回りなんかごめんである
まっぴらである
なにかがあるような気がして ....
ゆっくり育つ息子が
五歳にして
歩き始めたので
日曜日の公園へ連れてゆく
小さな影は、{ルビ日向=ひなた}にのびて
ひょこひょこ歩き
地べたに尻餅をついては
砂を、払ってやる
....
月面なんとかレースがお金がなくて中止になった
宇宙開発にはお金がかかる
想像するのはただだけれど
実際問題お金の話は避けて通れない
小型核開発で軍産複合体は大喜びしている
....
ここは敗戦の昼下がり
夜はここは船室
昔なら観たければ借りたり買ったり
いまは繋ぐだけでいい
人影は自由
温かいビルや気にならないほどの緑
時間が経つのってなんて遅 ....
1
歩いている橋の下を流れる川は澱んでいる
ぬかるんだ川の底では水の香りは土の茶色に掻き消され色彩を失う
透明な景色を一体どこで見ただろう
眼に見えた草の形は項垂れていて 写真には真っ直ぐに伸 ....
睡魔に全身を覆われているようだ
身体の芯が揺らぎ続け
目を閉じることも見開くこともできない
指先に力が入らず
涎が流れ続けているような
そんな気さえする
羞恥心などとうに捨てた ....
いつかゼロになるとしても、一歩ずつ進んでいこう。
いつかゼロになるとしても、1を足せば、すぐにゼロじゃなくなる。
それに、いつかゼロになるとしても、決して無になるわけじゃない。
ゼロという数が、 ....
風呂で溺れた
ダウン症児の周ちゃんが
救急車で運ばれ
一命を取り留めた
子供病院
入院後の回復は順調で
3日後に人工呼吸器は外れ
ゆっくりと目を覚ました
日が暮れて、パパは
....
遠くに数羽の鳩が舞う
あの泉を目指し
時の川をのぼりゆく
(空ノ青サガ 私ヲ 呼ンデイル)
夢の鞄をずしりと背負い
快い逆風を裂きながら
いつしか爪先は方位磁針になる
この足 ....
宇宙を食べ過ぎてお腹が脹れてしまった
赤ちゃん
大人たちのなかに入って
目玉に浸り
脳みそをくり抜いて
食べてしまえ
赤ちゃん
パンダのように
ころりと転がる
ユリウス暦 ....
屋台とは芸術である。
何故、芸術足りえるか。それは、桜が美しい。と言う事と同じで、
簡単に定義でどうこうと言える問題でもない。
桜が何故美しいか。と言えば、散るからとは限らない、咲き誇るから ....
コの行列
撃鉄におされて
くるしいや
僕はあと何番目?
友達は何列うしろ?
パチン
パチン
規則正しく一歩一歩
われわれは進んでいくのである
おい ....
傷まないミルクのあふれる
断面を
あなたは菫といい
蛇といい
わたしは腕としるした
このまま
星の時刻を待とうか
誰も知らない海岸だから
澄み切った空 静かに
月の横顔の
化粧を落とした白さだけ
深々と冷気は立ち込めて
木々と木々の間を渡る
鶫や連雀の羽音は
はたはたと 重ねられ
地にふれず かき消され
今朝わた ....
ゴミはゴミ箱に、だってさ。
よく言うよ。
自分だってそう変わらないくせに。
え、何の話でしたっけ。
そうそう。お金の話でしたよね。僕の。
予定通り折半にいたしましょう。
そうして手 ....
誰かに優しくできないのを時代のせいにしないでよ
誰かに優しくできないのを社会のせいにしないでよ
みんなが幸せになれる世界が一番いいに決まっている
正しいとか間違いとかそんなのは関係なくて
....
空気の膨張する季節には
おしくらまんじゅうの息苦しさよりも
少し 穴あきの 心たちの方が
自由発想を 発送できるのかも
呟いたままで ぎゅうと詰めた餡
本当は 粒揃いの方が お ....
雲が泳ぐ青空
太陽が今日の仕事をしている
降りしきる光は高級だから
散歩の理由はできる。
ざっざっざっ…
赤いスニーカーが2つ楽なリズムで交互に前へでる。
揺れる腰にかかったズ ....
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