漂いながら
青空を舞う
戯れながら
青空に呑まれる
わたしはあなたを知らない
あなたはわたしを知らない
ただ肉の痛みを殺していくだけ
打ち鳴らされる世界の音群に
飛び跳ねる世界 ....
山が私を待っているわけではない。山の作業が私を待っているのである。
朝からミンミンゼミは鳴いている。
心の洞窟に蝙蝠がぶら下がり、鬼蜘蛛がのそりと動く。
湿気のある岸壁に苔がむし、カマドウマのよ ....
通り過ぎていく
あれも これも
通り過ぎていく
別れすら、喪失すら、死すら
記憶の奥に凍結され
でも どうしても
過ぎていかないものがある
意識の核のようなもの
遠 ....
「われらには存在は与えらてない。われらは流れに過ぎない。
われらは喜んであらゆる形に流れ込む。
昼に、夜に、洞穴に、寺院に。
われらは貫き進む。存在への渇望がわれらを駆る。」(ヘッ ....
二〇二一年五月一日 「不老不死プロジェクト」
ようやく、ロバート・シルヴァーバーグの『不老不死プロジェクト』を読み終えた。さいごのどんでん返しは、予想もしていなかっただけに、新鮮な印象を持 ....
今がある
今に
合掌して
目を閉じる
そして
私もそうだが
百パーセントの
善人なんていない
むしろ私は
小鬼だったりする
歳月を
共にしてきた
この体 ....
私は夢を見ているのだろうか
そういう私も夢なのたろうか
世界は私も含めた表象*1という夢なのだろうか
それらの問いかけは思考によってなされる
わたしの内底から直観的に沸き上がる思考によって ....
あべしは改心しないまま死んだって言うんですよ
ステージが低いまま死んだって
おっと怪しげな宗教臭
そもあなたは改心の見込みがあるんですかと
ないな、うん、ない
四十過ぎて改心とか無理 ....
夏の空へと影送り
ぼくを見ていてね。
窮屈な世の中でもがきあがき生きる
孤独をさびしさと名付けたら
涙を流せる呪文になる
命を数える通学路
アリもミミズもカエルもタヌキも
ぼくと変わらず ....
ただいまの返事がないまま18年
お早うもおめでとうもスルーして
今日をやっと迎えるのだが
ぼくに何を語るものがあるだろうか
もう年金暮らしのひぐらしが
やっと返事をする
人間の営為 ....
おもいのほか
ながい旅になったね
と
きみが言うとき
夏はもっと熱くなる
もっと遠くへ行かれたね
と
言い合いながら
右往左往した
春や秋や冬を思い出すと
夏はますます長く ....
吸い込まれる
遠い汽笛
戯れる子供達の影
娘は出かけたきり帰ってこない
壊れたら
水底深く沈むしかない
たましいの強さを信じて
人生の終わりに
輝くものはあるか
内面深く沈潜して ....
二〇二一年四月一日 「時のいたみ」
ロマンティック時間SF傑作選『時の娘』の5作目は、バート・k・ファイラーの「時のいたみ」10年の歳月をかけて時間旅行したのだが、それがあまり役に立たなか ....
「博士、ついに完成しました
これが掃除機を掃除する掃除機です」
「そうか、できたか
冷蔵庫を冷やす冷蔵庫も大変だったが
これは、かなり難航したな
便利なものの不便を解消することが
....
透明すぎて何も見えなくなった視界を
侵蝕する夏
振り向いては駄目と云った
爛れ落ちてゆく意識で
最後に何を感じたの
ああ {ルビ懶=ものう}い
純粋ごっこの残滓に
濁った火をつけ ....
私の骨を粉々に砕いて、撒いた
丁寧に幾度も叩いて粉々にしたので
さながら机上にのみ立ち現れる楽園の一片
真白い砂浜の一掬いのようだった
私を制御しきれない時間
私という生き物について考え ....
美しい響きの渦に呑まれていく
静かに波打つ大海原
残響は遥か魂を震わせ
遠い親密な記憶に接続する
掘り起こせ、今夜
掘り起こせ、記憶の痕跡を
神々が吐き出したこの世界を
最後に成就し ....
俺の高校は運良く鴨川のど真ん中にあって
学校終わりに徒歩で
梶井基次郎が檸檬を買った果物屋に行けた
そこで本当に檸檬を買って
実際に丸善に爆弾を置きはせ ....
日本サル党党首
高崎山ボスザルの
高崎山大五郎です!
サルにも基本的サル権を!
という世界的な動きに伴い
この日本でも日本サル党を
結成し、参議院選挙に立候補した
次第です
ただ人間だ ....
姉が玉子焼き用の四角いフライパンで
目玉焼きを焼いている
合う蓋はないので
横から湯気は洩れるが
面白い発想に見えた
僕は丸い小さめの普通のフライパンで
目玉焼きを焼く
かように ....
この盛夏、
蝉の声を初めて聴いたよ
朝だ、朝
一日はもうとっくに始まっている
目的と目標を携え歩く人々
僕は世界が在ることに
ただただ驚き神秘を探る
この盛夏、
蝉の声を初めて ....
夢のなかにいるように
夢のなかで歌うように
輝く、輝いている
星、星たち
意識は奥深く落ちて
わたしは誰?
わたしはどこからやって来た?
無表情な現実がかき混ぜられ
失われた魂 ....
食器棚の上段、隅っこに
夏眠まっ只中なるマグカップ
君の目覚める季節には
また、キスでも致しませんか?
この恐ろしいほどの
時間の無駄使い
無駄使いだけど
ただ無駄なわけではない
一番の贅沢かもしれない
お金も名も無いけれど
この命の
どうしようもない物語
この物 ....
あらゆる灯りが消え
あらゆる夢が絶え
ただ青い天空が広がる
ただ青く突き抜けて
ただ青く静まって
脈打つ心臓は止むことなく
記憶に麻痺した僕はため息
包み込む宇宙は絶えず遠去かり ....
一.
よくないものを
無知で繕うと
いいもののようにみえた
夏
汗にふちどられて
境界線が消える
二.
問いへ向かう旅
解1・(虹はなぜ虫 ....
強い陽射しが照りつけるから
それを避けたくなる
汗をかいたり
日焼けをしたり
幼い頃にはむしろ嬉しかったくせに
打ち水をすると
涼しさよりも
湿気が多く感じられて
心地良さと気持ち悪さ ....
私たちは永遠の吐息、
その美しい比喩
私たちは下降する、
空の底を割り
永遠は生動し、
遥か大地に接続する
音楽とビールではじまる
叔父さんのパスタはいつまでも出来ない
予告もなしに晴れわたる青に
長閑にニンニク刻めた空き瓶を並べ
とんがらし叩きながら踊る
一旦ソファに沈むといい
泡のように ....
話しかけるのはもうやめよう
わかり合うのはとっても寂しいよ
光に背を向けてるとき
一番影が濃く見える
ひどく疲れていた
ひどくひどく疲れていた
誰かがおおきなこえで喋るのき ....
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