強く高みを掴んだ
脚に力を射して
秒速の息づかいを届けた
筋肉の震え
ハチドリの余韻
ふたごの虹
高音域を続けたのち
からだをつらぬく絹糸
歌はすべて感情から生まれ
歌はすべてあ ....
なんのために
歩くのか
それが死への行進であっても
もはや
退くこともできず
ただ祖國の土を踏むことだけを
夢見て
凍土を踏みしめて行く
泣く力はとうになく
乳さえ吸う力もない
赤 ....
電車に乗ってどこいくの
みんなどこかをみてる
想いめぐらせている
ちいさな箱でゆられて
りんごのようね
不揃いな私たちの人生
壊さないよに歩こ
がたがた電車は進む
まめをたべすぎると
はなぢがでるって
しってる?
ぼくはきょう
がっこうで
まめまきのじゅんびしてたら
はなぢのにおいがしたんだ
はなをおさえたけれど
はなぢはでて ....
言葉なんて
なんの役にも立たない夜があった
抱き合った体温が
生きている今を
実感する唯一の術であると
感じた夜があった
舌と舌が出会い
いくつもの嘘を従えて
口腔内で生まれ出た言 ....
笑うと金語楼になると
細くなった母の目を
指さしながら父が笑う
明るいさざ波が立って
子どもたちの顔まで
福笑いの目になる
母が笑う日は少ないが
その笑顔はぼくの
胸の引き出しにある
....
つめたいふねの
なかの箱
のなかにゆられ
ながら
じっとかなしみや
寂しさがしずむの
を、待つ
つくりかたも
わすれた
渇きだけ
の風が少しだけふく
上から
スポットライト ....
わたしはロボットになりたい
身も心も疲れ果てたとき
気力を失い起き上がることすら儘ならぬときでも
いつもと同じリズムとトーンで
自分の務めを果たせるように
わたしはロボットになりたい
....
ちゅうもんしたそばが
すこしぬるかった
ちゅうぼうのおくから
たのしそうな
わらいごえがきこえる
わたしはそれが
あたたかかった
ろうどうのいみと
はたらくこと ....
小刻みに刻むチョコレート
ロンサム・ジョージのために
部活をさぼってクローバーをちぎる
きみのためだよ
小学生向け科学雑誌がなくなってひさしいね
ちいさなピンホールカメラを
覚えて ....
感覚は、何かがあることを教えてくれる。
それはその物が何であるのかは伝えないし、
その物にまつわる他のことを伝えてもくれない。
ただ何かがあることのみを知らせるのである。
(C.G.ユング ....
最初に
魚影がよぎる
同時に
背骨が見つかることもあるが
大抵は時間がかかる
次に
尻尾が見つかるが
順番が逆の時もある
頭はどうでも良い
後で取って付ければ良いのだ ....
今ごろ何しているのかな
きっと趣味のデジイチを首から提げて
お気に入りの被写体を求め
谷根千あたりを自転車で走り回っているのかも
そんな感じに好きなひとを想ってみる
なんか幸せな ....
二十歳の誕生日も近づき
お祝いに赤飯を炊いたというから
おすそ分けを貰いに寄った
買物のついでにお菓子類など買って
ちょっとお祝い気分
日曜日で車庫に車がない
ああ 遊びに行ったのね
....
寒鴉ココロの隙に嘴を
笑えないギャグを飛ばして滝凍る
大寒に愛を深めて寒からず
冬深し電車が走る日の出前
狩人が狩人を狩る月曜日
たい焼きをナイフフォークで食うマナー
....
聞こえるのは
屋根から滑り落ちる小さななだれの音だけ
加湿器からもくもく白い蒸気が上がって
湿った空気がじゅうまんする
だるいからだとひどい頭痛
おでこだけがひやりとして
細胞がた ....
あの日以来
飛ぶことが怖かった
離してくれないと
地上のせいに僕等はしていた
黄昏てばかりの僕等を
ずっと見つめていた夕陽が
かわりに沈んで
会うたびに膝を突き合わせて
会うた ....
非定型な雲は生硬な定型でしかない
ぼくを尻目にとりとめがない
ぼくのO市
かのじょのN市
どちらも雲と坂が多い街であるから水っぽい
川が
なにか ....
その角を左に曲がると鳥居が見える
大層な歴史を刻んでいるわけじゃないけれど(多分、)
それでもある程度の年月は佇んでいるわけで
数え切れないほどの風雨にさらされているわけで
だのに、
塗られ ....
便利やで。このひと。
うれしいと泣く。
哀しいと笑う。
恋もできる。
歌も唄う。
故障は少ない。軽くて丈夫。
充電式やから停電に強い。
環境に順応。
ええ仕事する。みんな欲 ....
松納めお屠蘇気分がまだ抜けぬ
毒物を吐き出すように手鞠唄
重ね着もどうせ脱ぐんだストリップ
寒風を吸い込み君は離婚する
新海苔を水着代わりに写真集
職無くし有難味知る粥施 ....
ありがとうも
ごめんなさいも
また今度も
いらない
生きている
私たちに
また夜が
祝福する
エレベータ
昇って
降りて
繰り返す
夜の波だ
打ち寄せる
....
たぶん、枯葉を踏んで
(小気味良いステップで)
たぶん、あなたの森を歩く
あなたの匂いがする森は
いつかどこかで歩いた道
頬を寄せると風が囁く
おはなしをしよう
ブランケ ....
{引用=
空がひとつ、短く呼吸をして、タクトが振られる。
と同時に、ティンパニが鳴りひびき、世界が崩れ落ちていく。無声映画のそれのように、 立ちつくすわたしの背中に、スローモーションで再生 ....
愛不足 爪を噛んでるクリスマス
娑婆に出て10年ぶりの冬景色
かあさんを庇い刺されたサンタさん
落とし穴落ちて出られぬ冬の浜
凍空に生きる方向見失う
鴛鴦が互い ....
海豚の背に乗つてゐるのはありやなんだ
海豚を視姦せよと神の啓示
冬の虹途切れ途切れの殺意かな
理知的なナマコの眼が選り好みしてゐる
象牙欲しいなと子どもがねだり ....
まつげの先にくっついているのは
きっと、全てからこぼれたひとかけら
布団からはみ出た指先の冷たさに驚く
そういえば昨夜見ていたニュース番組で
朝夕の冷え込みに注意しましょう
とか何と ....
Ⅰ
ちらちらと粉雪が舞うなか
高らかにラッパの音が鳴り響く
あれは祝福の合図か
それとも最後の審判への警告か
澄んだ空に鳴り響く清らかな音に
私は身も心も洗われて行くような気 ....
空いっぱいに
子犬
大犬
ワンチョラーズ
さまざまな犬種の犬たち
水色
芝茶色
ボルゾイでぶちで白黒で
マルチーズ
四角バターな犬たち
元気いっぱいな君たちの
しっぽがくすぐって ....
1
お正月、
特別なその日をくぐる
肩上げの晴れの着物に赤いりぼん
門松は凛々しく
遊び仲間はおすましして
行ったり来たり
どのお正月も晴れていたような
追い羽根の檜扇の実は
音 ....
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