保険効くのか聴いてから帝王切開
おにさんこちらてのなるほうへ
追いかけても
誰も捕まえられなかった
嫌になって
薄目をあけると
どうやら
周りに誰もいない
口惜しくて
やみくもに走ったら
迷子になった
何 ....
掘削船がやって来る
おれの堆積した泥土を掘り返す
脳だけクラゲの揺蕩いで
光の海に温む予定が台無しだ
山の麓に猫女が住んでいるという
噂の真相を求めて捜す者も多いらしい
捜 ....
寒い季節に
ちゃんと寒いと少し
安心する
うまく笑えない私だけど
咲いている花をみて
少し安心する
道路工事のおじさん
地面をほっている
がりがりとどかどかと
そのうえに
....
誰かの何気ない言葉に
突然引っ掻かれたりする
私とは何の関係もなく投げ出された
明るい言葉なのに
いきなり蹴飛ばされたりする
だから
TwitterもFacebookも
とてもこ ....
行きなれたスーパーに買い物
行きなれた道
歩きなれた10分間
頭に帽子深々被って
首にマフラーぐるぐる巻いて
耳にイヤホン突っ込んで
丸まって下を向いて歩くの
行きなれたスーパーだから
....
丸1年間
給料なしで必死に働く有限会社の社長がいる
貯金を切り崩し 社員とその家族を守るために
「あと1年は石にかじり付いてもやる」
「真面目だけが私の取り得だ」
社員も彼を信じて必 ....
御褒美の、早いひとがいる。
御褒美の、遅いひとがいる。
人生の開花予報はいつなのか?
そんなことは、知ったこっちゃあないのです。
(明日は明日の風が吹く)
と誰かさんが言ったっけ。
....
集中力があって熱中症
幸薄そうな女から宝くじ買っている
なにもない
雪だけの原を歩く
目の前の白
後ろに点々と足跡だけが残る
まるで世界に
自分だけがとり残されたような感覚
孤独の影が走る
ドサリ、と音がする
木から雪でも落ちた ....
こんなふうに
穏やかに
労りながら
暮らしていけると思ったやさきに
何の前触れもなく溶岩のように
吹き上がる
怒りを
とどめようもなくぶつけてしまった
慎重に
優しく積み上げ ....
シャリシャリと雪を歩く靴の音が楽しい
と言ったあの人は溶けて消えました。
晴れて、屋根に積もった雪が溶けてポタ
ポタ落ちています。
むかし、あれは小さなお化けの足音だと
いじわるなお ....
うちには時計が大小20以上はある
掛け時計 置時計 目覚まし時計
腕時計 携帯電話の時計 PCの時計
給湯器の時計 ファックスの時計
炊飯器にも時計が付いてる
時計が多過ぎてうんざ ....
お母さんって
優しくて、ふんわりしてて
なんだか甘い匂いがする
うちのお母さんは
いつもくたびれてて
髪のセットもしないまま
仕事に出ては
アルミの粉の匂いがしてた
ささくれと、ア ....
午前2時
風にのって同報無線が聞こえてくる
行方不明の方の情報が明かされる
パジャマ姿 86歳のおばあちゃん
念のため外へ出ると
パジャマではとても耐えられない寒さだ
そん ....
うろおぼえの風景の中を
戻って行く
繋いでいく
抜け出したい
と思った時
光が見えた
根毛を伸ばし
水を吸い上げる
双葉を拡げ
光を浴びる
暖かかった
柔らかかった
....
ワタシから男を引いたのが女なのかな?
それじゃ、ボクから女を引いたのが男か
あぁ、自分がよく解らないから
どう引いていいか解らないわ
それじゃ、キミにボクの女を足したら?
そうか、アナタ ....
節分や父のカタチの鬼の影
夢に疲れて夢で寝る
口笛吹いて蛇が出ない
こんな日は
決まって風が泣く
弔いはもう済ませたというのに
細い通路に
冬という冬が
我もわれもと押し寄せて
ひゅうう ひゅううと
うなるのだ
夢遊病者のように
あの音を ....
夜中の2時に玄関前で
猫がニャーニャー鳴いている
外では雪が降っていて
染み込んでくる冷気のために
僕は布団にくるまっている
古い時計の秒針だけが
静かにこだまし続ける夜中に
ニャーニ ....
僕は一日、働いて
妻は入院中の周を日がな看病した後
落ちあった、ファミリーレストランの、夕の食卓。
「今日は俺が運転するから、たまには飲みなよ」
「え、ほんとう?」
つい先ほどまでは ....
夕東風や文庫の帯に内田有紀
綺麗な蝶もきたない蝶もカメレオンにペロリ
雪を被った針葉樹の臍あたり
ふっくりと一羽の雀
小さな瞳に世界を映す
やがて薄曇りの向こう儚げに
手招きをする太陽へと飛び去って
小さな黒点となり
視界から消えた
わたしの煤けた ....
雪が降り積もる
形の上に
形のままに
雪が降り積もる
同じ重さで
同じ冷たさで
人の想いは
あまねく
くまなく
降り積もることはない
人の想いは
違った重さで
....
並んで歩く父と子が夕暮れの街を通り抜ける
父は子を見下ろしながら
子は夕陽を見上げながら
父は子供の頬を撫で
時折優しく指を沈める
その人差し指に伝わる
底がないような柔らかさと、 ....
古い酒蔵のステージ
ドラム叩きとベース弾きに
ときおり目くばせしながら
ヴォーカリストの暴走をくいとめてる
EとBの間
ヘッドでタバコをくゆらせて
だれを気取ってるの?
あんまり ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174