厚手のコートを脱いだら
するららと
時間が落ちて
あなたに一歩近づく
梢の蕾がふくらんだら
するりりと
時間が落ちて
あなたに半歩近づく
約束の日は近くて遠い
ほんのり焦 ....
さざなみは
永遠をよそおう
罪ではない
それは
やさしい嘘
人は
さいごに
この海にたどりつき
さざなみにも
終わりが
くることを知る
かもめよ
愛しいおまえも
いつ ....
孤独から抜け出た証手に入れた君の眼差し僕を見透かす
検索し光と闇が入り交じる情報という一つの図書館
四文字がすぐに言えない照れ臭い君の優しさ近くて遠い
曇り空嵐の予感付きまとう ....
たのしい
つぶやいてみた
ひろってもらえた
ぼくのつぶやき
たのしい
不思議な映画のような
ちいさな命
ちいさなものへの愛情
たのしい
つ ....
{画像=120303011011.jpg}
雨と風が一緒に顔にかかって
少し髪を濡らす交差点に
ぼくは独り君を想い立っているよ
君がいつもしていたリュックの色は薄い緑色で
不思議 ....
疲れたからねそべって
夜を手にとってみる
ふんわりとしてとんがってて
あれ
私の心みたいやね
いじわるな気持で
つんとつついてみる
へこんだ穴がちょうど
昨日泣いた場所
ごろ ....
人殺し紙の上では簡単に
文学につばを吐いたら寒椿
穀潰し生まれてくれば皆殺し
指輪踏み足に穴あく悔しさよ
黒光りする虫が這う台所
他所行きの服がないから街に出ず
暗 ....
びょういんの
まちあいしつで
ろうじょが
テレビをみている
なにもうつらない
ひかひかひかる
しろいがめんをみていた
なにかを
まっているようだった
やがてろ ....
こんにちは、白いパラソルです
松田聖子の歌です
人格はありませんが、こんにちは
それでは次の曲、聞いてください
白いパラソルです、何度もこんにちは
産婦人科の待合室で
好奇の目で私を見たあの夫婦
神様
憎しみなんてものは一瞬で生まれる
泣きはらした私を
男に振られでもしたかと
皆は思っただろう
高円寺南口の隅で
ク ....
もともと
とても
壊れやすいものだったのです
だから
壊れてしまっても
嘆かなくても
よいのです
この世に見える
すべてのカタチについている
蝶番が
壊れてしまっただけなのです ....
春はたまごの眠り
たまごの中でまどろみながら
イースターエッグの夢を見ている
{ルビ復活祭=イースター}の朝が来たら
ウサギが隠したたまごを
子どもたちが探しに行くよ
春になったら ....
母ちゃんと旅に出る
鞄に歯ブラシ、着替え、切符と
最後にわくわくを詰めて チャックを閉める
朝一番のバスに乗り込んだ
母ちゃんと座席に並んですわる
乗り物酔いの薬あるよ
切符は持ったか ....
わたしのなかで
剥がれおちたなにか
そのなかにある
あかいかたまりのなかの
あかいわたし
剥がれ落ちたわた ....
学園都市線の高架下
灰色の橋脚に二羽の鳩が仲睦まじく
寄り添ってはキスをして
激しく身をよじってはまたキスをして
やがては重なり 羽ばたきながら
気の早い春が固い雪を緩め
茶色く水っぽ ....
父が潜水艦を買ってきた
またこんな大きなもの買って
と母が愚痴をこぼす
兄は鴨居の下で自分の腕を触っている
犬は昨日、何も食べなかった
きみを
たいせつにされていない時間をくべて
かなしい町にしよう
はじまりしかない町
わたしが保証されるほど
糸が切れていくようなので
まちがったままでいいのです、
す ....
白魚にためらい傷がありました
スーツ着て会社に行かず凧あげる
君だけが友達でした藪椿
春淡し俺から会社辞めてやる
種芋になれずに腐り果てていく
ミシュランの調査員ぶり田螺 ....
橋の上から 川を見つめていると
川の水音がザァァァッとして
風は音に染まり
ますます
澄んでゆく悪意の無い視線
そんなに見つめないで、冷める風光の翳り
(あの遠さの)
命の万 ....
赤ちゃんは
眼が見えるようになると
まず
人の顔を認識するらしい
丸の中にふたつの小さな丸があったら
それだけで顔だとして
笑いかけるように
出来ているらしい
そうすることで
世界は ....
やんわりと
はるのかぜが
わたしをことわる
ほおをかすめ
しめったかんしょくを
のこして
あのひとは
だれだったのだろう
わたしがふれた
はるのかぜは
....
吸い込まれていくその先は
さいぼうの隠れ家
手を振る、手をふるう
ぼたんになる、頃になる
おや、もうあんなにも遠くに
浸透してしまった窓のつらなり
わたしは遅れた足取りで
ひとつ、ふたつ ....
したい何かを数えていくほど
したい何かが見えなくなる
まるで
皮を剥ぐように
剥いで剥い ....
ゆっくりとした花の先端から
二人で汽船に乗る
生き物の物真似をして過ごす
生きていて良かった、と時々思い
絵葉書の側で時々笑う
古い友達から
手紙が届いた
郵便事情の遅れで
32年ぶりに届いたのだ
郵便屋さんが
汚れた手で
すまなそうに制帽のつばを下げた
ひらいてみると
まるで読めなかった
ハングルは雪の ....
太陽を食べながら
冬晴れの冷気を泳いで行く
空に笑いかけて
わたしは噴水のように歌っている
土地っ子のヒヨドリも
旅行者のツグミも
わたしとともに歌っている
白樺も我を失うほどだ
....
{引用=根底から
ひかりがすべり落ちている
ぐるりと結わえたひとつなぎのくさりが
少しずつ希薄になってきている
そこが温かいと机に伏しておもう
おもう?
うなずく
好きな ....
1
白く熱い道を
白いカッターシャツの高校生が
自転車でくる
7年ぶりに会った息子、きのうのこと
美しく花開いたのっぽのあの子
その道を今日も彷徨えば
また出逢った有り難さ
足 ....
白菜68円だったからさー
怒髪の女房に蹴り出されちゃって
憔悴とコンビニ弁当かこつ弟にも鍋いいじゃないと
思ったわけよ
一族のレプラみたいな私でも一応お姉ちゃんじゃん?
て呼ばれたこと一度も ....
いつだって ゆうやけこやけが聞こえるまで
遊んで僕ら 走って帰る
足りないものだらけで
ほしいものだらけだったけれど
野球選手にだって
スパイにだって
ヒーローにだってなれた
....
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