グラウンド・ゼロ
umineko

グラウンド・ゼロに何が建つのか
私は知らない

おそらく
洒落たショッピングセンターと
御影石のモニュメント

原爆ドームを見上げると
青空が見える

ドームの小ささを
私たちは知っている
周回遅れの哀しみに
川面 さざなむ

遠い国のテロの現場を
爆心地と呼ぶことに
私は
小さく異論をはさむ

あの
そこは違います、


原爆ドームを見上げると
そこは
抜け殻

魂も焼夷した
強い 光だ

けれど
息の根は止まらなかった
私たちがモニュメントだ
足早に
交差点をわたりゆく
生きている
私たちが

セシウム
踏みしめて
笑い声
幾所に 響いて

公園の母子
背広姿の昼休み
クリスマスももう近い

私たちがモニュメントだ

愛して
信じて
やがて泣いて
歩き出す

グラウンド・ゼロに何が建つのか
私は知らない

 
 
 


自由詩 グラウンド・ゼロ Copyright umineko 2011-11-27 09:16:51
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