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八月に
昭和は古びたり
いまだ尖り
ここにひと{ルビ欠片=かけら}の記憶が落ちていた
天候にもよるが
ふいにキラキラとうつくしく光りだすから
この一片には
よほどの幸せとそれに彩られた日々があるにちがいない
と思われた ....
みつからないところで寝ています
風がどっとおろし
茶と黒のふとい縞がうねりあがる
「おーい」
影がよぶ
なんだ陽とくらがりとが罵り、奪いあう場に誰もいない
草の実は野をとび またとび つぎつぎととぶのに
純潔な実も 描い ....
1 ある青年
この強力なバーナーから騰がる炎の熱を蓄えた
おおきな{ルビ布袋=ふたい}で空にのぼるのだ
「トーキョーだかニッポンだか知りませんが
ぼくには十世紀まえの遺跡です」
点在 ....
いま どらびだの駅だ
むかし おなじ名まえのくにを紀行したが
もうずいぶん前だったので
ぼうぼうとした
かぜの中あたりで 周囲を見まわす
駅舎があるとは知らなかった
いや
とうの ....
―「今日はきっとすばらしい事がある」そんな予感を抱かせる夏の朝
ふと得たインスピレーションに古き祀誦が蘇る
ああ
しんごおせえ
なあ ら、なあ ら
おお
....
とても さびしい
ゆうひ の はまべ
とて とてのむ とてのう
たのしそうに
てをつなぐ ふたり
とて とてのむ とてのう
かぜ と ゆうひが
ふたりを てらす
あのまち ....