すべてが新品である
お互いの存在が目新しい
人の世の独立した若い単位として
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姑が時には訪ねて来る
そこではもう、息子だった子はいないのだが
姑は新婚の部屋のなにかについて
なんら ....
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自由 / フリー でいたい
色々なことに捕らわれていては見失ってしまう
ただ真っ直ぐ向いていたい
でも君は時折ぼくに向かって言う ....
私の中には時折他人が入ってくる。私が食器を洗っていたとき、気がついたら私は田淵さんだった。田淵さんは私の部屋に勝手に入ってしまったことを申し訳なく思い、靴をはいて部屋の外に出たが、そのとき田淵さんは ....
イブの夜 ひとりで歩くラブホ街
エアコンの温度を下げる雪女
焼き芋屋装っているストーカー
寝酒して寝ゲロを吐いて寒い朝
殺し合い 雪合戦に見せかけた
駄洒落言い死にたく ....
今日がこれで終わると思うとき
一日笑顔であったかどうかを
数えてしまう
そんなこと本当はしてはいけないはずなのに
自分が笑顔かどうかはあまり重要でなくて
君が笑顔 ....
ほっぺたの大きなニキビ{ルビ理由=わけ}にして恋することから逃げ続けてた
少しずつ爪の先から侵されてその他大勢になってく私
お互いがお互いの為生きているコールタールに花の咲く時
潰さ ....
冷静沈着というよりは枯木死灰だ
天衣無縫というよりは無知蒙昧だ
多面的というよりは気まぐれだ
ひたむきというよりは妄執だ
奇抜というよりは悪ノリだ
繊 ....
このツインタワーはひとつを日本の
もうひとつは韓国の建設会社が建てたのだそうだ
世界で三番目に高いのだという
手塚治虫が今のアジアの都市を見たらどう思うだろう
思いは必ず実現する
これはナポ ....
まるでこの世の始まりから
僕を待っていたように
茶色い床に君の
十二枚の写真が散らばっている
秋の風が窓の外で
穏やかにはためく午後
僕はグラスに冷たい ....
男の話
浅くなった眠りの中で
蹄の音がしていた
となりで眠っていると思った男が
雌の鹿だといった
森の
そんな においのする男だった
神さんの住むという深山の
山間 ....
ご指名は ときかれて
いいえ 特にないですと答える
チェーン店の美容院は こんでいて
手の空いている人が 洗髪したり
髪を染めたり 切ったり の方が
私的には 早く終われて良い気がするの ....
おだやかな海
荒れ狂う、
海
語らない海
激昂の
海
揺りかごの海
黒い海
汚される海
奪う、
海
果てのない海
唯一の ....
猫を撫でたあとで
優しさは書かない
返信を待ち焦がれても
淋しさは書かない
軍鶏鍋を食ったからといって
美味しさは書かない
マニュアルをなぞったつもりで
愚かしさは書かな ....
「夢ならば」
肌を刺すような風
なびいて
夢 紅葉狩り
枯れていった草
大地に帰り
恋 秋の囲い
夢ならば
流れ去る一筋の光
夢だから
忘れいく装飾の色彩
だんだんと
遠のき
やさしくなっていく
日々のなかを
発光するリボンが泳いでいる
なめらかに熱く
泡立って
注意深く生活する
わたしをからかうように
発光している
....
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どうやらこの世界では僕が天使で君は女神だ。
背中の羽で飛び回る自由と好きなペアを弓で射る自由。
背の高い女の子と低い男の子、
気の強い女の子 ....
息を切らしながら山道を登っていくと
薄暗い脇道から片目のポインターが飛び出してきて
びっこの前脚で器用に跳ねた
どうしたらよいのだろう
何かの病で左目を失くしたのか眼窩は
底知れぬ闇 ....
港から程遠くない高台
急な坂をゆっくり登ると
桜の枝の間に覗く再建された天守閣
ゆったりと
本丸天守閣から海の風景が広がる。
遠く相模湾が霞み、その右手に浦賀水道
三方を山で囲まれた ....
針くだく魚の血潮の銀河かな
手の甲で遠去ける度みどり湧き
さわりゆく棘のままただ融ける雪
夜を剥ぎ夜を接ぎ足す光かな
振り仮名が ....
【漕】
自転車のペダル漕ぐ足弱ってる 若いころならすぐ着けたのに
【芯】
よく飛んだ 真芯で打ったホームラン 子供相手にフルスイングし
【なう】
「恋なう」と君がつぶやく毎日を ....
わたしのかわいい人
眠っているのか
死んでいるのか
肩だけで息して
しわを数えて
わたしのかわいい人
雨空はきらいだって
雨空が切れて
切り口に青空が光るから
それだけでぼくは雨 ....
多くのひとがそうであるように、わたしも、約束をするときには、必ずそれを守ろうと思いながらする。約束、あるいは契約。鉢植えひとつ世話できず、いまだに自分の身体も精神ももてあましているわたしが。
わ ....
あなたの唇に息を吹き込む
サンピエトロ大聖堂を流れる僕の風
祈りはあなたのために
そしてピエタ像のように抱きしめて
僕はいつでもペテロになってあげたいと
あなたの唇に言葉を貼りつける ....
あの{ルビ鋼=はがね}の壁を
いつしか破れると信じて
今日まで生きてきた
壁一直線に何度も叩いた拳は
赤鬼よりも おどろおどろしく
涼しげな白の壁が 次第に青くなっていく
この一振 ....
誰もいない六畳間
頬を畳にくっつけて
夏休みも終わりの午後
八歳の僕は昼寝する
風が簾を通して頬を撫ぜる
うつらうつらしている僕の眼の先には
隣の部屋でミシンを踏む
母の姿がぼんやり ....
お久しぶりね、きつねさん。
いちにち、いちにち、寒くなって
ほぅっと、吐く息、朝早いと白くなるし。
雪のにおいがしてきたり。
そうするとね、きつねさん。
頭のなかに君がこんこんこんと、やって ....
鳩尾から飛び立つ
フラミンゴの羽音を
君に
聞かせてあげたかったけれど
仙骨から這い上がる
虹色の蜘蛛を
君に
見せてあげたかったけれど
せり上がる甘酸っぱい海面で
何を ....
のっそりのっそり 午前中
猫が歩いている
公園は 曇り空
尻尾がない そう思いながら良く見ると
ハイハイ?
1歳に満たない乳児が地面を這っている
どこから来て どこに向かっているのか
た ....
いつもの喫茶店
そこに座る。それは知っている。でも、正面きってだなんて話かけられないよ。
動きだしたい
したい-死体のような-この-こころ-----
作者不在の机を前に 作者不在の椅子に座 ....
何年も帰っていない故郷にいる
当然私の居場所は無く
家族はそれがもう当然のように
暮らしているから
私が帰ってきても気づかないようで
いつもの口癖のような言葉を
えんえんとお互い喋っている ....
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