四六時中はこぶ
夕映えと同じ
裏窓の{ルビ河岸=かし}にささる
水のお話

その場所を求めて
蚊の姫様が
散策している
森のお話

ある日くびのどこかにも
生まれるお話
マフラ ....
乾いた砂が流れていく
ここは砂漠
ではなくて背景のない場所

光があふれているわけではない
のに白く抜けた背景
足元の黄味がかった砂の感触
だけがすべて

風に乗って運ばれてくる
 ....
風の吹き抜ける交差点で
あなたは待つ

約束は必ず果たされると信じて

ひたすら待つ
待ち続ける

そして見上げれば雲

春の雲

おぼろげで奥ゆかしくありながら
したたかさ ....
すっかり きれいな
さっぱり わかれた
そのかお わたしは
みずべで ねそべり
きーんと きこえる
はてのね ふれたい
むりなの わかった
みんなが ないてて
わたしは わらった
し ....
 月一回の古新聞の回収に向けて、必要なものをより分けてそれ以外を束にして収集所に出す作業に追われていた。どうにも捨てにくいのが、週一回配達される英語学習用の英字紙(※1)だ。英語そのものにずっと関心が ....   彼岸花
   山の奥には残雪が
   今日の風はやけに冷たく


ここにひとり

大型客船が停泊している
遠くには高層ホテル

約束の時刻
最後だ ....
振動はごく小刻みなもので
そう、
ぷっちんとお皿に落としたばかりの
おもちゃみたいなプリンに似ている


大きな曲線は、ない
そういえばしばらく見ていない


時々、雨が降る
洗 ....
ぽとり、と蝋梅
黄色い窓を覗く
すると向こう世界の隅で春が騒いでいた

「梅、桃、桜の順で咲いていくのよ」
「そうして、春になるの」

白い酒器の表面に落とされた桜
注がれた梅ソーダが ....
詩などの投稿掲示版を利用させて頂くようになって
十年くらいになったのだろうか。
ほんとに無料で投稿してもいいの? 好きな詩に投票?
ポイント? 感想は書きたいけど ポイントなしだと
がっかりな ....
はっつぁんと やっさんでは
何を奈落の感じるか感じないかは 違う
ある人にとっての奈落地獄が ほかの人にとっては
なんて楽なことだと 肩をなでおろすことだったりする

地獄の其処に釜 ....
上昇する シャボン シャボン 
水晶の シャボン シャボン
 
殻にこもった シャボン シャボン 
不安な シャボン シャボン
そこが あなたの玉に{ルビ瑕=きず} 

浮いている 揺れ ....
仄暗い廊下に時々夜の天使のように
夜勤看護師が羽ばたく
世の中で最も偉大で逞しい美しさが
老人達の
人生という点滴を
繋ぎとめにゆく

また鳴るナースコールは誰のための
子守唄なのだろ ....
雛の日に『首くくるぞ』のメール着た

配置場所じゃんけん選抜雛飾り

雛祭り階段落ちの面白さ

今年から五人囃子が軽音に  ("『けいおん』に" のほうが良いのか ....
人間を圧縮すると
すごく小さくなるんだよ
と聞かされたとき
彼女は宇宙を感じた

人間を材質に分解すると
10ドルにもならないと知ったとき
なぜか
アンドロメダのことを考えた

愛 ....
あと 一つ
それで完成

そう思った瞬間

倒してしまった!

しゃっくりみたいな声を一つ漏らして
あとは動けない からだがこわばって
ドミノは時間を遡り
駿馬のように駈け上る
 ....
君だけに毎年贈る桃の花

ウェディングドレス着たいとお雛様

初節句 純金の雛買うてやり 

雛壇に並ぶロボット銃を持ち

工作の雛人形はアヒル口

流し雛 海を渡ってLA ....
厚手のコートを脱いだら
するららと
時間が落ちて
あなたに一歩近づく

梢の蕾がふくらんだら
するりりと
時間が落ちて
あなたに半歩近づく

約束の日は近くて遠い
ほんのり焦 ....
幼さをなくした私の顔を見て

母は泣くのだった

それは

私には知り得ない
何かが何処からか沸き上がった瞬間だったのだろう

過去を、或いは近い未来を思い

幼さをなくした私の ....
{画像=120303011011.jpg}


雨と風が一緒に顔にかかって
少し髪を濡らす交差点に
ぼくは独り君を想い立っているよ

君がいつもしていたリュックの色は薄い緑色で
不思議 ....
心地よい揺れと
生ぬるい水温

波にさらわれたコンタクトレンズ
ぼやけた視界がとらえたものは
降り注ぐ優しいひかりの雨

身動きが、とれない
とりたくもない

堕落していく心
そ ....
あい変わらずぼくは
かなしみを知らなかったから
トーイチに会いにゴミ捨て場へ行った

夜中に網小屋まで降りて来て
悪さをする星どもなら知っとるがの
じゃが かなしみは知らん
カン女に ....
母ちゃんと旅に出る
鞄に歯ブラシ、着替え、切符と
最後にわくわくを詰めて チャックを閉める

朝一番のバスに乗り込んだ
母ちゃんと座席に並んですわる
乗り物酔いの薬あるよ
切符は持ったか ....
歩くのはいつも なまの義足
寄木細工のじん帯をか細い骨で震わせながら
足裏に
肌合いのわるい
なじめなさを押しつけても
二つのものが 交互に役割を担うから
どこか
と呼ばれるcell(セ ....
十二月の夕暮れは突然やってきて
時間の無い坂道を上って行く
左手に灰色のニコライ堂が聳え
覆い被さりながら

聖橋の先には聖堂の黒い森
神田川もJRも跨ぐ聖橋
暗いトーンの夕暮れから
 ....
ずっと考えつづけてきた
この街にやってきてもう何年になるだろう

親しい知人も隣人もたくさんできたし
顔馴染みの飲み屋もいくつかできた

でも時々その飲み屋であのひとのことを聞く
その噂 ....
白魚にためらい傷がありました

スーツ着て会社に行かず凧あげる

君だけが友達でした藪椿

春淡し俺から会社辞めてやる

種芋になれずに腐り果てていく

ミシュランの調査員ぶり田螺 ....
赤ちゃんは
眼が見えるようになると
まず
人の顔を認識するらしい
丸の中にふたつの小さな丸があったら
それだけで顔だとして
笑いかけるように
出来ているらしい
そうすることで
世界は ....
どこもかしこも豆板醤
爆竹弾けて踊る龍

そんなことなら豆板醤
炒めてしまえばうまくゆく

いつものところで豆板醤
温もり探して触れる指

ここぞとばかりに豆板醤
フレフレ鉄鍋揺れ ....
二〇一二年の一雫が
左肩に落ちる

乾いた肩が ほら笑った
指で払った雫が
隣の肩にかかる

右肩の笑みが増す
隣の肩が羨ましげに
指をくわえる

余計でもない一雫が
転々と分 ....
太陽を食べながら
冬晴れの冷気を泳いで行く
空に笑いかけて
わたしは噴水のように歌っている

土地っ子のヒヨドリも
旅行者のツグミも
わたしとともに歌っている
白樺も我を失うほどだ
 ....
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