いま時分には珍しい朝凪に
吸い寄せられるように
車を止めて
浜へ降りて行った
もう、母国に
呼ばれることのないカモメたちが
白を惜しまずに羽ばたいている
水面はきらきらとさやかに
....
アン・ドゥ・トロワ アン・ドゥ・トロワ
壊れたトウシューズをどこかに置き忘れた少女がひとり、漆黒の夢の中
そしてその静寂がわたしにまとわりつく
青く開いた空の深みから
一つ また一つ
無言の頷きのように
頬に
建物に
大地に寄せられる
ふわりと白い口づけ
それは
氷柱のように尖らせて行く
生ぬるい毎日の中で肥大した妄想を ....
Agains
今年はじめての 雪でした
足の下に さくさく
冬の音がする
雪のつめたさに
舌打ちしたり
みなが冬をきらうから
少しばかり 冬は意固地になっていたりするのです
....
供述によるとお前は
うつくしい女と出会った
彼女は駅の階段でうずくまっていた
いくら声をかけても反応がなく
そっと肩を叩いたとき
顔をあげた女と目があった
お前はこれがほんとうの恋なのかと ....
駅でたくさんの人が下りたあとの座席に
包みが置かれている
忘れ物だ
ぼくはあわてて取って
フォームを歩いて
事務室にいって
遺失物の届出をしようとしたのだが
形のあるものでないと受け取れ ....
かけおりてくる兵隊がいる
指揮だけがあって四季のない顔のない
丘のうえから
いっせいに声があがる
雲がわく
あがる声には
責任がないから自主性がない
....
僕の彼女は 今ごろ
生活が充実してる
僕の彼女は 今ごろ
トイレそうじなんかしてる
僕の彼女は きっと
なます なんかを作る
正月でもないのに
僕の彼女は き ....
見上げる星よ、きみであれ
痛ましいほどに
疑いようもなく
きみであれ
忘れてくれるな、
燃え盛る目を
忘れてくれるな、
恥じ入る肩を
かろうじて ....
正しさってなんだろう
正方形の角が 誰かの頬に食い込むとき
その痛みが 真四角の正しさを証しするのだろうか
正しさってなんだろう
まっすぐな線をまっすぐに歩くことが
そんなに尊い ....
ほぼ全裸の国技
紅いやら
黄色いやら
騒いでるんじゃない
山の中に勝手に入ってきて
ジロジロみて
写真撮って
弁当食い散らかして
ゴミだけ残して帰る
観光客たち
俺は
おまえらに怒って
....
5大陸90ヶ国を2年にわたり
ノーブラで旅をしました
グループ痴漢や
強姦未遂や
集団強盗など
様々な困難を乗り越えながら
明らか乳首の立っている私
Tシャツもブラも同じ事
ノーブ ....
ある日
小さな「面倒くさい」と出くわして
何気に後回しにしてしまう。
だけども、後回しにしたことで
視界の隅に追いやっただけのつもりが
いつしか ....
ひとの哀しみを
知りたい
深く…より深く
青いビーズの散らばる
大広間に
君と寝そべっていた
手を…手を繋ぎたい…
....
詰め将棋苦手な僕の歩兵にはロケットランチャー持たせています
月が隠れているこんな夜は不穏
雲間から微かに漏れる月光が狂わせる
人も獣も機械も大地すらも
何が起こっても不思議じゃない
当たり前のことだと君は言う
四十五億年の時を刻んだ地球からすれば ....
入荷を待ちわびていた
会心のケニア
差し出す店主の顔も話し方も
嬉しさを隠しきれていなくて
実はそれが何よりも
目の前の一杯を美味しくする
焙煎機も一仕事終えて
今日は隣りがやけに
華やかじゃあない ....
「もも色の風だよ もも色の風だよ」
と誰かが言った
そんなはずはない
冬の真っ只中なのだ
「もも色の風だよ もも色の風だよ」
とまた誰かが言う
窓を開け のぞいてみると
確かにもも ....
ひそひそと
みんな いっしょに
雑談タイム
今度の ランチは
どうしよう
タイムでも
パラリ ちらして
ちらし寿司
そうだね そろそろ
ひな祭り
だからかな
料 ....
座礁した船に乗っている
船は岩に乗り上げて
じわじわと水も浸食してきている
私は生と死を同時に思う
におい
においが違う
磯のにおいと共に
「喰われ ....
皆が助けてくれる。
皆が声を掛けてくれる。
皆が救ってくれる。
死んではいけない。
2時間も電話で話して
くれる人がいる。
心配してメールをくれる。
本をくれる。
本当に俺を救える ....
どこにも代わりのない
私だけの詩を描いてみたい
心のなかのもやもやがそう言う
私という存在が唯一無二のものならば
出てくる言葉もそうであるべきなのではないか
そうではないということは
....
てのひらひらひら
紅葉ひらりひら
ほぅらほら
どこかでだれかが呼んでいるよ
重なり合った呼吸が
色を濃くしはぜる音
夕焼けが沈んでいくように
どこかに吸い込ま ....
{引用=
男士たちが
屏風をもってきた
眠る女の 枕元にさかさのそれは、
薄の天に 雁が地を飛び去っていく
踏み絵さながら 鏡のおもてに裸足をのせる
足元をみつめれば むこう ....
本日のメイン
アサリの皆さんです
お命
お美しく戴きました
合掌
ことばは
しょうじきなのだ
できないときは
できないと
わたしにいわせる
むりなことは
むりだと
わたしにいわせる
わたしよりさきに
いきものなのだ
ことば ....
月曜日が休みになった
連休などありえない流通業で日曜の休日も
夕方は次の日の積み込みに時間を割かれる
小学校と中学校の転入手続きが残っているのだが
嫁さんとの勤務シフトがあわない
ま ....
神無月歌舞伎町まで追い込まれ
命は異相にも存在する
断て断て
忍耐
断て忍耐
でも命を使うのは此処
ばら色の人生からまる
いばらの人生からまる
美しさは永遠からまる
命は異相 ....
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